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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
225/266

欠片223.『世界情勢─④』


欠片(ピース)223.『世界情勢─④』です!



【魔界 円卓の間】


円卓の席は誰にも座っておらず、ルシフェルとジェラスは立ち話をしていた。



『この前、マモンの野郎と何を話してたんだ?』


『ただの世間話だ。』



『─ッハ。そうかよ。』

《あの腹黒との話だ。世間話な訳がねェだろうが。』


『まぁいいぜ。』

『そういやぁ、銀鳥(ギンチョウ)が破壊されたらしいな。』


魔王直下 七大魔族(ななだいまぞく)

一柱(ひとばしら)の一人 嫉妬の悪魔[ジェラス(5252)]

           [種族:大魔族]



『ああ。』


魔王直下 七大魔族(ななだいまぞく)

一柱(ひとばしら)の一人 傲慢(ごうまん)の悪魔[ルシフフェル(8181)]

           [種族:大魔族]



『厄介払いしてくれて、我々にとっては好都合だ。』


『また例のガキか?』


『そうとも言えるが、そうではない。鬼神(オーゴッド)が生まれた。』



『先代の時も厄介だったが……金星か?』


『いや。その妹らしい。今後の動き次第だが……金星を(やろ)うとする時に邪魔されかねん。』



『なら、どうする?』


『ラースとラトニーに行かせろ。』


『土星はいいのか?』



『放置でいい。五英傑(ごえいけつ)も居場所を転々としている。しばらくは手薄だろう。』

『好奇でもあるがな。』


『予定が変われば、また指示を出すさ。』



『なるほど。アウスラストはもう行ったのか?』



『ああ。すでに、世界樹へと向かっている。』



─────────────────────────



【とある屋敷】


少年の姿をしたメリウス・マーキュリは、依然としてその場を離れる気配はなかった。



『ねぇ、知ってる?』



『何でしょう?』


昔物語(オルデンヒストリー) メンバー[無関(ムカンシ)(36)]

         [種族:〇〇]



メリウスが座る椅子の隣に立つ黒いドレス姿の女性が聞き返す。



『勇者だ異世界人だって、王国ははしゃいでたけどさ。結局、何の役にも立ってないんだよねぇ〜。』


『六十九年前の戦いでは、魔王と魔女が協定を結んだのではないのですか?』


『アレは、あの女のワガママでしょ。結局何にも起きてない。』

『あの後、彼らが再び集まっていたら……。』



『………。』


顔を黒いベールに覆われ、目元をアイマスクしているのに、メリウスは見られているのを感じていた。



『……なんだい?普段は関心が無いキミが、何か言いたげな顔をしているね。』



『マザーにはお顔が見えないハズですが。』


『魔法だよ。ふふっ。』

『魔法……ですか。』


『………。』

『マザーは、魔女を恨んでいるのですか?』



『……!意外な事を聞くねぇ。』



『……不思議に思ったので。』



『キミが不思議に思うとは珍しい。』

『別に。どうとも思ってないよ。』



『恋心には、勝てないモノもあるからね。』



─────────────────────────



【ルインルーナ王国跡地より南西2916km】


【大要塞 赤土溶要塞(フェリックフォートレス)



【医務室】



『ア、アニキ。大丈夫ですかい?』


マシウスの舎弟[ピューピル(23]

       [種族:獣人(モデル:チーター)]



体の所々に、包帯で巻かれたライオンの獣人が、ベッドに横になったまま答える。



『……黙れ。』


八天星(はちてんせい) 火星(かせい)】[マシウス・マース(46)]

       [種族:獣人(モデル:ライオン)]



『す、すいやせん……。』

《あのアニキが……こんなに切り傷が出来るなんて。》


《一体何が……。》



『………ガルルルゥ…。ぜってぇ許さねェぞ。』

『あのクソガキ……。』



─────────────────────────



【ルイルーナ王国跡地より北東に3123km】


【大要塞 農楽園要塞(アグリカルフォートレス) 公爵部屋】



テーブルを挟んで畳に座る2人の間には、陶器に入れられたお茶が置いてあった。



「四神ねぇ。ジイさんは戦ったことがあるのか?」


公爵[ファーム(31)]

  [種族:ヒト]



「いや。ワシは無いのぉ。」


八天星(はちてんせい) 土星(どせい)】[ルーヌス・サタン(62)]

       [種族:ヒト]



「へぇ〜。ジイさんも戦ったことはねぇのか。」


「しっかし、人智が勝てない領域だった化け物を……倒すたァ〜やるねぇ〜!」

彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)といやぁ、鬼人の里だろ?」


「ヘイパが居るとこだよな?」



「そうじゃな。ヘイパ殿は元気でありますかな。」

「気になりますなぁ。」


「ハハッ!アイツのことだ。なんだかんだ上手くやってんだろ!」

「オレからすれば、マサムネの方が心配だけどなっ!ハッハッハ!」


「マサムネ殿はヤンチャですからのぉ。」

「今頃、どこで何をしておるのやら。ふふ。」



─────────────────────────



【ルインルーナ王国跡地より北に3288km】


【大要塞 海底要塞(シーベットフォートレス)  公爵部屋】



青黒っぽい石でできた部屋の中、手前にある水中から顔を出す人物がいた。

その人物の体はシャボン玉のような見た目の膜に覆われており、そのまま部屋の中へと上陸していた。


チャプン──。スッ──。


スタッ、スタッ。



歩いてくる少年に、青黒っぽい石でできた椅子に座る女性が声をかける。



『あら?どうしたの?アルマ。』


女公爵(じょこうしゃく)[ブルー・マリン(38)]

   [種族:人魚マーメイド]



「ご報告に参りました。近海の空に魔族の姿が。」

「いかがいたしましょうか?」


補佐役[アルマ(13)]

   [種族:ヒト]



『──!!』

『幹部はいるの?』



「いえ、下級魔族しか確認できません。」


『そう。警戒はしながら迎撃しましょう。』

『すぐに迎える兵を集めてちょうだい。』


「かしこまりました。」


アルマは再び水の中へと潜っていった。



『王国なき今……会議が必要だと言うのに。』


ギリっ─。



爪を噛むマリンの眉間にはシワが寄っていた。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

マーブルチョコにハマってます。


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