欠片237.『デブリ』
欠片237.『デブリ』です!
今回、アニメとかでよく聞く、場面転換時(現在軸)の行動に合わせて、過去に話したセリフを話したりする。ことを〔〕の中にセリフを入れて書きました。
なので、次回の前書きから追加しておきます。
〔〕のセリフ=行動に合わせて、過去のセリフを照らし合わせている場面で使用
シャフ、イナリ、キャロット、フロデューテ、サンをその場に残し、意識を取り戻し冷静になったコクックに連れられて、サーチとアストラは川の上流へと向かっていた。
『コケェ──!!な〜んだ!オメェいいヤツじゃねぇか!!コッコー!』
「ハハハっ!オマエこそ、ノリが良くておもしろいヤツだなー!」
サーチとコクックが意気揚々と歩く中、アストラは特に触れないまま心の中で呟いていた。
(騒がしいな。)
「ところでさ!そのラクウーシュってどんなヤツなんだ?」
『アァ〜ん?そうだなァ〜。ヤツらは鋭い爪と牙をもってやがるんだ。』
『オレ様の羽も何度かムシられそうになったことがあるしなァ。コケェ。』
『体長はそこまででもねェ。ただ……数が多い。』
『一度に集まってるのは数匹程度だが。この森に住んでる数は多いのさ。』
『クミンの旦那達が倒しても倒しても、すぐにまた現れやがる!!』
『繁殖力が凄まじいんだ。浣屑熊って獣はな。』
「へぇ〜、数が多いのか!なら、巣とかあるの?」
『それがまた分からねェんだなァ〜。クミンの旦那が探してみたけど、見当たらなかったらしいしよォ〜。』
「そうなのか……。でも、今倒してもまた現れるかもしれないんだもんな。」
「巣も見つかるといいけど……」
『──おっ!』
『そろそろだ!木の影から様子をみるぞ!コケェ!』
木の影から覗くサーチ達が川を見ると、体長1mくらいの大きさをした浣屑熊が5、6匹集まって何かを洗っていた。
その様子を見ながら、サーチは図鑑で見た記憶を思い出すと小さな声で話していた。
「思い出した!図鑑で見たことがあるぞ!」
「確か、「アライグマ」に似てる在屑物だ!」
『アライグマァ?聞いたことがねェぜ。コケェ!』
「洗う習性があるって聞いて、なんか引っかかってたんだよなー!」
「盛り上がるのは構わんが。時間が惜しいのだろう?」
『コッコ!そうだ!早く回収してやらねェと!!』
「作戦がある。二人ともよく聞いてくれ。」
「うん。」
『コケェ!』
「作戦はこうだ───」
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「分かったな?」
「おう!」
『コ、コケェ!任せとけェ!』
「なら、手筈通りに頼む。」
シュッ──。
木の影で話していたアストラは、木の上へと登って行った。
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水辺で洗い物をする『浣屑熊』達。
その頭上に輝く太陽の中に、人影が入り込んでいた。
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「作戦はこうだ──」
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バッ──。
木の上から浣屑熊目掛けて空中に舞いながら右手に持つ『龍屑・孔』を、左肩の方に構える。
〔まずは、ワタシがヤツらの内。四匹を倒す。〕
〔そして、残りの二匹をわざと逃がす。〕
〔え?逃がしちゃっていいのか?〕
〔構わん。ヤツらの後を──〕
空中から浣屑熊目掛けて4連続の突きを放つアストラ。
「『龍屑・孔』──」
「『凸・乱反射』!!」
"ドドドドッ""ボッ"──!!!!
頭上から放たれた空気は、4体の浣屑熊の体を貫いた。
『キュウィ──!?』
『キュキュウッ!!』
突然倒れていく浣屑熊を見て、その場を後にして逃げる2匹の浣屑熊。
「サーチ!そっちは頼んだぞ!」
「ああ!!任せろ!」
サーチは森の中を走りながら、アストラの作戦を思い返していた。
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「構わん。ヤツらの後を追いかけて住処を見つける。」
「繁殖力が高いと言ったな。もしかしたら、ヤツらの巣は複数あるのかもしれん。」
「今この場で戦えるのは、ワタシとサーチしかいない以上。追いかけるのは二匹までだ。」
「そして、ワタシとサーチが追いかけている間に、コクック殿には道具の回収を行って頂きたい。回収後は皆がいる場所に戻ってくれ。」
『コ、ココ……。分かったぜェー!!』
《す、すぐに状況を見て作戦を考えるたァ〜。キレるネェちゃんだな。》
《動揺も緊張もしてねェ。クミンの旦那達でさえ、数が多い時は狼狽えることもあんのによォ。》
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「よし。このまま追いかけて全部ぶっ倒してやるぜ!」
追いかけていく2人の姿を見ながら、コクックは汗をかいて驚いていた。
『ハ……ハハ。スゲェな…。あのネェちゃんも冷静だが。あのガキ、小せえのに怖がってもいねェのかよ。』
『クミンの旦那達でさえ、四人で戦う相手なのに…。』
『おっと!!こうしちゃいられねェ〜〜!コケェ───!!』
『さっさと回収して、オレ様はトンズラだぜェ!!』
川岸に放置された数々の調理器具を持って、コクックは皆んなが待つ広場へと戻って行った。
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【サーチサイド】
森の中を走りながら、逃げていく浣屑熊を追いかけるサーチ。
「──クソッ!けっこうはぇーな!!……ハァ!」
(にしても、なんでこんなに数がいて……要塞の方にはいなかったんだ?)
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【とある屋敷】
メリウス・マーキュリはテーブルの前に座っており、楽士が話しかけていた。
『マザー。全ての機屑物と在屑物にプログラムを施しました。これで、要塞には行かないようになっていると思います。』
『そう。ありがとう。』
『その調子で頼むわ。』
『ハッ──。』
『マザー。』
『まだ何か?』
『その。何故、このような事をされるのですか?』
『何故って、それは……』
その時、メリウスの脳内に通信音が鳴り響いた。
『!!』
その様子を後ろから伺う楽士。
《笑っておられる?》
『どうかされましたか?マザー。』
『フ……フフッ。』
『いやね…。ちょうど今。』
『ぶつかったみたい。ククッ……クフフッ。』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
考えたけど特に思いつかないので、執筆します。




