欠片19.『弟子と師。師と弟子。』
欠片19.『弟子と師。師と弟子。』です!
アストラが去ったあと、サーチは工房の中に戻り、テツゴウの作業を再び眺めていた。
(スゲェ……分解しながら、俺の造った破片ノ銃剣の構造を瞬時に理解してるんだ。)
『フムフム……。なるほどなァ』
『だが…これじゃあ……』
テツゴウは小声で"ブツブツ"と呟いている。
(パーツの把握……強化に必要な要素)
(見ただけで判断して、すぐに作業に取り掛かってる)
「これが……凄腕の機巧技師か…!!」
「ツベチカのおやっさんも、もっと良いもん造れればよかったんだけどなぁ……ハハッ…。」
『……ん?』
『いま、ツベチカっつったか?』
「え?うん」
「おっちゃん、ツベチカのおやっさんを知ってるの?」
『あ〜…アイツぁ〜オレの弟子だ』
「で…し…?」
「えええぇぇぇぇえ!!!?弟子ィィィ!!?」
「マジかッ!!」
『まあ、もう何十年も前だけどな!』
『なるほどな、アイツが師だったか』
『どうりで……合点がいくわけだ。』
「?」
『そういや最近は会ってなかったが、元気にやってるか?』
「……それが」
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『……そうか。』
『死んじまったとはな』
「ごめん。」
『なーんでオメェさんが謝るんだ』
「だって…オレが弱かったから……助けられなかった。」
頭を押さえながら、テツゴウはサーチに言葉をかけた。
『いいや、ちげーな』
『アイツが死んじまったのは、アイツの危機管理がわりぃからだ』
『それに……』
『……。』
何かを言おうとしたテツゴウだったが、言葉を飲み込み話を逸らした。
『まあ、なんにせよ。サーチ……オメェに非はねぇよ』
『ただまあ、強くなりてぇんなら』
『もっとあの嬢ちゃんの指導を受けることだな』
「師匠の?」
『ああ』
『さぁて!こっからが忙しくなるぞ!!』
『サーチ、オメェも手伝え!!』
「お、おっす!!!」
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『いいか、まずオメェの破片ノ銃剣には問題がいくつかある。』
「問題?」
『ああ、まず第一に"重い"!』
『こんなもん、戦闘中に常に持ってられねぇ』
『破片だけじゃなく、鉄も混じってるせいだが……』
『それよりもこの木だな』
『コイツが一番の原因になってやがる』
「鉄も破片も足りなかったからさ」
「仕方なく木で基盤を作ったんだ」
『なるほどな』
『まあ、今回は基盤ごと変えてやっから安心しろ!』
「おおぉぉぉ〜〜!!」
目をキラキラ輝かせるサーチに、テツゴウはあることを告げる。
『ただ…』
「ん?」
『二つ目の問題点!!"型"がねぇ!!!』
『イーッヒッヒッヒ!!!』
『今から作らねーといけねぇな』
「ぇぇえええぁ……!?マジかよぉぉぉぉ〜〜!!!」
その思わぬ展開に転げ落ちるサーチだった。
『っつーことで二日は待ってくれ!ヒヒッ!!』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
─裏メモ。─
『巨岩洞要塞』の由来
岩 ロック
洞窟 ケイブ、グロット




