欠片219.『異世界人』
欠片219.『異世界人』です!
【2日前】
【彷宵徨要塞 会議室】
会議室の一室にて、一晩休んだ後のサーチたちが座っていた。
しかし、そこにはヘイパの姿はなく、サーチ、アストラ、サン、フロデューテ、ヴィーナス、オールドの6人しか居なかった。
『んで……?どうなったらアタイが寝てる間によォ〜。デューティがフィーニクスの加護を受けて帰ってくんだよ。』
『オォイ……。』
『そ、それは……ワシが──』
ヴィーナスの荒々しい言葉に、オールドが話そうとするも、アストラが割って入った。
「不測の事態だったからな。やむを得なかった。」
「オールド殿が話したのも、鳳凰の寿命と関係があったそうだからな。」
『だからって……勝手にウチの妹にベラベラ喋って、勝手に鳳凰屑神鳥をぶっ倒してくる流れにはなんねェだろォがよォッ!!!』
「まあ、オマエの言い分も分かるが──」
ガタッ──!!
椅子を倒しながら立ち上がったヴィーナスは、アストラを睨みつけていた。
『分かってたらアタイに何の相談もなしに行こうってなんねェだろうがッ!!!』
『いくら親友といえどな。テメェの判断でソレを決めたんなら、一発アタイにぶん殴らせろ。』
「………。」
「それでオマエの気が済むなら──」
"バンッ"──!!
アストラと反対側のテーブルに座っていたフロデューテがテーブルを叩きながら席を立っていた。
『もうやめてよッ!!お姉ちゃん!!』
『デューティ。』
『アストラはなにも悪くないわ!!あの場では話を進めるしかなかったもの。』
『それに、アタシの意思で、アタシが話を聞いて決めたの!!』
『フィーニクス様から力を授かったのも、アタシがそれを受け入れたからよ。』
『そもそも、お姉ちゃんが目を覚さなかったから、仕方がなかったし。』
『……ックソ。』
「誰にやられたんだ?」
『………姿は見えなかった。だが、『無手勝流』』
『そう名乗っていた。』
「………聞いたことがないな。」
『アタイもねェよ。ただ……。』
「?」
『ヤツは『魔法』を使ってやがった。』
「!!!」
「………転生者か。」
『ああ。間違いねェ。』
『何を考えてんのかは知らねェが、相当な手練れだぞありゃぁ。』
「異能力を持つ異世界人……か。」
「王国に恨みを持つ者の仕業と見るべきか?」
『さぁな。少なくとも、良いイメージは無いかもな。』
「なぁなぁ、さっきから何の話をしてるんだ?」
2人の会話にサーチが質問していた。
「………。」
『……。』
お互いを見て、アストラが頷いたのを確認してから話し始めるヴィーナス。
『いいかチビ助。かつて王国はな、この世界以外の世界からヒトを呼んだ事があるんだ。』
「は?」
「この世界以外の世界ってなんだ!?」
「世界って一つだろ?」
『いや、アタイらが知らねェだけで、実際はいくつも存在してるんだとよ。』
『そこから呼んだヤツらのことを、異世界人と呼ぶんだ。』
「イセカイジン……。オレらの世界とは違う世界のヒト。」
『そうだ。』
「な、なんで、王国はソイツらを呼んだんだ?」
『………。』
『戦争で勝つためだ。』
「機屑物との戦いのこと?」
『いや。』
『この世界は、はるか昔からヒト族と魔族との戦いが行われて来た。』
『その戦いは『大魔戦争』と呼ばれ、アタイらの代まで。いや、今も尚続いてる。』
『そんな時に、武力を求めて行われたのが。異世界召喚と呼ばれる……異世界の能力を持った者達を呼ぶことだったんだよ。』
『そして、勇者と呼ばれる四人の伝説のパーティーを組んだ一行と、魔族の王が戦った。』
「どうなったんだ?」
『結果、勇者側が敗北。その後は、何故か魔王と幹部共が攻めてこないことで、王国側も一時的に召喚を辞めたんだ。』
『アタイは詳しくは知らなかったけど、そんな簡単には召喚が出来なかったんだろうよ。』
「そんなことがあったのか……」
『ああ。だがここ最近、魔族の動きもまた激しくなって来ていてな。王国も三人の異世界人を召喚したって話だ。』
『まあ、その数ヶ月後に、瓦礫の山となっちまったがな。』
(あのカメ野郎のせいか……。)
ググッ──。
と、拳を握るサーチ。
『その異世界人が使う異能が、『魔法』って呼ばれたんだよ。』
『アタイらの力とは別の力だ。』
『今回アタイを襲ったヤツが放った花火。アレは『魔法』だった。』
「………。」
「その事で、ワタシからも話したい事がある。」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
敵の技を考えてます。




