欠片204.『銀白鳥を討て─③』
欠片204.『銀白鳥を討て─③』
【砂漠を抜けさらに2Km先 焦がれ落ちた高地平野】
辺りは黒く焦げた平原が続いていた。
「ここにいんのか?」
サーチがフロデューテに聞くと、何かを感じ取ったフロデューテが答える。
『うん。おぞましいオーラが向こうから伝わってくる……。』
フロデューテの視線の先には、赤黒い『ゾアゾア』っとしたオーラが伸びてきていた。
『実物を見たことがないからねぇ。そう言えば、サーチくんとアストラさんは四神の一体に出会った事があるんだよね?』
『どこか変わったこととかはあったのかい?』
ヘイパの問いにサーチが答える。
「う〜ん。正直、あの時は怒りの気持ちが強かったからなぁ……。」
「でも、他の機屑物と大きさ以外は変わらなかった気がする。」
『へぇ〜。四神と言うくらいだから、何かしら威圧感とかあるもんだと思ってたよ。』
「いや──」
「あの機屑物は、操られていた可能性がある。」
アストラの言葉に、4人は驚いていた。
「ハァ!?」
『操るって…!ウソでしょ!?』
「いやいや、師匠?そんなあり得ない話言うなんて、どうしちゃったんだ!?」
「………。」
『その話。……あり得ない話ではないかも知れませんね。』
と、サンが唇に手を当てながら答える。
「サンまで何言って……!」
『かつて起きた大事故。……アイアニック号沈没事故を知っていますか?』
『聞いたことはあるよ。』
『アタシはないかも。』
「事故?」
「どんな事故だったんだ?」
『大気嵐要塞から、海底要塞までの長距離移動を船で航海するツアーがあったんです。』
『その海域は、海底要塞の長である。現八天星の一人。ネプトゥス・ネプチューンの領域でした。』
『なので、その海域に住む機屑物からの被害は無いものと思われていたんですが……』
『突如として現れた機屑物によって船が沈められ、多くの犠牲者が出た事故です。』
「海って、あの海か?」
『サーチくんは海を知らないのかい?』
『そっか、サーチは故郷の事以外は何も知らなかったのよね!』
「うん。海って言葉なら、生物図鑑の海洋生物ってヤツらが住んでるところって書いてあったんだ!」
「でも、海がなんなのかはよくわかんなくてさ。」
『海はたくさんの水しかない場所のことよ!前に通った湖の何倍も広いって思ったらいいわ!』
「マジで!?」
「あの湖よりもデッケェのか……!!」
『それで、その事故がどうして機屑物を操る話と関係があるんだい?』
ヘイパの質問にサンは答える。
『実は、大気嵐要塞の先代公爵シュマックによる暗躍により、機屑物の出現が仕組まれていたかも知れません。』
『なっ!?』
『それは本当かい?』
『あくまでも、私は噂でしか聞いた事がありません。しかし、シュマックの行政には、良い行いがありません。』
『可能性はなくは無いかと。』
「でもさ、機屑物をどうやって操るんだ?」
「アイツら、普通に襲ってくるし。畑の食べ物だって荒らすじゃん!」
その時、アストラが呟いた。
「『心操のブローチ』」
「?」
「なんだそれ?」
「『星屑』の一つだ。」
「能力は、生物を操る事が出来る。そのブローチはとても強力な力を持ち、かつての大魔戦争にて多大な貢献をされてきた武具の一つだ。」
「しかし、一年前にそのブローチの行方が分からなくなっている。」
「操るって……なら、あの亀野郎はそのブローチで操られていたってんのか!?」
「何のためにそんなことすんだよ!!」
「……可能性は高い。目的は分からんがな。」
「それに、ヴィーナスの話によると、六二年前。鳳凰屑神鳥が王国側からこちらへやって来たと言っていた。」
「王国跡地に今もなお居座っている象岩亀と、ここに居座る鳳凰屑神鳥が動かないのは……」
『不自然だね。』
ヘイパの相槌に、アストラは頷く。
「どちらにせよ。背後に何者かの介入があるかもしれない以上気は抜けないぞ。」
「死ぬ可能性もある戦いだ。覚悟しておけ。」
「………。」
(オレの故郷を……アイツを使って壊したヤツがいるかも知れない…。)
(こんなとこじゃ死ねねぇ。まずは神鳥をぶっ飛ばしてやるッ。)
アストラの言葉にサーチは気持ちを引き締めなおしていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
ネタが浮かばず。申し訳ない!




