欠片220.『干渉』
欠片220.『干渉』です!
※本作の「」と間にある───の種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』
・・=強調
" "=強調、効果音など
─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』
➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
─2本=漫画で例えると『時の流れ』
「その事で、ワタシからも話したい事がある。」
全員がアストラの声がする方を向いていた。
「神鳥との戦いの最中、ワタシは突然消えた。」
「そうだよ!どこに行ってたんだ?」
『そう!アタシも気になってたの!』
サーチとフロデューテの問いに少しの間を置いて話し始めるアストラ。
「あの時、何者かによって連れ去られていた。」
「『!!!』」
『!?』
『?』
あの時その場にいた3人は驚き、ヴィーナスは妙な表情をしながら、オールドは不思議そうな顔をして聞いていた。
『連れ去られてたって……』
「誰にだよッ──!!」
「落ち着け。」
「この話をするには、少し極子水星要塞での出来事を話す必要がある。」
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『なるほど。』
『で?その情報屋とどう関係があんだ?』
ヴィーナスの問いにアストラが答える。
「ワタシが連れてこられた場所に居たのは、その男だった。」
「そして、空間から自由自在にドアを作り、特殊な異空間を発生させ。瞬時に離れた場所へと移動する能力を持つ者もいた。」
『──ッ!!』
『アタイの時もそうだったぞッ!!ヤツが去っていく時に、いきなり空間にドアが開いて消えていきやがったんだ!!』
「少なくとも、その三名は仲間という事だろう。そして、ヴィーナスの話を聞く限り……おそらく異世界人の可能性が高い。」
「なんでそんなヤツらが師匠をさらうんだよ!」
「ヤツの話では、何かしらの目的があると言っていた。その為に、ワタシたちの行動が邪魔らしい。」
「ただ、闇雲に人殺しをする集団では無いとも言っていた。」
『ッハ!どうだかなァ。アタイは攻撃までされてる。』
「だが、実際のところ。撃ち込まれたのは魔力で、外傷は無かっただろう?」
「ワタシも隔離されたままでも不思議ではなかったが、こうして戻って来ている。」
『だからなんだよ。』
『テメェはソイツらの言うことを信じんのか?』
『普段のオマエなら、全てを疑がってかかるハズだろうがッ!!』
「少なくとも、こちらから敵対するメリットはないという事だ。」
アストラの言葉に、サーチも反対していた。
「まだ分かんねぇだろっ!ソイツらが悪いヤツかも知れないし!!」
「実際に、師匠が帰ってくる保証なんてなかったじゃねーか!!」
「それに……あの場で師匠がいなくなったから。」
『サーチ殿。それは。』
『………。』
サーチの言葉を察して、サンはヘイパの行動を無駄にしないように遮っていた。
それをフロデューテは俯きながら聞いていた。
『しかし、私もサーチ殿やヴィーナス殿の意見に賛成です。』
『その異世界人とやらが、こちらの世界に召喚された恨みを持っているのであれば……』
『我々に敵意を抱かない方が不自然な気もしますが。』
「何も、警戒をしないとは言っていないだろう。オマエたち。少しは冷静に話し合えないのか?」
「わざわざ相手にしなくても良いと言っているだけだ。」
「………ッ。」
『………チィ。』
「それに、いくつか情報は得た。」
「本名かは知らんが。情報屋の名は『ムメイ』と呼ばれていた。」
「ヤツは能力なのか不明だが、サーチたち側の状況も把握していた。その事を踏まえると……何かしら情報を得る手段があったのかも知れん。」
「そして、空間を移動できる人物は確認できなかったが、ソイツは『カッテイ』と呼ばれていた。』
「ムメイに……カッテイ。」
「どんなヤツか知らねーけどさ。もし会ったらオレがぶん殴ってやる。」
「話を聞かないバカ弟子め。」
「無意味な交戦を止めろと言ったんだ。」
「大切な仲間が、危ない目にあうかも知れなかったんだぞ!!」
「黙ってられるかよ!」
「……ハァ。」
「まぁいい。」
「どちらにせよ。警戒するしかない。」
