欠片201.『鳳凰の願い』
欠片201.『鳳凰の願い』です!
『……必要はある。もうじきワタシは死ぬからだ。』
鳳凰の言葉にサーチとフロデューテは驚いた。
「え?」
『えっ!?』
『ワタシが死ぬ前に、フロデューテにはやって貰わねばならぬことがある。』
『やること……。』
『そうだ。ワタシの力を注ぎ込む。』
『いずれ、その力を扱う日が来るであろう。』
《そう遠くない未来。ソナタはその力を使わねばならぬ。》
『その時、ワタシは再びこの地に産まれ落ちるのだ。』
『アタシは……』
「フロデュー……!!」
心配するサーチだったが、後ろから微かに見えたフロデューテの表情を見て言葉を止めた。
『今度は、アタシがお姉ちゃんやみんなを守るんだ!!』
『そのための覚悟は決めてきたッ!!』
『やるわ。アタシに力をちょうだい!!』
真剣な眼差しをフィーニクスはしばらく見つめた後に答えた。
『分かった。』
フィーニクスが頷くと、タリバーがフロデューテをフィーニクスの元へと連れて行った。
『ついて来い。』
『はい』
フィーニクスの元へ辿り着くと、タリバーがフィーニクスへ話し始めた。
『ワシの御役目もここまでですかのぉ。フィーニクス様。』
と、虚無僧笠を外し、シワシワの肌に目が白目となったタリバーはひざまづいた。
『アア。引き続き、よくぞここまで受け継いでくれた。其方にも感謝しておるぞ。タリバーよ。』
『ハッ。心なき幸せであります。』
『ワシの力も全て、フロデューテに。』
『………。ご苦労だった。』
『今後とも、我が鬼人一族に御加護を……。』
シュゥゥゥゥン──。
タリバーの体から、オレンジや黄色いオーラが流れ出し、フィーニクスの体へと戻っていく。
そして、全てのオーラが抜けた瞬間に、タリバーは力尽きていった。
──ドサッ。
『えっ?』
『タリバー様!?タリバー様!!』
「なっ!?どうしたんだよ!あのジィちゃん!」
遠くで見ていたサーチも驚いていた。
『タリバーは死んだ。とうの昔に寿命が尽きておったのだ。』
『鬼人族であっても長く生きていられたのは、ワタシの加護によるものだ。』
「マジかよ……」
『そんなっ…!』
『彼奴もこの土地のためによくやってくれた。亡骸はワタシが天に送ってやろう。』
『手を前に。』
フィーニクスの言葉に、フロデューテは手を差し出した。
そして、フィーニクスが唱え始めた。
『汝に我の力を授けん。』
『光に照らされし寵愛の子よ。』
『豊穣の女神と再生の炎の加護をソナタに与え賜わん。』
『我が眷属の愛を持って、この世界を救う明るい炎となることを我が神鳥──鳳天の凰フィーニクスの名の元に誓おう。』
シュゥゥゥ───。
と、オレンジ色の光がフロデューテの左手の手の甲に入っていき、鳥の片翼のマークが刻まれていた。
『これでソナタへワタシの力を授けた。』
『ソナタの想いがその力を呼び起こすだろう。』
『アタシの想いで……』
『アア。力の使い方は分かるようになる。使うべき場面もな。』
『そろそろワタシは眠りにつく。』
『最後に一つ。ソナタらに、ワタシからの願いがある。』
『ワタシの力を奪った……銀白鳥を討て。』
『ソナタらの言葉で、四神・更地平野ノ鳳凰屑神鳥と言ったか。』
『ヤツを止め、再び恩鳥を解き放つのだ。』
『頼んだぞ。フロデューテよ。』
『そして、理を外れし星の子と月の後継者よ。其方らの力も借りたい。』
『本来であれば、其方らには関係のない話。ワタシ自身が力を貸せれば良かったが……それも無理だ。どうか、フロデューテの力になってもらえぬか。』
「フロデューテやみんなのためなんだろ?そんなの決まってる──」
《アタシは決めたんだ。もう迷わない。お姉ちゃんもみんなも。今まで共に戦ってきて、手伝ってくれたアストラやサーチのためにも。》
『頼めるか?』
『当たり前よッ!!』「当たり前だッ!!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
もしかしたら、今後更新頻度が減る可能性があります。
話のストックが無いのと、本格的に漫画活動してみたいし、リアルの生活もあるので、また方針が決まれば活動報告やXにてお伝えします。




