欠片223.『世界情勢─④』
欠片223.『世界情勢─④』です!
【魔界 円卓の間】
円卓の席は誰にも座っておらず、ルシフェルとジェラスは立ち話をしていた。
『この前、マモンの野郎と何を話してたんだ?』
『ただの世間話だ。』
『─ッハ。そうかよ。』
《あの腹黒との話だ。世間話な訳がねェだろうが。』
『まぁいいぜ。』
『そういやぁ、銀鳥が破壊されたらしいな。』
魔王直下 七大魔族
一柱の一人 嫉妬の悪魔[ジェラス(5252)]
[種族:大魔族]
『ああ。』
魔王直下 七大魔族
一柱の一人 傲慢の悪魔[ルシフフェル(8181)]
[種族:大魔族]
『厄介払いしてくれて、我々にとっては好都合だ。』
『また例のガキか?』
『そうとも言えるが、そうではない。鬼神が生まれた。』
『先代の時も厄介だったが……金星か?』
『いや。その妹らしい。今後の動き次第だが……金星を殺うとする時に邪魔されかねん。』
『なら、どうする?』
『ラースとラトニーに行かせろ。』
『土星はいいのか?』
『放置でいい。五英傑も居場所を転々としている。しばらくは手薄だろう。』
『好奇でもあるがな。』
『予定が変われば、また指示を出すさ。』
『なるほど。アウスラストはもう行ったのか?』
『ああ。すでに、世界樹へと向かっている。』
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【とある屋敷】
少年の姿をしたメリウス・マーキュリは、依然としてその場を離れる気配はなかった。
『ねぇ、知ってる?』
『何でしょう?』
昔物語 メンバー[無関(36)]
[種族:〇〇]
メリウスが座る椅子の隣に立つ黒いドレス姿の女性が聞き返す。
『勇者だ異世界人だって、王国ははしゃいでたけどさ。結局、何の役にも立ってないんだよねぇ〜。』
『六十九年前の戦いでは、魔王と魔女が協定を結んだのではないのですか?』
『アレは、あの女のワガママでしょ。結局何にも起きてない。』
『あの後、彼らが再び集まっていたら……。』
『………。』
顔を黒いベールに覆われ、目元をアイマスクしているのに、メリウスは見られているのを感じていた。
『……なんだい?普段は関心が無いキミが、何か言いたげな顔をしているね。』
『マザーにはお顔が見えないハズですが。』
『魔法だよ。ふふっ。』
『魔法……ですか。』
『………。』
『マザーは、魔女を恨んでいるのですか?』
『……!意外な事を聞くねぇ。』
『……不思議に思ったので。』
『キミが不思議に思うとは珍しい。』
『別に。どうとも思ってないよ。』
『恋心には、勝てないモノもあるからね。』
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【ルインルーナ王国跡地より南西2916km】
【大要塞 赤土溶要塞】
【医務室】
『ア、アニキ。大丈夫ですかい?』
マシウスの舎弟[ピューピル(23]
[種族:獣人(モデル:チーター)]
体の所々に、包帯で巻かれたライオンの獣人が、ベッドに横になったまま答える。
『……黙れ。』
【八天星 火星】[マシウス・マース(46)]
[種族:獣人(モデル:ライオン)]
『す、すいやせん……。』
《あのアニキが……こんなに切り傷が出来るなんて。》
《一体何が……。》
『………ガルルルゥ…。ぜってぇ許さねェぞ。』
『あのクソガキ……。』
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【ルイルーナ王国跡地より北東に3123km】
【大要塞 農楽園要塞 公爵部屋】
テーブルを挟んで畳に座る2人の間には、陶器に入れられたお茶が置いてあった。
「四神ねぇ。ジイさんは戦ったことがあるのか?」
公爵[ファーム(31)]
[種族:ヒト]
「いや。ワシは無いのぉ。」
【八天星 土星】[ルーヌス・サタン(62)]
[種族:ヒト]
「へぇ〜。ジイさんも戦ったことはねぇのか。」
「しっかし、人智が勝てない領域だった化け物を……倒すたァ〜やるねぇ〜!」
「彷宵徨要塞といやぁ、鬼人の里だろ?」
「ヘイパが居るとこだよな?」
「そうじゃな。ヘイパ殿は元気でありますかな。」
「気になりますなぁ。」
「ハハッ!アイツのことだ。なんだかんだ上手くやってんだろ!」
「オレからすれば、マサムネの方が心配だけどなっ!ハッハッハ!」
「マサムネ殿はヤンチャですからのぉ。」
「今頃、どこで何をしておるのやら。ふふ。」
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【ルインルーナ王国跡地より北に3288km】
【大要塞 海底要塞 公爵部屋】
青黒っぽい石でできた部屋の中、手前にある水中から顔を出す人物がいた。
その人物の体はシャボン玉のような見た目の膜に覆われており、そのまま部屋の中へと上陸していた。
チャプン──。スッ──。
スタッ、スタッ。
歩いてくる少年に、青黒っぽい石でできた椅子に座る女性が声をかける。
『あら?どうしたの?アルマ。』
女公爵[ブルー・マリン(38)]
[種族:人魚マーメイド]
「ご報告に参りました。近海の空に魔族の姿が。」
「いかがいたしましょうか?」
補佐役[アルマ(13)]
[種族:ヒト]
『──!!』
『幹部はいるの?』
「いえ、下級魔族しか確認できません。」
『そう。警戒はしながら迎撃しましょう。』
『すぐに迎える兵を集めてちょうだい。』
「かしこまりました。」
アルマは再び水の中へと潜っていった。
『王国なき今……会議が必要だと言うのに。』
ギリっ─。
爪を噛むマリンの眉間にはシワが寄っていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
マーブルチョコにハマってます。




