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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
222/257

欠片220.『干渉』

欠片(ピース)220.『干渉』です!


※本作の「」と間にある───の種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』

・・=強調

" "=強調、効果音など

─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』

➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

─2本=漫画で例えると『時の流れ』




「その事で、ワタシからも話したい事がある。」


全員がアストラの声がする方を向いていた。



「神鳥との戦いの最中(さなか)、ワタシは突然消えた。」



「そうだよ!どこに行ってたんだ?」

『そう!アタシも気になってたの!』



サーチとフロデューテの問いに少しの間を置いて話し始めるアストラ。



「あの時、何者かによって連れ去られていた。」



「『!!!』」

『!?』

『?』


あの時その場にいた3人は驚き、ヴィーナスは妙な表情をしながら、オールドは不思議そうな顔をして聞いていた。



『連れ去られてたって……』


「誰にだよッ──!!」



「落ち着け。」


「この話をするには、少し極子水星要塞(ミニマルフォートレス)での出来事を話す必要がある。」



─────────────────────────

─────────────────────────



『なるほど。』

『で?その情報屋とどう関係があんだ?』


ヴィーナスの問いにアストラが答える。



「ワタシが連れてこられた場所に居たのは、その男だった。」

「そして、空間から自由自在にドアを作り、特殊な異空間を発生させ。瞬時に離れた場所へと移動する能力を持つ者もいた。」



『──ッ!!』


『アタイの時もそうだったぞッ!!ヤツが去っていく時に、いきなり空間にドアが開いて消えていきやがったんだ!!』



「少なくとも、その三名は仲間という事だろう。そして、ヴィーナスの話を聞く限り……おそらく異世界人(イセカイジン)の可能性が高い。」



「なんでそんなヤツらが師匠をさらうんだよ!」



「ヤツの話では、何かしらの目的があると言っていた。その為に、ワタシたちの行動が邪魔らしい。」

「ただ、闇雲に人殺しをする集団では無いとも言っていた。」



『ッハ!どうだかなァ。アタイは攻撃までされてる。』



「だが、実際のところ。撃ち込まれたのは魔力で、外傷は無かっただろう?」

「ワタシも隔離されたままでも不思議ではなかったが、こうして戻って来ている。」


『だからなんだよ。』

『テメェはソイツらの言うことを信じんのか?』


『普段のオマエなら、全てを疑がってかかるハズだろうがッ!!』



「少なくとも、こちらから敵対するメリットはないという事だ。」



アストラの言葉に、サーチも反対していた。



「まだ分かんねぇだろっ!ソイツらが悪いヤツかも知れないし!!」

「実際に、師匠が帰ってくる保証なんてなかったじゃねーか!!」



「それに……あの場で師匠がいなくなったから。」



『サーチ殿。それは。』


『………。』


サーチの言葉を察して、サンはヘイパの行動を無駄にしないように遮っていた。

それをフロデューテは俯きながら聞いていた。



『しかし、私もサーチ殿やヴィーナス殿の意見に賛成です。』

『その異世界人とやらが、こちらの世界に召喚された恨みを持っているのであれば……』


『我々に敵意を抱かない方が不自然な気もしますが。』



「何も、警戒をしないとは言っていないだろう。オマエたち。少しは冷静に話し合えないのか?」

「わざわざ相手にしなくても良いと言っているだけだ。」



「………ッ。」

『………チィ。』



「それに、いくつか情報は得た。」



本名(ほんめい)かは知らんが。情報屋の名は『ムメイ』と呼ばれていた。」

「ヤツは能力なのか不明だが、サーチたち側の状況も把握していた。その事を踏まえると……何かしら情報を得る手段があったのかも知れん。」


「そして、空間を移動できる人物は確認できなかったが、ソイツは『カッテイ』と呼ばれていた。』



「ムメイに……カッテイ。」

「どんなヤツか知らねーけどさ。もし会ったらオレがぶん殴ってやる。」



「話を聞かないバカ弟子め。」

「無意味な交戦を止めろと言ったんだ。」



「大切な仲間が、危ない目にあうかも知れなかったんだぞ!!」

「黙ってられるかよ!」



「……ハァ。」

「まぁいい。」


