欠片199.『古獣 神鳥の鳳凰』
欠片199.『古獣 神鳥の鳳凰』です!
※虚無僧笠
円筒状の形状で、顔を隠すための藁の編み笠。
霧が晴れ渡ると、目の前に大きな岩山が現れていた。
そして、その岩山の下には小さな虚無僧笠をした鬼人が立っていた。
『えっ?タリバー様!?』
『待っていた。しかし。まさかオヌシの方が来るとはのぉ。』
彷宵徨要塞 鳥大臣[タリバー(192)]
[種族:鬼人]
『ヴィーナスが来ると思っておったが。』
『ヴィーナスはオヌシに全て話したのか?』
『お姉ちゃんは負傷しちゃって目を覚さないの。だから、オールドおじちゃんがアタシたちに、お姉ちゃんとアタシの過去を話してくれて……』
『………。まぁ良い。』
『上で鳳凰様が待っておる。』
『ワシだけでは意味がないからのぉ。』
『こっちへ来い』
そう答えるとタリバーの体が『モゴモゴッ』と変形していく。
ググッ……グググゥ……
『乗れ。』
タリーロは、3人が乗れるほどの大きな鳥の姿へと変わっていた。
「なっ!?トリィィィ!?」
『ウソっ!?そんなこと出来たの!?』
「………恩恵か。」
『!!!』
『そこの小娘。どうやら、ヴィーナスから色々と聞いておるらしいな。』
「知っていたところで、どうにかなるものでもないだろう?」
『フンッ。生意気な小娘よの』
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3人はタリバーの上に乗り、そのまま岩山の頂上へと辿り着いていた。
そこには、大きな暖色系の羽が生えた鳥が休んでいた。
『鳳凰様。お連れ致しました。』
タリバーが言葉を発すると、鳳凰は目を開けてフロデューテたちの方を見た後に立ち上がった。
『フム。よくぞ来てくれた。我が愛しの子、フロデューテよ。』
『ソナタが来るのを待っていた。』
古獣 鳳凰[フェン・フィーニクス]
[種族:神鳥]
『あ、アナタが鳳凰様?』
『そうだ。人の子の成長とは、遅いようで早いものだな。』
『ソナタが産まれた日が、昨日のように思い出せる。』
『アタシが産まれた時にアナタと会っていたの?』
『アア。』
『本当はソナタとだけ会うつもりだったが。』
『……星の子と月の後継者か。』
『……イヤ。オヌシ、正当な後継ではないな?』
「………。」
鳳凰の疑問に対して、アストラは黙ったままだった。
《フム。肝が据わっておる。大方、ワタシが敵対した時のことを考えておるのだろう。》
『まぁ、ワタシには関係がないことよ。して──』
鳳凰はサーチとアストラの方を見て、静かに威圧する。
"ビリビリッ"──!!
「!!!」
(なんだこの迫力ッ!!)
(ヴィーナスのねぇちゃんが側にいるときみたいに、ジリジリと体に突き刺さる。燃えるような熱さだ……!!)
「………。」
サーチとアストラの様子を見て、鳳凰は再び話し始める。
『ホウ。』
《月の後継者……流石と言うべきか。しかし、星の子まで意に解さぬとはな。》
《やりよる。》
『フッ──』と鳳凰が威圧を止めると、優しい口調で再び話し始めた。
『フロデューテがここに来たということは、すでに話は聞いておるのだろう?』
『ヴィーナスめ。彼奴もようやく決心がついたか。』
『決心?ちょっと待って!?なんの話をしてるの?』
『ン?聞いておらぬのか?』
『時が来ればソナタに力を与える。と。』
『本来ならば、ソナタが産まれた時に渡すハズだったんだがな。』
『何やら、"余計なモノ"を入れる話へと変わっておったのでな。だから、ヴィーナスと約束をしたのだ。』
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【20年前──ヴィーナス7歳】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
欠片196で、フロデューテが『でも……鳳凰様はお姉ちゃんを認めなかった。』
『タリバー様が鳳凰様と話が出来なかったのも。──』
のセリフで最初はタリーロ様になってたんですが、タリバー様が正しかったので訂正してます。




