欠片216.『銀白鳥を討て─①⑤ 〜鬼神』
欠片216.『銀白鳥を討て─①⑤ 〜鬼神』です!
※サブタイトルは振り仮名ふってません
『今のアタシは、誰にも負ける気がしないからッ!!!』
黄金の魔力を纏い輝くフロデューテは、夕日に照らされながらキラキラと輝いていた。
《まずは……》
『フィーニクス様の力を返してもらうわよ。』
バッ──!!
その場から跳躍したフロデューテを、サーチは目で追えていなかった。
「えっ?」
(全く見えなかった)
「『"観察"』」
(今のフロデューテはどうなったんだ?)
[解 個体名フロデューテ]
[彼女は鳳凰の力を解放しています。]
[6つの加護を有しており]
[今の彼女は人智の力を超えていると推測。]
[身体能力も以前の何倍にも増幅しております。]
(それであんなに速かったのか)
─────────────────────────
シュタッ──。
吹き飛ばされていた銀白鳥のそばまで辿り着いたフロデューテは、倒れている銀白鳥の真上に跳躍していた。
バッ──!!
《装甲を破壊してからじゃ無いと、多分ダメだ。アイツの体内からフィーニクス様の力を感じる。》
《けど、装甲が加護の力で守られてるわね。》
《でも、今のアタシはフィーニクス様の力で相殺できる!!》
『だから……ブン殴るッ──!!』
"ドガァァァァンッ"!!!!!
バキ……ビキキッ──。
『ギィィィィィィィィ!!!』
"ボボォォォォウッ"!!!
危機を感じた銀白鳥が叫ぶと、勢いよく体に炎を纏い、激しい炎に包まれるフロデューテ。
『そんな炎──』
『………効くわけないでしょッ!!』
"ドゴォォォンッ"──!!!
炎に焼かれていく皮膚を、それを上回る速度で翡翠色の炎がフロデューテの体を覆い回復していく。
そして、そのまま力強く右手の拳でヒビが入った腹部の装甲を殴りつけた。
"バキバキッ"───"バキィッ"!!!
『ギィィエ"エ"エ"エ"ッ───!!!』
腹部の装甲が砕け、内部が露出していた。
バチチ……バチ…。
『よしっ!!返してもらうわ!!』
スゥゥ──。
内部装甲に手を当てると、鳳凰フィーニクスの力を吸収するフロデューテ。
《泡沫の炎の力を吸収して、装甲へのダメージを軽減していたのね。》
《それに、豊穣と黄翼まで。》
《でも、他の能力は一致してない……。加護以外の能力はどうやって身につけたのかしら。》
【現在 鳳凰フィーニクスの加護を身につけたフロデューテは六つの能力を発動できる】
【鳳凰の加護】
鳳凰フィーニクスとの繋がりを得ることが可能。
それにより、精神世界にて鳳凰フィーニクスとの会話が出来る。
そして、いつでも鳳凰フィーニクスの力を自在に扱うことが可能となる。
【再生の炎の加護】
自身や他者に翡翠色の炎を纏わせることで、使用された生物の自然治癒力を活性化させ傷を回復させる。
包まれている炎に熱さを感じることはない。
【豊穣の炎の加護】
大地や植物に炎天による炎を浴びせることで、植物の成長を促進させ、大地を豊かな地へと変化させる。
【泡沫の炎の加護】
空気中の水分に気泡を混ぜることで、目に見えない極小の泡を発生させる。
そして、その泡を自身や他者に纏わせることで、魔力や物理による攻撃のダメージを軽減することが可能となる。
【慈愛の炎の加護】
オレンジ色の炎を自身や他者に纏わせることで、不安定な精神を安定させることが可能。
【黄翼の炎の加護】
薔薇の花弁の形のように炎を放出し、その一つ一つの炎が爆ける性質を持つ。
また、武器に纏わせることも可能。
【その内、三つの加護の能力を一部吸収していた鳳凰屑神鳥は】
【一又・二又・三又までの能力を、加護による補助で"威力を上げていた"】
《けど、これで植物の操作も、羽を飛ばすのも、水を出すことも出来ないハズ。》
《後は一気に叩くだけよッ!!》
片翼を失った銀白鳥は、フロデューテに向けて光線を放った。
キュィン──ッ。
『なっ──!!』
《そんな、いきなり撃てるの!?》
光線が直撃するフロデューテは、ガードしながら吹き飛ばされていた。
『──ッ!』
《クソ。さっきの威力よりは全然だったけど、それでも泡沫の加護を使わなかったらヤバかったかも。》
連続で放出する短めの光線に、フロデューテは余裕でかわしていた。
《インターバルが短い代わりに、威力は落ちるのね。サーチの魔銃の仕組みと同じかしら。溜めないと高威力は出せないみたいね。》
ググッ……ギギ……ギィ……。
巨体を起こし再び体勢を立て直した銀白鳥は、クチバシを前に突き出しながら突進しようと構えていた。
『突き刺されればひとたまりもないわね。』
『でも──』
スタタタタッ───。
距離が離れていた二匹の怪物は、その場から一気に走り出す。
バッ──!!!
目の前まで近づいたその瞬間、空中へと跳躍しながら拳を握るフロデューテは黄金の魔力が溢れ出していた。
『ハァァァァアアアッ!!!』
《正々堂々、正面からブン殴るッ──!!!!!》
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キュィィン──。
フロデューテと銀白鳥が衝突しようとしているその姿を、サーチは左目の力を発動中に眺めていた。
遠距離にいるフロデューテの姿は、通常ではアリの如く小さな姿にしか見えないハズであったが、確かにその光景を目の前で見ているかのように捉えていた。
そして、アストラと彷宵徨要塞を訪れていた時の会話を思い返していた。
「赤い髪が夕日で──」
(キラキラして、ホンモノの星みたいだ)
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「鬼人一族の赤い肌の象徴ともいえる。」
「赤いレンガが太陽に照らされ、流砂にたなびかれ、煌めくことで金色のレンガのように見える。」
「その色彩はまるで、かつて存在した金色に光りし誇り高い『鬼神』の姿を讃えるための要塞と言い伝えられている。」
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『ハァァァァアアアッ!!!』
《正々堂々、正面からブン殴るッ──!!!!!》
偶然か必然か、時を同じくして夕焼けに染まる黄金の魔力を星屑のようにキラキラと輝かせる鬼人と、その姿を見つめる少年が放つ言葉が重なった。
「鬼神─」
『鬼神」『の正拳ォォォオ!!!!!』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
初めて政治の動画をYouTubeで見てたら執筆がこんな時間に……。
─裏メモ。─
最後のシーン、脳内の漫画のシーンだと
フロデューテが殴る場面で、サーチのセリフとフロデューテのセリフが重なってる感じなんですけど。
サーチはアストラとの会話の回想前までしか、神視点での場面は登場しません。
そして、分かりにくいんですけど……
技名は『オーゴッド・フィア・フィスト』ではなく、『鬼神の正拳』です。
演出でセリフの重なりをしたかったので、ややこしくなってすみません!
一応カッコでサーチは言い切りの終わりにして、フロデューテは言い始めなので始めのカッコで使い分けました。
技名が同じなら、「『鬼神』」〜〜って繋げれたんだけどね〜。
フロデューテは、自分のことを鬼神だとは思ってないから残念ながらボツです。
でも、銀白鳥を破壊する為の心意気で、技名をそう呼んでいます。




