欠片213.『銀白鳥を討て─①② 〜双炎を纏う狐』
欠片213.『銀白鳥を討て─①② 〜双炎を纏う狐』です!
『赤鬼・抜刀ッ───』
『鬼鬼──蒙冥ッ!!!』
"ズバァァァァァンッ"!!!!
地面から銀白鳥の体を、一瞬にして斜めに斬撃が発生し、地面には大きな亀裂が入り、銀白鳥には斜めに大きな傷跡が入っていた。
『これでもダメなのか……。』
『流石の強度だね。』
《やっぱり、星屑じゃないとダメか。》
『キィィエエエエエ〜〜〜!!!』
怒り狂う銀白鳥は四又・二又・一又を光らせる。
地上からは樹木の根による追撃と炎を纏った羽を飛ばして来ていた。
《手数が凄まじい……》
《あれだけ何度も能力を使って、衰える気配すらない。》
『剣鬼・狂い裂きッ──!!』
カキンッ─!ズバババッ──!!
ザンッ─!キキンッ─!
連続剣撃により、木々を切りながら、炎の羽を弾くヘイパはだんだんと息が上がり始めていた。
『──ハァ……ハァ…。』
『桜花・彼岸咲きッ!!』
炎の羽を、下からの剣圧により回転したピンクの炎の輪で落としていた。
【赤鬼・炎狐】
孤族に伝わる秘伝の技の一つ。
トールドワーフのヘイパがその技を扱えるのは、かつて師である孤族に教わり習得したからである。
能力は、己の魔力を身体に流し活性化させることで、体温を上昇させ身体能力を上げることが可能。
体内の熱を魔力に乗せて体外に放出する際に、魔力が可燃物質の役割を果たし、空気中の酸素と交わることで発火を引き起こす。
それにより、自身の体を覆う炎は己を焼き尽くすデメリットとなる。
しかし、炎を纏い、体内の熱量が凄まじいため、炎による攻撃は見た目上では火傷を負うが、痛みや熱さを感じることはない。
『……ハァ……フゥ──。』
《やるしかない。》
頬やひたいに汗が流れる中、ヘイパの瞳は死んでいたなかった。
むしろ、燃えたぎる熱を投影するように燃え盛っていた。
《沸点をさらに上げろ。ヤツの炎よりも熱く!!炎をも焼き切る炎をッ──!!!》
『ハァ"ァ"ァ"ァ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"──!!!』
ボボッ──。
『蒼鬼・炎蒙狐ッ!!!』
ゴォォォォォオォォッ!!!
『メラメラ』と体を纏う炎の色は蒼色へと変わり、凄まじい魔力は炎となり周囲の温度は上がっていた。
【蒼鬼・炎蒙狐】
狐族に伝わる秘伝の技の一つ。
炎を操る狐族は、2つの双炎モードのデメリットを一才必要としない。
しかし、ヘイパは種族が違う為、デメリットを背負っている。
それは、蒼鬼は体内をも焼き尽くす技であったこと。
その為、トールドワーフであるヘイパが使用すれば、己の体が内側から焼け焦げ死に至るハズだった。
しかし、ヘイパは修行の際、魔力を体内に纏うことで炎から身を守る事に成功した。
それにより、通常の赤鬼すら他の種族が扱うことすら難しい更に上の段階へと成った。
『フヴヴヴゥ──……。ガハッ…。』
《喉が……。魔力が……もうあまり。》
吐血するヘイパは抜刀の構えを取っていた。
巻き上げる魔力を見た銀白鳥は、この時。初めて目の前にいる生物に対して脅威を抱く。
生物としての本能が、目の前の生物をただの自然から標的へと見なした。
キュゥィィィィィン───。
口元に光線を放つための準備をしながら、5つの尾を全て光らせる。
5つの尾を全て光らせた銀白鳥の背後に、5つの球体が発生していた。
シュゥゥゥゥゥゥウ───……。
そのそれぞれの球体は徐々に大きくなり始め、口元にある光線の色と同じ色をしていた。
《凄い魔力だ。あれ全部が……あの時の光線だとしたら。》
『…………。』
《桜花さん。》
吹き荒れる熱風に着物の袖や裾が揺れる中。
ヘイパは目を瞑り、体は刀を構えたまま一切動かなかった。
キュィィィィン───……。
『…………。』
《真宗。千鶴。龍馬。勇巳。ボクの夢は、ここまでらしい。》
『ヴィーナス。すまない。』
『でも──』
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【彷宵徨要塞 医務室】
『……ぅっ……。』
目を覚ましたヴィーナスが、天井に向けて手を伸ばしていた。
《目は覚めないのに、意識だけはあったんだ。だから、声は聞こえてた。》
《デューティ。ヘーパ。》
『待ってろ……すぐにアタイも…。』
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『キミの為に。やれるだけやってみるよ。』
カチャ……。
『蒼鬼・抜刀──。』
ジジジ……ボボッ──ボボボボボゥッ!!!
刀を抜く瞬間、鞘から蒼色の炎が漏れ出す。
それは、鞘から引き抜く刀との摩擦により発生する火花である。
キン─────ッ。
『狐鬼ッ──骸武蒙冥ッ──!!!』
"ズバァァァァァン──ッ"!!!!!
キュィィィィン───"ドドドドドドッ"!!!
カッ────!!!!!
銀白鳥の6つの光線とヘイパの居合い切りによる斬撃が衝突し、眩しい閃光が放たれると大爆発を起こした。
一瞬にしてあたりの地形は爆風で吹き飛び、激しい蒼い炎とオレンジの炎が対立するように燃え散っていた。
"ゴォォォォォォオオオオ"〜〜〜!!!!!
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ヒュゥゥゥ───。バサッ─バサッ。
「見えたッ!!何だ、あの炎……どうなってんだ!!」
『青い炎……?』
《お願いっ。無事でいて──》
《ヘーパさん!!》
サーチとフロデューテはサンの足に捕まりながら炎で燃え尽きる大地を眺めていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
ちょっと前のいくつかのエピソードで、説明文のヘイパがヘーパになっていたと思うので修正しようと思ってます。
説明文まで愛称になってたらおかしいよね。
─裏メモ。─
ボツサブタイトル
〜燃え散る炎
〜狐
〜炎狐




