欠片217.『黄金が煌めく大地に立つ少女』
欠片217.『黄金が煌めく大地に立つ少女』です!
【とある屋敷】
『マザー。どうやら神鳥が倒されそうです。』
昔物語 メンバー[ 楽士(48)]
[種族:〇〇]
『いかが致しましょう?』
テーブルを囲む椅子に座る少年の横には、白いスーツとマジックハットを被った男が立っていた。
『………ガクシ。キミ、こうなること分かってたよね?』
昔物語 リーダー[メリウス・マーキュリ]
[種族:生命体]
『何のことでしょうか?』
『勝手に受信機付けておきながらよく言うよ。』
『居場所も知ってたくせに。』
『………。』
『しかしながら、またしても彼らです。』
『ホンット……邪魔ばかりしてくれるよねぇ〜。』
『それで、何が分かったの?』
『どうやら、ウェスト・ヴィーナスの妹である鬼人が、鬼神に至ったみたいですね。』
『へぇ〜〜。ディオナと同じ。くくっ。』
『流石血筋か。』
『まあ、元々はそういう物語だったわけだし。なんの驚きもないね。』
『むしろ、ヴィーナスがあそこまでの成功体になった方が驚きだよ。』
『彼女が成功した理由……。』
《一体何がそこまで。強い意志がそうさせたのか?》
『鬼神は消しますか?』
『…………。』
《『彼』を成長させる為に必要かどうか……。別のトリガーの一つにもなり得る。か。》
『いや。時が来れば処分していいけど、それまではほっといていいよ。』
『かしこまりました。』
『神鳥の代わりはどうされますか?』
『ん〜……材料が無いからねぇ。』
『あ。』
『そうだ!』
『ボク達も探そうか!!』
振り返り笑顔で上を見ながら答えるメリウス。
『何をです?』
ニヤリと笑う少年の顔は不気味な表情をしていた。
『星屑だよ。』
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【フロデューテサイド】
『鬼神の正拳ォォォオッ────!!!!!』
"ググググゥ"………!!
ぶつかり合う金色の拳と銀白鳥のクチバシは、魔力による衝突でせめぎ合っていた。
《アタシは、みんなを……》
グググッ─。
『守る……ん…だァァァアッ──!!!』
"バキバキ"……"ビキキ"……
"ドガァァァァァァン"!!!!!
"バラバラバラッ"──!!
フロデューテの拳は、そのまま銀白鳥の顔面から胸部や羽の付け根部分を丸ごと吹き飛ばしていた。
『……ハァ……ハァ…。』
『やった……倒した!』
『アタシ、やったよ。』
《みんなっ!》
《フィーニクス様もありがとうございます。》
黄金が夕日に煌めく中、フロデューテは天高らかに両手を挙げていた。
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【サーチサイド】
粉々になって散っていく破片に、夕陽が反射して光り輝く光景を眺めていたサーチは、フロデューテの勝利を喜んでいた。
「──やった!!やったんだ!フロデューテが!」
「スゲェ〜〜!!あの怪物を倒しちまったぞ!!」
「これで師匠は──」
「あれ?」
「なんでアイツがやられたのに、師匠が戻ってこないんだよッ!!!」
「どこいっちまったんだよ………」
「師匠ォォォ───!!!」
その場でサーチは大きな声で叫んでいた。
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【とある屋敷の一室】
閉じ込められたアストラは、無名と一定の距離を保っていた。
そして、無名が再び左目を手で覆うと、少し間を空けた後に喋り出す。
(さすが、グルーミーさんの言う通りだな。)
「お嬢ちゃん。そろそろお別れの時間だぜ。」
「!!」
「どうするつもりだ。」
「なんか勘違いしてねぇか?オレたちゃあ〜別に殺しがしたくてやってんじゃねぇのよぉ。」
「アンタが邪魔だったから、ちょいと招待しただけだぜ?」
「それに、あっちも終わったし。もう用はないぜ。」
「ホラよ」
ギギィ───………。
その言葉と共に、アストラの後ろに扉が開いた。
・・・
「……三度目はないといいがな。」
アストラの言葉に対し、ポケットに手を入れたまま壁に背をつく無名は答える。
「………。」
「それはアンタら次第だ。」
「オレらと敵対するのか、よ〜〜く考えるんだな。」
「長生きしたけりゃぁ……賢く生きるこった。くっく。」
バタンッ──。
ドアが閉まり、アストラの姿が部屋の中から消えていた。
すると、無名の背にしている壁から小さなドアが開いた。
「喋りすぎだよ。ムメイ。」
「そうか?」
「別にジイさんやオレらの目的には、アイツらの力は必要だろ?」
「この世界のヤツらに期待はしてなかったが。面白くなってきたぜ。くくっ。」
「……別に。面白がるのは良いけど。分かってるよね?」
「何度も言わせんな。ガキとは違って、こちとら人生経験豊富なんだよ。」
「何事も楽しまなきゃぁなあ〜、こんなくだらねぇ世界。やってられねぇんだよ。」
「オマエよりオレの方がソレを望んでらぁ。ガキが。」
「………みんな同じだよ。その為の協力なんだから。」
「──フンッ。」
「分かってんなら。何度も言うんじゃねぇよ。」
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【フロデューテサイド】
フロデューテが戦っていた近くの空間にドアが開いていた。
ギィ──……。
(皆、無事だと良いが。)
ドアから出てきたのはアストラだった。
そして、しばらく辺りを見渡した後に砕けた地面を避けながら歩いていると、黄金の魔力を纏ったフロデューテを発見していた。
「──!!」
(アレは)
「フロデューテか?」
聞き馴染みのある声にフロデューテは振り返り反応した。
『アストラッ─!!』
「その姿……自分を見つけたようだな。」
『うんっ!!もう大丈夫!!』
満面の笑みで答えるフロデューテに、アストラも微笑んでいた。
そして、フロデューテの周りの魔力が消えると、いつものフロデューテへと戻っていった。
『でも、ほんとに無事で良かった〜!』
『いきなり消えちゃった時は、みんなどうしよう。ってなってたから。』
『一体何があったの!?』
「そのことも含めて後で話そう。それより、皆は無事なのか?」
『うん!大丈夫よ。ヘーパさんが重症を負ったけど、回復するようにしたから大丈夫だと思う。』
「そうか。良かった。」
「心配をかけたが、よくやったな。」
『えへへっ!!アストラに戦闘で褒められるのは二回目だね。』
『あの時は……やられっぱなしで。結局サーチに守られちゃったけど。』
『今度はアタシが。サーチを守ったよ!!』
「──フッ。成長とは早いものだな。」
「いつだってワタシがいない時に、サーチを任せる形になっていたからな。」
「あの時も、オマエはサーチを守ってたよ。」
『ふふふっ。ありがとう!』
「礼を言うのはワタシの方だ。ありがとう。」
そうして2人は、サーチたちがいる所に歩いて行った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
三章は短めにしようと思ってます!
一応、短めの理由はありますが内緒で。
進行ルートは初期に考えているので、三章の次の出来事も徐々に考えていきたいところ。
後日談と世界情勢書いた後に三章に入ろうと思います!
─裏メモ。─
ボツタイトル載せときます。
『銀白鳥を討て─①⑤ 〜討伐』
『決着』
『黄金が吹き荒れる大地に立つ少女』




