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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
203/264

欠片201.『鳳凰の願い』


欠片(ピース)201.『鳳凰(ほうおう)の願い』です!




『……必要はある。もうじきワタシは死ぬからだ。』


鳳凰の言葉にサーチとフロデューテは驚いた。


「え?」

『えっ!?』



『ワタシが死ぬ前に、フロデューテにはやって貰わねばならぬことがある。』



『やること……。』


『そうだ。ワタシの力を注ぎ込む。』

『いずれ、その力を扱う日が来るであろう。』

《そう遠くない未来。ソナタはその力を使わねばならぬ。》


『その時、ワタシは再びこの地に産まれ落ちるのだ。』



『アタシは……』


「フロデュー……!!」


心配するサーチだったが、後ろから微かに見えたフロデューテの表情を見て言葉を止めた。



『今度は、アタシがお姉ちゃんやみんなを守るんだ!!』

『そのための覚悟は決めてきたッ!!』


『やるわ。アタシに力をちょうだい!!』


真剣な眼差しをフィーニクスはしばらく見つめた後に答えた。


『分かった。』



フィーニクスが頷くと、タリバーがフロデューテをフィーニクスの元へと連れて行った。


『ついて来い。』

『はい』



フィーニクスの元へ辿り着くと、タリバーがフィーニクスへ話し始めた。


『ワシの御役目もここまでですかのぉ。フィーニクス様。』


と、虚無僧笠を外し、シワシワの肌に目が白目となったタリバーはひざまづいた。


『アア。引き続き、よくぞここまで受け継いでくれた。其方にも感謝しておるぞ。タリバーよ。』


『ハッ。心なき幸せであります。』

『ワシの力も全て、フロデューテに。』



『………。ご苦労だった。』



『今後とも、我が鬼人一族に御加護を……。』



シュゥゥゥゥン──。


タリバーの体から、オレンジや黄色いオーラが流れ出し、フィーニクスの体へと戻っていく。

そして、全てのオーラが抜けた瞬間に、タリバーは力尽きていった。


──ドサッ。



『えっ?』

『タリバー様!?タリバー様!!』


「なっ!?どうしたんだよ!あのジィちゃん!」


遠くで見ていたサーチも驚いていた。



『タリバーは死んだ。とうの昔に寿命が尽きておったのだ。』

『鬼人族であっても長く生きていられたのは、ワタシの加護によるものだ。』



「マジかよ……」

『そんなっ…!』


『彼奴もこの土地のためによくやってくれた。亡骸はワタシが天に送ってやろう。』


『手を前に。』


フィーニクスの言葉に、フロデューテは手を差し出した。

そして、フィーニクスが唱え始めた。



(なんじ)に我の力を授けん。』

『光に照らされし寵愛(ちょうあい)の子よ。』


『豊穣の女神と再生の炎の加護をソナタに与え賜わん。』

『我が眷属の愛を持って、この世界を救う明るい炎となることを我が神鳥──鳳天(ほうてん)(おう)フィーニクスの名の元に誓おう。』


シュゥゥゥ───。


と、オレンジ色の光がフロデューテの左手の手の甲に入っていき、鳥の片翼のマークが刻まれていた。



『これでソナタへワタシの力を授けた。』

『ソナタの想いがその力を呼び起こすだろう。』



『アタシの想いで……』



『アア。力の使い方は分かるようになる。使うべき場面もな。』

『そろそろワタシは眠りにつく。』



『最後に一つ。ソナタらに、ワタシからの願いがある。』



『ワタシの力を奪った……銀白鳥(ぎんはくちょう)を討て。』

『ソナタらの言葉で、四神・更地平野(こうちへいや)鳳凰屑神鳥(ホウオウセツシンチョウ)と言ったか。』



『ヤツを止め、再び恩鳥(おんちょう)を解き放つのだ。』


『頼んだぞ。フロデューテよ。』


『そして、(ことわり)を外れし星の子と月の後継者よ。其方らの力も借りたい。』

『本来であれば、其方らには関係のない話。ワタシ自身が力を貸せれば良かったが……それも無理だ。どうか、フロデューテの力になってもらえぬか。』



「フロデューテやみんなのためなんだろ?そんなの決まってる──」


《アタシは決めたんだ。もう迷わない。お姉ちゃんもみんなも。今まで共に戦ってきて、手伝ってくれたアストラやサーチのためにも。》



『頼めるか?』



『当たり前よッ!!』「当たり前だッ!!」



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

もしかしたら、今後更新頻度が減る可能性があります。

話のストックが無いのと、本格的に漫画活動してみたいし、リアルの生活もあるので、また方針が決まれば活動報告やXにてお伝えします。


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