欠片214.『銀白鳥を討て─①③』
欠片214.『銀白鳥を討て─①③』です!
2つの炎で燃える大地に、サーチたちは戻って来ると。そこには、燃えている大きな翼が落ちていた。
スタッ─。
「何があったんだ……。……ゴクッ。」
『ヘーパさんっ!!どこにいるのー!?』
(そうだよ!ヘーパさんがまだ!)
「ヘーパさんどこだー!!」
『サーチ殿!あそこに!!』
サンが上空から翼を指す方向をサーチたちが見ると、ヘイパは全身火傷を負って倒れていた。
その場に駆けつけた3人は、ヘイパの状態を確認していた。
胸に耳を当てるフロデューテ。
スッ。
ド─クン─。ド─クン─。
《まだかすかに心音はある…!!生きてる!!》
『生きてるわ!!重症だけど、心臓は動いてる!』
「ほんとか!!良かった!!」
「はやくここからヘーパさんを───」
ズォォォォォ───!!!
その時、3人の体を覆うように影が掛かった。
「……まだ…ッ!!」
『……こんなの……どうすれば…』
『ヘイパ殿の一撃でもまだ……。』
炎が消えた銀白鳥の白い装甲は所々焦げたように黒く変わっており、左側の翼が斜めに斬られていた。
そして、焦げた部分が黒い影のように聳え立つその姿からは悍ましいその表情が覗き、赤い光が3人を見下ろしていた。
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【時は少し前へと戻り アストラサイド】
静かな何も無い部屋の中で、アストラは無名と対峙していた。
「世界の平和だと?」
「そうだ。」
(へぇ。おもしれぇことになってやがるな。これが……炎狐の。)
左目を覆っていた手を外し、顎に指を当てる無名。
「ヴィーナスを負傷させ、四神との戦いの最中。ワタシを連れ去ることがか?」
「………まぁな。前者は筋書き通りだが。後者はイレギュラーとも呼べるなぁ〜。」
顎を触る無名は、ニヤリと笑みを浮かべる。
隙がなく臨戦態勢のまま、アストラが質問を続ける。
「キサマたちの目指す、平和とは何だ?」
「………。」
「腐った世界を変えようって話だよ。」
「いつまでもお利口なワンちゃんのままじゃあ、変えられるもんも変えらんねぇのよぉ〜。」
「王国しかり、天界しかり、魔族をチャチャっとやっちまゃあ〜済むって話。」
「そうすりゃあ〜オレらも、も……おっと。」
「まあ、とにかくよ、その道の邪魔をアンタらがしてんのよ。分かる?」
「………。」
(天界だと…?何の話だ。)
(もう少し情報を引き出しておかねばな。)
「ワタシたちが邪魔をしているとして、そんなことキサマらになぜ分かる?」
「ワタシたちは操られて行動をしているわけでは無い。その場で行動を決めてきた。」
「そりゃあ〜〜」
ギィィィ───。
「喋り過ぎ。団長の望みが邪魔されたら、ボクらも消されちゃうかも知れないんだよ?」
「ムメイ。キミの役割はベラベラ話すことじゃない。そこの女の足止めだ。」
と、空間に開けられたドアの向こうから勝亭の声が聞こえて来ていた。
「だとさ。」
「何にせよ、お嬢ちゃんには悪いが。もう少しだけ付き合ってもらうぜ。」
「今から良いとこなんだ。へっへ。」
(五英傑の武人の一人。ヘイパ・トイスト。噂に聞いてたアレが炎狐か。通り名通りの炎だったな。)
(イイ熱してんじゃねぇか。くくっ。)
(まあ、それでも敵わねぇとは。厄介なもんを造りやがって。)
(まっ、結果として良い未来に動いてるっつんだから、何が起こるか分からねぇもんだな。)
「ハハッ─!!」
「何がおかしい。」
「いやぁ、こっちの事情だ。もう少しだけのんびりしょうや〜」
「お嬢ちゃん♩」
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【サーチサイド】
(どうする…!?)
(ヘーパさんが重症で動けない。サンに頼むか?でも、それだと、フロデューテは……)
大きな足で踏みつけようしてきた銀白鳥を前に、4人は再び危機に陥っていた。
(何言ってんだよ!!さっき決めただろ!守れるのに見捨てるなんて選択肢はねぇ!!)
「今はオレにできることをやるんだッ!!』
「みんな、オレが盾を出すから、その隙に体勢を整えてくれッ─!!」
『『!!』』
『御意!』
『分かったわ!』
サーチが魔障壁を大きく展開している間に、サンはヘーパを離れたところに避難させた。
そして、フロデューテはその場を離れ、目を閉じて拳を胸に置いていた。
ジリジリと障壁が押し潰れていく中、サーチは踏ん張り続けていた。
「……グッ……クソッ…!!」
(重てェ……けど!!ヘーパさんやヴィーナスのねぇちゃんの覚悟に比べたら……。)
「……ハァ……ヘヘッ。案外大したことねェなァ〜!!クソ鳥ィ!!!」
額に汗が垂れながら方膝をつきながら両手で盾で凌ぐサーチに、銀白鳥はさらに力を込めていた。
グググゥ──……ズンッ!!!
「……ハァッ─ハァッ……」
ピチャ。──ポチャ。
地面に落ちる汗の跡が数秒で消える中、サーチは耐えていた。
「まだ……まだ!!こっからだァァ!!!」
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《守られるのはもうやめたんだ。今のアタシが出来ること。》
《アストラも、ヘーパさんも居ない。サンさんやサーチの火力でも、アイツはきっと倒せない……。》
《今のアタシに必要なモノ。》
『フィーニクス様。今がアタシに必要な時なの。』
『アイツを──』
『鳳凰屑神鳥を倒せるだけの力をアタシにちょうだい────ッ!!!!!』
コォォォォォォオ────!!!
その言葉に呼応するように、フロデューテの体が金色に光り輝いていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
ちょっと執筆熱が戻って来た!!
書くぞ!!
あとは、設定集も進めたいね。うん。
三章の構想と設定とか諸々も。




