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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二・五章─王国跡地編〜交錯する勢力達〜─
241/253

欠片239.『明日ありと思う心の仇桜。夜半に嵐の吹かぬものかは。』


欠片(ピース)239.『明日(あす)ありと思う心の(あだ)桜。夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは。』です!



台屑所要塞(キッチンフォートレス) 森の奥地】


【サーチサイド】



アストラが『浣屑熊(ラクウーシュ)』巣穴を見つけてから数十分後。

サーチも巣穴を見つけていた。



(あそこだな。)



ゴソゴソ……カチッ。


巣穴に入る前に、サーチは『魔掘屑箱(マクセツバコ)』から細長いモノを取り出していた。

両手に持つサーチはソレを見つめて口角を上げていた。


(ヘーパさんからもらった。コイツを試させてもらうぜ。)



➖───────────────────────



彷宵徨要塞(イブニングフォートレス) 公爵部屋】


鳳凰屑神鳥(ホウオウセツシンチョウ)との戦いから数日後。

サーチはヘイパに呼ばれて公爵部屋へとやってきていた。



『やあ〜〜出発前でバタバタしてる所悪いね。』


「いいよ!それより、どうしたんだ?」

「フロデューテもヴィーナスのねぇちゃんもいねぇじゃんか」


辺りをキョロキョロと見渡すサーチに、ヘイパは机の上にあるモノを置いた。


『今日はサーチくんに用があるんだ』


ガチャ──。



「これって……。」



『うん』


笑顔で答えるヘイパの前に置かれていたのは細長い刀身をした『破片ノ武器(ウェード)』だった。



「カタナってやつじゃんー!!」

「なんでこれを?」


『サーチくんにプレゼントしようと思ってね!』



「うそ!?ホントにいいのかー!」



『うん。』


『この先、キミはもっともっと強くなるだろう。』

『でも、それはキミと戦う相手もそうかもしれない。』


ヘイパの言葉に、サーチは真剣な目で真っ直ぐに見つめながら聞いていた。


「………。」



『でも。その時が、いつ来るのかなんて分からないからね。コレは、それを補う為の"力"だよ。』

星屑(せいせつ)とは違い、ただの破片ノ武器(ウェード)だけど。』


『ある友人から貰った刀なんだ。』



「そんな破片ノ武器(ウェード)をもらっていいのか!?」



『………。』

桜花(おうか)さん。貴女(あなた)の想いも。彼に託そうと思うよ。》

《サーチくん。フロデューテちゃんを守ってあげてね。》



『サーチくん。こんな言葉を知ってるかい?』

明日(あす)ありと思う心の(あだ)桜。夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは。とね。』



「聞いたことねぇ…」

「どういう意味なんだ?」



『ボクの故郷にはね。『(さくら)』と呼ばれるピンク色をしたとても美しい花があってね。』

『その花びらは、少し強い風が吹いただけでも散ってしまうんだ。』


『だから、明日も桜が見られるだろう。と、思っていても……夜中に突然嵐が来て、花びらが散ってしまうように。人生は、予測不能な出来事がいつ起きても不思議ではない。ってことを表している言葉なんだ。』



「そしたらさ、また別の桜を見に行けばいいじゃん!!へへっ!」



サーチの突拍子もない言葉にヘイパは目に涙を浮かべ、指で拭き取ると盛大に笑い出した。


『……くはぁっ〜!ハハハ!確かにね。その通りだ!』



『ボクはね。その言葉の裏にはきっと。』


『「今」を大切に生きることの大切さを問う言葉だと思ってた。』



『だけど、新しい花びらを見届けるのも──』

《このままボクが持っていても。いつの日か、この刀は枯れてしまう。》



『悪くないかもね!』



『それに、道具は使われる為に存在している。使われないのは可哀想だからね。』



「ヘーパさんが使わないの?」



『………。ボクにはもう。この刀を抜くことが出来ないからね。』



「?」



『だから──』


ヘイパは刀を手に取り、サーチがいる対面に歩いていく。

そして、サーチの手にしっかりと刀を手渡した。



『この先……キミの力と成り。誰かを守る為の一部として。』


『サーチくん。キミに使って欲しいんだ。』



『頼めるかな?』


ヘイパは『ニコリ』と笑った。

その笑顔を見て、サーチは刀を両手でしっかりと握り笑顔で答えた。



「うん!!」



────────────────────────➖



「ヘーパさんにもらったこの刀。」

(使い方は教えてもらったけど……時間もなかったし。馴染ませとかないと。)


カチャ─。


ピンク色の編み模様が入った鞘に手をかけるサーチは、刀を鞘から引き抜いた。



スゥゥゥゥ──。



引き抜かれた刀身には、一直線に2本の線が入っており、ピンク色の色彩が入っていた。



「何度見てもキレイな刃だなぁ〜。機巧技師の腕前も相当だけど。」

(この刀を使ってた人の手入れがスゲェ。汚れも、刃こぼれ一つもない。でも……)



(めちゃくちゃ大切に使われていたのは分かる。)



「そんな刀をオレに。」



洞窟を見つめるサーチは刀を握り、真面目な顔で歩き出した。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

昨日は更新できずにすみません!


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