欠片230.『魔力の底』
欠片230.『魔力の底』です!
※本作の「」と間にある───の種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』
・・=強調
" "=強調、効果音など
─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』
➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
─2本=漫画で例えると『時の流れ』
説明を終えたアストラは、2人に魔力を放出するように伝えていた。
「現状を把握しよう。二人とも、魔力を放出してくれ。」
「どのくらい出せばいいの?」
「五秒だ。全力でいい。」
その言葉に頷くサーチと、フロデューテは戸惑っていた。
『ねぇ、アストラ。アタシは元々魔力がなかったから、鬼神にならないと出せないんじゃないかな?』
『魔力の出し方なんてやり方わかんないよ?あの時は自然と魔力が出てたから。』
フロデューテを黙って見つめるアストラだったが、全身を見た後に答えた。
「………」
「いや。オマエの体にも魔力は宿っている。」
「後は引き出す方法を身につければいい。」
『うそっ?ほんとに!?』
「ああ。フロデューテは別の鍛錬にするか。」
「サーチ。オマエは魔力を、五秒間全力で出し続けてみろ。」
「おっす!!」
サーチは目を瞑り集中し始めると、身体中からゆらゆらと白い魔力が出現し始めた。
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その様子を静かに見守るアストラ。
(破片ノ枯草群生でも魔力の放出はあったが。普段は白い魔力をしているようだな。)
(前回は三メートル程度の放出だったが……)
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(今回は全力で出せばいいんだよな。内側から全部の魔力を出す感じで……)
「ハァァァァアッ!!!」
閉じていた目を開くサーチ。
"ブゥワァァァァァァァッ"〜〜〜!!!
すると、勢いよく10mくらいの高さに、白い荒々しい魔力が放出されていた。
(これがいまオレが一度に出せる全力。でも……これを保つのはやっぱりムリだ……!!)
額に汗をかくサーチは、歯を食いしばりながら声を出し気合を入れ直した。
「ハァ"ァァァアッ──!!!」
(クソッ!五秒が、なげェ……!!)
(まだか…!?)
「三。」
その時、意識外からアストラの声を微かに聞き取るサーチ。
(まだ三秒かよッ──!!ダメだ……なんとか保たせないとッ……!)
「一。」
「ハァ……!ハァッ…!!」
(ヤバい……頭がぼっーとして……)
「そこまでだッ!!」
「ハァ……ハァ──…」
(なんだ……)
「──チ!──う終わりだ!」
『───チ!!ねぇ!──えてる?』
(声が聞こえ……)
ドサッ。
サーチの視界が暗くなり、そのまま気を失ってしまった。
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【3時間後】
辺りは真っ暗で、森の中はとても静かだった。
焚き火の火が弾ける音と明るい光でサーチは目を覚ました。
「うっ……あれ?」
「……なんでオレ。」
『魔力切れで、意識を失っておられました。』
フロデューテ以外の3人が、焚き火を囲む中。『どうぞ。落ち着きますよ。』と、サンがハチミツを入れたお湯をサーチに手渡していた。
サーチも「ありがと。」とお礼を言うと、ゆっくりとコップを口につけた。
「そっか……魔力を全力で出してたんだっけ…」
「五秒と言ったのに、それ以上続けるからだ。バカ者。」
奥の木に背をかけるアストラが、サーチに声をかける。
「だって!途中から意識がうすくなってってたんだよ!」
「あの時は必死で……!それに、師匠たちの声も聞こえなくなってたし…。」
「魔力切れを起こすと、体内に急激な負荷がかかるんだ。」
「通常の人間は、運動をすると体に負荷がかかり、身体は疲労して筋肉も萎縮する。」
「食事を摂り、睡眠をして休むことで。翌日には体はいつも通りの状態へと戻る。」
「だが。体内に魔力を持つ人間は、常時魔力が体内に流れている。そして無意識化の内に、体の負荷を抑えているんだ。」
「だから、魔力切れを起こした時。常人よりもそれだけで疲労を感じやすい。」
「あるものがないものとされ、そのなかったものがいきなり現れるんだからな。」
「魔力切れ……そうだったのか。」
「どうしたらソレを防げるんだ?」
「魔力切れを防ぐ方法はない。」
「だが、己の持つ魔力の限界量を知り、常に自身の使える魔力の量を把握するんだ。」
「少なくとも。今までに魔力の減少を感じることはあったんじゃないか?」
「──!!」
「確かに。口では説明できないけど……感覚的に魔力が足りねぇって時は何度かあったかも!」
「それが分かっていれば、あとは己の限界量を知り、常に放出した量を意識すればいい。」
「それと、基礎体力を上げることだ。」
「日頃から行っている鍛錬がまだ。足りていない証拠だ。」
「おっす。」
「仮に魔力切れで負荷がかかった時。動けませんでした。では話にならん。」
「魔力がない時でも動ける体を作れ。いいな。」
「おッす!」
アストラの言葉を胸に抱え、サーチは元気よく答えた。
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[今回の一言♩]
現在41のキャラ設定を考えていってます。
ちなみに、まだ倍くらいは増えそうです。
ストックが無くなって来たので泣きそう。