「どちらにせよ。警戒するしかない。」



『つっても、空間移動を使われんなら。警戒もクソもねェけどな。』

『魔力感知して間に合うとか言うレベルじゃねェーぞ?いきなり現れんだからな。』


「……対処が難しいモノに関しては仕方あるまい。」



『ちょっと思ったんだけど。』


と、フロデューテが提案していた。



『『記憶移動(テレポート)』を使えば脱出出来るんじゃないかしら?』



「あっ。」

「確かにそうじゃん!」



「いや。そう簡単な話では無い。」


「え?なんで?」



「確かに、特定の場所にいる場合は発動が可能だろう。だが、異空間となると話は別だ。」

「術者の魔力に満たされた空間の中では、おそらく発動しない。」



「んんー?」



『魔力干渉ですね。』



サーチが首を傾げる中、サンが口を挟む。



「ああ。」


「魔力干渉ってなんなんだ?」



「魔力と魔力のぶつかり合いによる衝突と思えばいい。」



「しょうとつ……」



「例えば、術者Aの魔力と術者Bが魔力をぶつけ合うことで何が起こると思う?」


「えーと。その魔力ってのは、発動する能力のことか?」



「いや。魔力の"出力"のことだ。」



「それなら、多い方が強いよな?」


「そうだ。」


「そこで先ほどの話に戻る。使用者の術による異空間という事は……その"空間そのもの"が魔力で作られているという事だ。」

「それに対して、ワタシ達がクロード殿から受け取っている『魔屑石(ませつせき)』に込められている魔力量は遥かに少ない。」



「そうか……!!」


「ああ。つまり、ヤツの異空間の中では、ヤツの魔力量を越えられずに発動が出来ないだろうな。」

「まあ、運良く異空間から別の場所に出された場合は使用できるだろうが、もし『記憶移動(テレポート)』の存在を知られていたら。対策をするハズだろうな。」



「……結局。解決策って策はないのか。」


『それでも、チャンスがあるだけマシかもね。』


「そうだな。」

(この世界には、すごいヤツらがたくさんいんだな。)

(オレは、まだまだだ。)


「てかさ!フロデューテが金色に光ってたのは、あの姿は何だったんだ?」

「めちゃくちゃキレイな光の粒が輝いてたんだよ!」


「サンも見ただろ?」



『ええ。神秘的でした。』



『えへへっ!アレは、鳳凰フィーニクス様の加護によるおかげなの!』

『みんなのおかげで、力の使い方もわかったから。またピンチになったら使ってあげるね!』


明るく話すフロデューテに、ヴィーナスは真剣な顔で話しかける。



『デューティ。』


『お姉ちゃん…。』



『全部聞いたんだろ?オールドやフィーニクスからよォ。』


『うん。』



『………ハァ……。』

『これからどうしたいかは、オマエが決めろ。』


『答えが出たら、聞いてやる。』



『うん…。』


2人が話し終えると、今度はヴィーナスは全員に向けて話し始めた。



『デューティは今、鬼人(オーガ)から鬼神(オーゴット)になった。』

彷宵徨要塞(ココ)に伝わる伝承によると、フィーニクスからの加護を得ることだけが、鬼神へとなるワケじゃねェらしいが……。』


『アタイとデューティの母親はかつて、鬼神だった。』



「!!」

「フロデューテの母ちゃんが!?」


『ああ。アタイが幼い頃。デューティが産まれてすぐに死んじまったけどな。』

『大代、鬼神(オーゴット)となれば、自国を守る為に居座らなきゃならねェ。それが、"鳳凰フィーニクスとの繋がり"を意味するからだ。』


『そうしてココは守られて来た。』

『まあ、必ずしも毎回鬼神が誕生するワケじゃねェ。前はオールドのジィさんが加護を引き継いでいたおかげで、ココの守りも強化されてたかんな。』


『ただ。オールドのジィさんは加護を三つしか貰ってなかった。』

鬼人(オーガ)によって授かる加護の数は違ェ。だが──』



『鬼神は全ての加護を受け継ぐ。それ故に鬼人の神となるんだ。』


『その強大な力の代わりに、代償ももちろんある。まあ、デューティももう分かってんだろ……。』



『………。』


フロデューテは真剣な顔で、ただ頷いていた。



『まっ、とりあえず細かい話はまた明日だ。ヘーパの野郎が起きるかもしれねェしな。』

『もう解散でいいが、アストラ。オマエは話がある。』



「分かった。」


会議室にはアストラとヴィーナスの二人が残っていた。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


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[今回の一言♩]

昨日はお休みしてすみませんでした!

ハイキュー見終わったんで頑張ります!


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