欠片21.『ユリニト』
欠片21.『ユリニト』です!
【鉄屑要塞より南東191km】
(進行732km 残り1997km)
「そろそろ慣れてきたんじゃないか?」
「ん〜〜なんか違うんだよなぁ…」
「弾は素早く出るし、装甲も前より硬い!」
「スゲー軽くなったから持ちやすい!」
「でも、な〜んか違和感が抜けないんだよ」
「こう……なんか"モヤモヤ"した感じ?」
「……」
「おそらく、本来その破片ノ武器は魔力を使って扱うのだろう」
「まりょく?」
「そうだ」
「この世界において、魔力を持つものは数少ない」
「全人口の一割にも満たないだろう」
「オレに魔力なんてあんの?」
「……ない。」
(今は……な。)
「じゃあ、本来の力を全部出せないってことか〜」
がっかりしているサーチに、アストラは言葉をかけた。
「安心しろ」
「『魔屑石』と呼ばれるものがある」
「ませつ、せきー?なにそれ?」
「魔力を込めた石だ」
「それをはめ込めば、おそらく魔弾が撃てるだろう」
「あー!!!それでこんなところに穴があったのか!」
そう言うとサーチは新しくなった『破片ノ銃剣・屑』の銃口の根本部分に小さな穴を見つけて興奮していた。
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【鉄屑要塞より南東195km】
(進行736km 残り1994km)
歩いてきた2人は、壊れて止まっている馬車に出会った。
その馬車の馬は在屑物で、部分的に白い装甲に変化しており、『鉄蹄白装甲』と呼ばれている。
「師匠!あそこに壊れてる馬車があるぞ!」
「中の人が無事か心配だ!見に行こう!」
「ああ」
「誰かいますかー!!」
「大丈夫ですかー?」
サーチが叫んでもしばらく反応がなかったが、しばらく辺りを探していると、数分後に人が戻ってきた。
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『いや〜ごめんねぇ〜』
と、話す長い耳の人物は、手を合わせながら微笑んできた。
『ボクの名前はユリニト』
『よろしくね!』
商人[ユリニト(888)]
[種族:エルフ]
「オレはサーチ!それと師匠のアストラだ!」
「どうも」
相変わらずの冷たい目で挨拶をするアストラだが、初対面の人は印象として怖かったのだろう。
『ワ、ワァ〜……お姉さん怖いねぇ〜アハハッ…。』
『ボク、なにかワルいことしちゃったかな……?ハハッ…』
「それよりさ!馬車が壊れてるけど」
「どこまで行く予定だったの?」
『ああ!』
『ここから〜、だいたい900kmくらい先にある『白骨屍屑山』に行く途中だったんだよ』
「白骨屍屑山?」
『そうだよ〜、大きな山なんだけど。』
『あの山はね───数々の生ける屍……』
「……ゴクッ」
『そうー!!"ゾンビ"がいるんだよ!!!"ゾンビー"!!』
「ゾンビって……なに?」
『えあっ!?』
『あ、そっかヒト族の寿命は短いんだもんね』
『はるか大昔に存在したって、ボクより長寿のエルフに聞いたことがあるんだけど』
『死んだ人間が生き返って動き出す。そんな化物のことをそう呼ぶんだ!』
「死んだのに生きてんの!?」
「どういうこと!?」
『あ、ちゃんと死んではいるんだけどね!!』
『アハハハハハッ!!』
「イ…イミがわかんねェ……」
「ほんとにそんなのがいるの?」
『さぁね〜!あくまで噂だし〜♩』
「えぇ……」
と、ユリニトに振り回されるサーチであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
[初期コメント]
世界観的にファンタジーなので魔力はある設定でした!
ただ、出すタイミングがなかなか無くて…(汗)
やっと出せた〜!