『つっても、空間移動を使われんなら。警戒もクソもねェけどな。』
『魔力感知して間に合うとか言うレベルじゃねェーぞ?いきなり現れんだからな。』
「……対処が難しいモノに関しては仕方あるまい。」
『ちょっと思ったんだけど。』
と、フロデューテが提案していた。
『『記憶移動』を使えば脱出出来るんじゃないかしら?』
「あっ。」
「確かにそうじゃん!」
「いや。そう簡単な話では無い。」
「え?なんで?」
「確かに、特定の場所にいる場合は発動が可能だろう。だが、異空間となると話は別だ。」
「術者の魔力に満たされた空間の中では、おそらく発動しない。」
「んんー?」
『魔力干渉ですね。』
サーチが首を傾げる中、サンが口を挟む。
「ああ。」
「魔力干渉ってなんなんだ?」
「魔力と魔力のぶつかり合いによる衝突と思えばいい。」
「しょうとつ……」
「例えば、術者Aの魔力と術者Bが魔力をぶつけ合うことで何が起こると思う?」
「えーと。その魔力ってのは、発動する能力のことか?」
「いや。魔力の"出力"のことだ。」
「それなら、多い方が強いよな?」
「そうだ。」
「そこで先ほどの話に戻る。使用者の術による異空間という事は……その"空間そのもの"が魔力で作られているという事だ。」
「それに対して、ワタシ達がクロード殿から受け取っている『魔屑石』に込められている魔力量は遥かに少ない。」
「そうか……!!」
「ああ。つまり、ヤツの異空間の中では、ヤツの魔力量を越えられずに発動が出来ないだろうな。」
「まあ、運良く異空間から別の場所に出された場合は使用できるだろうが、もし『記憶移動』の存在を知られていたら。対策をするハズだろうな。」
「……結局。解決策って策はないのか。」
『それでも、チャンスがあるだけマシかもね。』
「そうだな。」
(この世界には、すごいヤツらがたくさんいんだな。)
(オレは、まだまだだ。)
「てかさ!フロデューテが金色に光ってたのは、あの姿は何だったんだ?」
「めちゃくちゃキレイな光の粒が輝いてたんだよ!」
「サンも見ただろ?」
『ええ。神秘的でした。』
『えへへっ!アレは、鳳凰フィーニクス様の加護によるおかげなの!』
『みんなのおかげで、力の使い方もわかったから。またピンチになったら使ってあげるね!』
明るく話すフロデューテに、ヴィーナスは真剣な顔で話しかける。
『デューティ。』
『お姉ちゃん…。』
『全部聞いたんだろ?オールドやフィーニクスからよォ。』
『うん。』
『………ハァ……。』
『これからどうしたいかは、オマエが決めろ。』
『答えが出たら、聞いてやる。』
『うん…。』
2人が話し終えると、今度はヴィーナスは全員に向けて話し始めた。
『デューティは今、鬼人から鬼神になった。』
『彷宵徨要塞に伝わる伝承によると、フィーニクスからの加護を得ることだけが、鬼神へとなるワケじゃねェらしいが……。』
『アタイとデューティの母親はかつて、鬼神だった。』
「!!」
「フロデューテの母ちゃんが!?」
『ああ。アタイが幼い頃。デューティが産まれてすぐに死んじまったけどな。』
『大代、鬼神となれば、自国を守る為に居座らなきゃならねェ。それが、"鳳凰フィーニクスとの繋がり"を意味するからだ。』
『そうしてココは守られて来た。』
『まあ、必ずしも毎回鬼神が誕生するワケじゃねェ。前はオールドのジィさんが加護を引き継いでいたおかげで、ココの守りも強化されてたかんな。』
『ただ。オールドのジィさんは加護を三つしか貰ってなかった。』
『鬼人によって授かる加護の数は違ェ。だが──』
『鬼神は全ての加護を受け継ぐ。それ故に鬼人の神となるんだ。』
『その強大な力の代わりに、代償ももちろんある。まあ、デューティももう分かってんだろ……。』
『………。』
フロデューテは真剣な顔で、ただ頷いていた。
『まっ、とりあえず細かい話はまた明日だ。ヘーパの野郎が起きるかもしれねェしな。』
『もう解散でいいが、アストラ。オマエは話がある。』
「分かった。」
会議室にはアストラとヴィーナスの二人が残っていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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[今回の一言♩]
昨日はお休みしてすみませんでした!
ハイキュー見終わったんで頑張ります!




