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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二・五章─王国跡地編〜交錯する勢力達〜─
232/262

欠片230.『魔力の底』

欠片(ピース)230.『魔力の(そこ)』です!


※本作の「」と間にある───の種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』

・・=強調

" "=強調、効果音など

─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』

➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

─2本=漫画で例えると『時の流れ』



説明を終えたアストラは、2人に魔力を放出するように伝えていた。


「現状を把握しよう。二人とも、魔力を放出してくれ。」



「どのくらい出せばいいの?」


「五秒だ。全力でいい。」


その言葉に頷くサーチと、フロデューテは戸惑っていた。


『ねぇ、アストラ。アタシは元々魔力がなかったから、鬼神(オーゴット)にならないと出せないんじゃないかな?』

『魔力の出し方なんてやり方わかんないよ?あの時は自然と魔力が出てたから。』


フロデューテを黙って見つめるアストラだったが、全身を見た後に答えた。



「………」



「いや。オマエの体にも魔力は宿っている。」

「後は引き出す方法を身につければいい。」



『うそっ?ほんとに!?』


「ああ。フロデューテは別の鍛錬にするか。」

「サーチ。オマエは魔力を、五秒間全力で出し続けてみろ。」



「おっす!!」


サーチは目を瞑り集中し始めると、身体中からゆらゆらと白い魔力が出現し始めた。



─────────────────────────



その様子を静かに見守るアストラ。


(破片(グレ)枯草群生(ガリアス)でも魔力の放出はあったが。普段は白い魔力をしているようだな。)

(前回は三メートル程度の放出だったが……)



─────────────────────────



(今回は全力で出せばいいんだよな。内側から全部の魔力を出す感じで……)

「ハァァァァアッ!!!」


閉じていた目を開くサーチ。



"ブゥワァァァァァァァッ"〜〜〜!!!


すると、勢いよく10mくらいの高さに、白い荒々しい魔力が放出されていた。



(これがいまオレが一度に出せる全力。でも……これを保つのはやっぱりムリだ……!!)



額に汗をかくサーチは、歯を食いしばりながら声を出し気合を入れ直した。



「ハァ"ァァァアッ──!!!」


(クソッ!五秒が、なげェ……!!)

(まだか…!?)



(さん)。」


その時、意識外からアストラの声を微かに聞き取るサーチ。



(まだ三秒かよッ──!!ダメだ……なんとか保たせないとッ……!)



(いち)。」



「ハァ……!ハァッ…!!」

(ヤバい……頭がぼっーとして……)



「そこまでだッ!!」


「ハァ……ハァ──…」

(なんだ……)



「──チ!──う終わりだ!」

『───チ!!ねぇ!──えてる?』



(声が聞こえ……)



ドサッ。


サーチの視界が暗くなり、そのまま気を失ってしまった。



─────────────────────────

─────────────────────────



【3時間後】



辺りは真っ暗で、森の中はとても静かだった。

焚き火の火が弾ける音と明るい光でサーチは目を覚ました。


「うっ……あれ?」

「……なんでオレ。」



『魔力切れで、意識を失っておられました。』



フロデューテ以外の3人が、焚き火を囲む中。『どうぞ。落ち着きますよ。』と、サンがハチミツを入れたお湯をサーチに手渡していた。

サーチも「ありがと。」とお礼を言うと、ゆっくりとコップを口につけた。



「そっか……魔力を全力で出してたんだっけ…」



「五秒と言ったのに、それ以上続けるからだ。バカ者。」


奥の木に背をかけるアストラが、サーチに声をかける。



「だって!途中から意識がうすくなってってたんだよ!」

「あの時は必死で……!それに、師匠たちの声も聞こえなくなってたし…。」



「魔力切れを起こすと、体内に急激な負荷がかかるんだ。」



「通常の人間(にんげん)は、運動をすると体に負荷がかかり、身体は疲労して筋肉も萎縮する。」

「食事を摂り、睡眠をして休むことで。翌日には体はいつも通りの状態へと戻る。」


「だが。体内に魔力を持つ人間は、常時魔力が体内に流れている。そして無意識化の内に、体の負荷を抑えているんだ。」

「だから、魔力切れを起こした時。常人よりもそれだけで疲労を感じやすい。」


「あるものがないものとされ、そのなかったものがいきなり現れるんだからな。」



「魔力切れ……そうだったのか。」

「どうしたらソレを防げるんだ?」



「魔力切れを防ぐ方法はない。」


「だが、己の持つ魔力の限界量を知り、常に自身の使える魔力の量を把握するんだ。」

「少なくとも。今までに魔力の減少を感じることはあったんじゃないか?」



「──!!」

「確かに。口では説明できないけど……感覚的に魔力が足りねぇって時は何度かあったかも!」



「それが分かっていれば、あとは己の限界量を知り、常に放出した量を意識すればいい。」

「それと、基礎体力を上げることだ。」


「日頃から行っている鍛錬がまだ。足りていない証拠だ。」



「おっす。」


「仮に魔力切れで負荷がかかった時。動けませんでした。では話にならん。」

「魔力がない時でも動ける体を作れ。いいな。」



「おッす!」


アストラの言葉を胸に抱え、サーチは元気よく答えた。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


感想やブックマーク、↓☆の評価 、Xのフォローなどしていただけると、今後の励みにもなりますので、応援よろしくお願いいたします!


[今回の一言♩]

現在41のキャラ設定を考えていってます。

ちなみに、まだ倍くらいは増えそうです。

ストックが無くなって来たので泣きそう。


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