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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
214/258

欠片212.『銀白鳥を討て─①① 〜それぞれの想いと覚悟』


欠片(ピース)212.『銀白鳥(ぎんはくちょう)()て─①①  〜それぞれの想いと覚悟』です!



【サーチサイド VS鳳凰屑神鳥(ホウオウセツシンチョウ)



アストラが消えてしまった後、一同が動揺する中、銀白鳥は何事もなかったかのように襲いかかる。


三又(ミツマタ)が光り出し上空に飛び上がると、口を開き大気中の水分を集め出していた。



『アストラが……消えた?ウソ……。』

「おいッ!!!どこにやったんだオマエェェ!!!」


魔弾を銀白鳥に撃ち込むも、十分に魔力を溜められていない魔弾の威力では、装甲に傷をつけることさえ出来ていなかった。



《サーチくんが冷静じゃないな……。無理もない。ボク自身何が起きてるのか分からなかった。》

《正直、彼女の心配もしたいけど……戦力的に彼女がいない現状をどうするか考えないと。》


《ボクの力だけでヤツを倒せるのか?》


『やるしかない……。』



ヘイパは振り返り、後方にいるサンに話しかけた。



『サンさん。頼みがあるんだ。』


『?』

『この状況、かなりまずいですね。一度、撤退しますか?』


『撤退するにしても、囮役が必要だ。』


『確かに……では。私が──』


『いや。』

『可能性があるかどうかは分からないけど、ここからはボク一人でやるよ。』


『!!』

『それではヘイパ殿が……。』


『………覚悟は出来てる。』

『二人を連れて下がってくれないかな。』


『しかし………。』



『頼む。』



『………。御意。』

『その覚悟。しかと受け取りました。』


『二人を避難させた後に必ず戻って来ます。ご武運を。』



コクッ─。


『………。』


覚悟の決まった眼差しに、サンも決断した。

そして、サンの言葉に頷いたヘイパは、再び銀白鳥の方を見上げていた。

同時にサンは飛び上がり、勢いよくサーチとフロデューテを両足で掴み飛び去った。


バサッ──ヒュッ─!!


ガバッ──!!


「なっ!?」『えっ!?』



『我々は一度撤退します。』


「オイッ─!!何すんだサンッ!!オレはアイツに!!それにまだ──」

『待ってよ!!サンさん!まだヘーパさんが!!』


『………。』


「『──!!』」


(師匠……!!)

《ヘーパさん……!!》


苦しそうな顔をするサンを見て、二人はそれ以上声が出せずに、涙を浮かべていた。



─────────────────────────



『悪いけど、ここからはボクが相手になるよ。』

彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)公爵。ヘイパ・トイスト。』


『ボクの命に変えてでも、オマエを倒すッ──!!!』



シュゥゥゥゥ───。


大きな水の玉が出来た銀白鳥は、ヘイパに向けて放たれていた。

そして、すぐに口から炎を吐き出していた。


『避けれない……!』

《切るしかない。》


スパンッ───!!


"バシャァァァッ"───!!!


辺り一面が水浸しになった瞬間、水球に隠れて見えていなかった炎が大量の水に触れた。


《マズイ!!これはッ───》



"ドパァァァァン"──!!!


高温の物質が冷たい水に触れることにより、一気に蒸発することで水の体積が何倍にも膨れ上がる。

それにより発生する水蒸気には大きな圧力と衝撃が発生する。

つまり、広範囲の水蒸気爆発へと変わるのだ。


立ち込める白い煙の中、銀白鳥はゆっくりと地上に降り立っていた。



─────────────────────────



その場を離れたサーチ達は爆発音ととてつもなく高い白い煙が上がるのを見ていた。


「何だよ今の!!なぁ、サン!やっぱりオレ達をさっきの場所まで戻してくれ!」


『………。』


『お願いッ!まだあそこにはヘーパさんがいるんだよ!?』



『……出来ません。』



「何でだよッ─!!」

「アストラも!ヘイパさんもまだ……!!」


『子供を守るのが、大人の責任だからです!!』

『私には力が及ばなかった。だから、ヘイパ殿が代わりに。』



その言葉に少しは冷静になったサーチは、真剣な目でサンを見て話し出した。



「守るもんに優先順位なんてあるかよ。」



「オレはもう………守れなくて後悔すんのはイヤなんだ。」

「ここで逃げたら、オレは一生後悔すると思う。」


「それに、師匠なら逃げもしないし、守ったハズだ。」


『それはアストラ殿だからッ──』


「少しでも守れる可能性があるんなら、見捨てる選択肢はねぇよ!!」

「ここに来る前に話したじゃん!ヴィーナスの姉ちゃんが言ってた言葉を忘れたのかよッ!!」



➖───────────────────────



『この戦いは彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)に住む全員の命を懸けた戦いだッ!!』

『このまま侵食が進めば、ここでは住めなくなっちまう。』


『全員で勝つぞォッ!!!』



────────────────────────➖



「バッタの時とおんなじだ。フロデューテも、ヘーパさんも、師匠も。そして、サン!オマエも、今は共に戦う仲間だろ!?」



「全員で帰るッ!!!」


「誰一人、死なずに帰るのがみんなの戦いなんじゃねぇのかよッ!!!」


『………。』



「サンッ─!!」


『………。』


➖────────────────────────



『頼む。』



────────────────────────➖



《すみません。ヘイパ殿。あなたの覚悟より、私は彼の言葉を信じてみたくなりました。》


『分かりました。ヘイパ殿の所に戻りましょう。』



「サン──ッ!!」


サンの言葉に笑顔になるサーチ。

再びサンはサーチとフロデューテを連れて戦場へと羽ばたき始めた。



─────────────────────────



シュゥゥゥゥゥゥ………。


立ち込める水蒸気爆発の煙が晴れた場所に、ヘイパが刀を地面に刺し、かすり傷を負いながら立っていた。



『……ハァ………ハァ…。』


《使わされちゃったな。本当はもう少し取っておきたかったんだけど。》

 


ボボッ──……ボッ──……


ヘイパの体の所々からピンク色の炎が纏っていた。



赤鬼(せっき)炎狐(エンコ)……。』


《間に合わせなければ、身を守れていなかったかな。………負荷がかかるから早めに終わらせないと。》



──チャキッ。


『いくよ。』



刀を鞘に収めたヘイパは、足を斜め前後に開き、抜刀の構えに入ると、身体中からピンク色の炎が激しく燃え上がっていた。



赤鬼(せっき)抜刀(ばっとう)────』



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

薬飲んでなんとかなんとか。

頭の中で浮かぶので、忘れないうちに書きます。


あと、本当はサブタイ書かないで行こうと思ったんですけど。

結構長めに続くので、サブタイつけました。

過去の『銀白鳥を討て』シリーズのエピソードにも、サブタイ差し込むかも知れません。


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