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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
198/263

欠片196.『愛しの子』


欠片(ピース)196.『愛しの子』です!



『王国からヤツが技術開発を任されとったからじゃ。』


『え?』


オールドの言葉に、ヘーパは驚く。


『会ったことも無いから分からなかったけど。』

『彼女には、戦闘だけではなく……そんな才もあったんですね。』


『ボクの故郷は、王国の話はあまり知りませんでしたので……正直、農楽園要塞(アグリカルフォートレス)からここに来てからは、知らない事だらけです。』

『あ、流石に当時は、九天星(くてんせい)のウワサくらいは聞いてましたけどね〜。はは。』


『ホッホ。仕方あるまい。』

『侍は昔から規律正しき習わしがあるじゃろう?周りに目を回すより、故郷の為に戦う民として有名じゃからのぉ。』


『まっ、ヴィーナスには断られたが。公爵候補はヴィーナスかオヌシしかおらんと思っとったからのぉ。』

『期待しておるわい。ホッホ。』



『あはは……。緊張しちゃってばかりで、頼りない面ばかりヴィーナスやみんなに見せてしまう……こんなボクでも。』

『公爵として任された以上は、みんなの期待に応えたい。』


『オールドさん。ありがとうございます。』


『よいよい。ワシはもう長くない。鬼人(オーガ)の寿命は百年前後じゃからのぉ。』

『ワシはいろんなものを見て来た。次の世代へ託す番にゃぁ、ちょうどええじゃろうて。ホッホ。』


『はい。オールドさんのお言葉や意志は、しっかりとボクの胸に刻んでおきます。』



─────────────────────────


幻夢(げんむ)岩高山(がんこうざん) 幻夢の中】



サーチとアストラは静かに時を待ち、フロデューテを信じて待っていた。


『アタシの……想い。』

『アタシが生まれたあの日。アタシは何も知らなかった。』


『お姉ちゃんが……アタシのために。アタシの代わりに『星屑(ホシクズ)』を身体に移植しただなんて。』


『でも……鳳凰様はお姉ちゃんを認めなかった。』

『タリバー様が鳳凰様と話が出来なかったのも。何年も鳳凰様が姿を見せなかったのも。』


『全部……アタシが。アタシのせいで。』



《それは違う。》


突如として、フロデューテの脳内に声が鳴り響いた。



『えっ?誰?』

《今誰かの声が……》



《フロデューテ。我が愛しの子の一人よ。》

《ソナタのせいではない。》



『さっきから、誰なの!?』

『ねぇ!ねぇってば!!』



「どうしたんだ!フロデューテ!」


と、慌てたようにサーチが立ち上がり、アストラはフロデューテの方を見ていた。



『さっきから誰かが、話しかけてくるの……。誰かわからない。でも、どこか安心する声…。』


「声?そんなもん聞こえねぇぞ?」



『え?みんなには聞こえてないの?』


「うん。師匠は聞こえてるか?」

「いや。」


サーチの質問に、腕を組み岩場に座るアストラが答える。


『アタシにしか聞こえてない……?』

『この声は誰なの……?』


《ソナタは──》


《まただ!またあの声……!!》



《ソナタはワタシに会っている。》


『会ってるって……アタシたちはいつ、どこで会ったことがあるの!?』



《フロデューテ。光に選ばれし星の子よ。》


『えっ?』

『ホシの子……?なんのこと…!?』


《星の子はサーチだって……ホリーの予言が……》



《フム……。確かに、彼もまた星に選ばれし子の一人……か。》


《だが、ソナタは特別。》

《答えはソナタの中にある。》


《時間がない。待っておるぞ……フロデューテ。》


頭の中の声が無くなった後、フロデューテは困惑していたが、やるべき事をしようと決心した様子だった。



『時間がない……?』

《一体今のは……》


『んーん。分かんないことは分かんないだし。今は、ここを抜け出すことを考えなくちゃ!!』


『思い出すのフロデューテ。アタシのルーツを。』


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

アニメを見ているので、ガチアクタの単行本を絵の参考の為に逆から買ってました。

15巻〜7巻までは買っていたので、昨日は6巻〜4巻を買いました。

残りは1巻〜3巻です。


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