欠片242.『合流』
欠片242.『合流』です!
広場に戻ったサーチとアストラは、集まっているみんなの所に合流した。
そこには、地面に置かれたボロボロの調理器具と無事な調理器具が分けて置かれてあった。
「みんな!戻ったぞー!」
『サーチ殿!無事でなによりです!』
「おうー!サンも見張りお疲れ!ありがとな!」
『いえ。それはフロデューテ殿も一緒でしたから。』
「フロデューテもありがとな!」
『うん。ありがと。』
「元気ないけど、どうしたんだ?」
『それがね。やっぱりいくつかの道具はダメだったみたいなの。』
「……そっか。」
悲しそうなシャフ達を見つめるサーチは、力強く拳を握っていた。
「ハアァァァ〜〜〜!!!クヨクヨしてても仕方ねぇな!」
「ヨシっ!!」
"パァァン"!!
自身の頬を叩くシャフに驚く全員に、シャフは話始める。
「いいかオマエら!失ったもんはしゃーねぇ。」
「だけどな。オマエらも分かってるが、失ったのはオレらの命じゃねぇ。」
「まあ、命の次に大事なもんだが。」
「とりあえずだ。宴には参加する!」
「そんで。宴に集まった時に、また頼みゃあいい!そうだろ?」
シャフの言葉に、イナリ、キャロット、コクックが賛同した。
『そうだね。』
『うん…!』
『コケェ──!!あったりメェよ〜!!』
その様子をそばで見守るサーチは、笑顔で見つめていた。
「へへへっ!元気になったみたいでよかった!」
そうして、一行はその晩。沢山の料理をご馳走になったのである。
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【一週間後】
サーチ達が広場で集まっていると、森の道から4人の冒険者の姿が現れていた。
「おーい!戻ったぜ〜!」
冒険者パーティー『華麗飯』
リーダー[クミン(26)]
[種族:ヒト]
「たっだいま〜!もう〜お腹ぺこぺこだよ〜!」
冒険者パーティー『華麗飯』
メンバー[シード(21)]
[種族:ヒト]
「ね〜!はやくみんなのご飯たべた〜い!」
冒険者パーティー『華麗飯』
メンバー[ジーラ(25)]
[種族:ヒト]
「クンクンッ。」
「──ンハッ!!この香りはッ─!もしかして……」
冒険者パーティー『華麗飯』
メンバー[スパイシー(23)]
[種族:ヒト]
サーチ達が集まる広場に現れた男性2人と女性2人の冒険者の内。
茶髪の癖っ毛をしたスパイシーが、何かの香りに気が付くと大きな声で言葉を発し皆の注目を集めていた。
「女の子でもいるのかい?」
ズコーッ──!!
アストラを除くその場にいた全員が盛大にズッコケると、すぐに同じパーティーメンバーのジーナからツッコミを入れられながら頭を叩かれていた。
「そこは料理でしょーがっー!!」
"バシィ"!!
「イタッ!!」
「もぅ〜ボク的には、女の子の香りの方が嬉しいんだけどなぁ〜」
横目でツッコミを入れたジーナを見ると、鋭い目つきに冷や汗が止まらないスパイシーだった。
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落ち着いた所で、サーチ達と冒険者は挨拶を交わしていた。
「どうも!詳しくは分かんねぇけど。オレ達が留守中に世話んなったようだな!」
「オレは『華麗飯』のリーダー。クミンだ!よろしくなサーチ!」
「おう!シャフのオッちゃん達の料理……すっげー!うまかったんだよ〜!」
「オマエら、毎日あんな料理を食べてんのかー!いいなー!」
「アタシはシード!気になる植物があったらアタシに聞いて!なんでも答えてあげる!」
『私はサンと申します。』
『では。その時は頼りにさせて頂きますね。ふふふ。』
「んん〜〜っ。ボクはスッパイシーだよ〜!!そこのク〜ルなお姉さ〜ん。」
「この後。ボクとお茶でもどうかな?」
「………。」
「私はジーラよ!あ、コイツは無視していいから!気にしないでちょうだい!」
「何か困ったことがあったら、私達になんでも聞いてね!」
『ええ!ありがとう!』
『アタシはフロデューテよ!よろしくね!』
各々が挨拶をし終えた後。
クミン達は自身がいなかった時の出来事を聞かされていた。
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「なるほどな。それで助けてもらったっつーわけか。」
