欠片206.『銀白鳥を討て─⑤』
欠片206.『銀白鳥を討て─⑤』
『キィェェェェエエエエエ──!!!!!』
鳴り響く咆哮に体が強張るサーチとフロデューテだったが、他の3人が動き出したのを見て行動を開始した。
バサッ─!!
サンが上空に飛び、『ニ刀羽』を槍のまま構える。
『陽動役は私がやります!皆さんはその隙に攻撃を!!』
ダダッ──!!
それと同時に左右に走り出すアストラとヘイパ。
(尾の数が五本。形が蛇のような形をしているな。)
《さらに、その先からそれぞれ鎖のようなものが伸びてる。》
「オレも」『アタシも』
「『何か、出来ることをしないと!!』」
キュゥゥゥゥン──。
と、サーチは『魔銃棍・旋牙屑』に魔力を込める。
ガシッ。ガチャ…!
その隣で、フロデューテは『断鬼凛』を両手で構えていた。
その時、銀白鳥の尾の一本が光り出した。
そして、空高く飛び上がると、地上に向けて翼を勢いよく向け鱗のような鋭い羽を無数に飛ばした。
"ビシュシュシュシュ"──!!!
"ズドドドドドッ"──!!
地面に勢いよく突き刺さる中、アストラとヘイパは避け、フロデューテは剣を広げてガードをし、サーチは魔力の盾を作り防いでいた。
「クソッ!!数が多すぎる!」
─チラッ。
サーチがフロデューテの方を見ると『断鬼凛』だけでは防ぎきれず、所々に擦り傷がついていた。
『──ッツ!』
"ガガガガガッ"───!!!
(フロデューテがやばそうだな)
「ハァァァァァア!!!」
"ブワァァァ"───!!!
と、縦の広さを広げ、フロデューテの方にまで盾を伸ばしていた。
『サーチッ!!ありがとう!』
「ヘヘッ!いいよ!」
しばらくすると鱗は降り止んだ。
そして、両サイドからアストラとヘイパが攻撃をしようと飛びかかる。
(体長が小さい分。まだ、こっちでもやれそうだな。)
バッ──!!
勢いよく飛び上がり銀白鳥に向かっていき、左腰に刺した『龍屑・孔』を引き抜いた。
「『龍屑・孔』」
そして、目の前に魔力を放出し、停滞させている魔力に輪っかを作るように6回突きをした。
ブワァッ─。
トッ─トッ─トッ─トッ─トッ─トッ──。
「『輪月・矛孔月』」
そして、最後に真ん中を突き刺した。
ググゥ……ドッ──!!!
魔力で包むことで、突きにより押し出された空気は停滞しており、最後の突き出しと同時に魔力の膜を解くことで、速度と威力を増した空気弾と化す。
『ボクも一緒に……!!』
ダッダッダッ──ズサァ……!
走っていたヘイパはその場に足を止め刀を握った。
チャ……。
『剣鬼・狐裂き!!!』
"ビシュシュシュ"!!!
と、3つの斬撃を放った。
アストラとヘイパの攻撃が銀白鳥へと向かっていくが、銀白鳥の尾のうち別の一本が光り出す。
そして、銀白鳥の体が銀色に輝き光を放った瞬間。2人の攻撃が跳ね返された。
"ガギィャァァン"──!!!
「なっ……!」
『えっ!?』
弾かれた攻撃は、そのまま2人に向けて跳ね返ってきていた。
(速いな。)
《速い!!》
ビュッ!! チャキ!!
アストラは再び二本指を前に出し、別の方向に向けていた。
一方でヘイパは、刀を前に突き出して切先に赤い魔力を灯していた。
「『°軌道。』」
『貰い火・灯牢!!』
"ブブブブゥン"。
方向を変えたアストラの技は地面へと当たり大きな穴が空いていた。
そして、ヘイパの持つ刀の先の魔力が跳ね返された斬撃を吸収していた。
"ドガァァァン"!!
シュゥゥゥゥ──。
その光景を見ていたサーチは、魔力を溜めていた。
「すげぇ……。二人とも動きが速い。」
(オレも、一発に威力を込める!!)
その隣で、フロデューテは不安そうな顔をしていた。
《みんな……頑張ってるのに。アタシはまだ……。》
《アタシだけ……。》
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
技名考えてたので、ちょっと執筆に時間かかった!