『うん。クミン達が居ないタイミングだったからね。サーチくん達には助けられたよ。』
クミンとイナリが話すと、クミンはサーチ達に問いかけた。
「アンタらも宴に参加するんだよな?」
「おう!どんなのか見てみたいし!」
「それに、いっぱい料理が出るんだろー!」
「ハハハッ!元気でいいねぇ!もちろん!」
「開催地は『隠れ森』だ。そこで開催される宴には、多くの土地に滞在する料理人達が集まるんだ!」
「それだけじゃねぇ。噂を聞いたいろんな種族のヤツや商人達も集まる。」
「まあ。ある意味、この世界での異文化交流みてぇなもんだな!」
「ん?この世界って、クミンは他の世界から来たのか?」
サーチの質問に、クミンはそのまま答える。
「なんだ。知らなかったのか?」
「オレだけじゃねぇ。オレの仲間も皆んな別の世界から来た異世界人ってヤツだな!」
「たくさん呼ばれてんだな!イセカイジンって!」
「?」
「そりゃあ〜冒険者は皆んな異世界人だからな。」
「えっ?」
「なんだ。こっちの世界の住人なのに知らなかったのか?」
「一体どんな田舎に住んでたんだよオメェさんは。ハハッ!」
(冒険者がみんなイセカイジン?そうだったのか……。)
「いいか、サーチ。知ってると思うが、この世界にゃあ元から盗賊や山賊がいる。」
「まあ、あとはオレ達みたいな冒険者だな。」
「それとは別に、元からいたこっちの冒険者的ポジションのヤツはな──」
「旅人か王国の兵士。って呼ばれてんだよ。あ、あとは戦士もいたっけな?忘れちまったな。」
「まあ、一般市民はオレのとこと変わんなかったけどな〜」
「つまり、オマエさんらは旅人ってとこだろ?」
「う、うん。」
(師匠がそう言ってたし。そうだよな。)
「あ、あとな。冒険者が全員いいヤツだと思うなよ?」
「勝手に他の世界から呼ばれて、勝手に生活しろって言われて生きて来てんだからな。」
「まっ!オレ達みてーな変わりもんなら別だけどよ!ハハハッ!」
「クミンたちは怒ってねーのか?」
「ん〜〜。まあ。最初はキレてたけどよォ。」
「冒険をする中でアイツらに出会い。旅をしながら今度は、シャフやイナリ達と出会ったんだ。」
「そこで、初めて故郷の味に近い飯を食べた。」
少し間を空けてクミンは話を続ける。
「オレぁ涙が出たよ。」
「何にも知らない土地に来て、やれ魔族と戦えだの。冒険しろだの。国王達の命令には腹が立ったが……」
「こうして今は、アイツらと飯を囲って食べるのが楽しいんだよ。ヘヘヘッ。」
「……そっか。」
「オマエも一人じゃないから分かるだろ?」
「誰かと飯を食べんのは、何よりも幸せだってな!」
満面の笑みで答えるクミンに、サーチも笑顔で答えた。
「だな!」
クミンは大声でみんなに話しかける。
「よーし!」
「今晩はコクックが川で魚を捕まえるっつーことで!!」
「晩飯は魚料理だ──!!」
『コ、コケェェェェェ!?き、聞いてなッ──』
その言葉を聞いたコクックが動揺する中。みんなの声にかき消されていた。
「えー!ほんとにー!楽しみ〜!」
「さんせー!はやく行って来なよ〜コクックー!」
「んん〜♩ボクと対決でもするかい?コクック。」
『やったー!』
『ふふふ。』
『なら、ワタシは鍋の準備しよ〜っと♩』
その様子を見ながら、呆れるシャフ達。
「やれやれ。」
『まあ。たまにはいんじゃない?こういうのもさ。フフっ。』
「………。」
(落ち着かん。)
サーチは賑やかな皆んなを見ながら、勢いよく駆け寄った。
「ハ、ハハハッ!」
「待ってくれー!オレも行くー!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
読んでる人は多分3人目からは分かると思いますが。
一応誰が喋っていたのか補足。
(シード)「えー!ほんとにー!楽しみ〜!」
(ジーラ)「さんせー!はやく行って来なよ〜コクックー!」
(スパイシー)「んん〜♩ボクと対決でもするかい?コクック。」
(フロデューテ)『やったー!』
(サン)『ふふふ。』
(キャロット)『なら、ワタシは鍋の準備しよ〜っと♩』
(シャフ)「やれやれ。」
(イナリ)『まあ。たまにはいんじゃない?こういうのもさ。フフっ。』
(アストラ)「………。」
(落ち着かん。)
です!




