欠片196.『愛しの子』
欠片196.『愛しの子』です!
『王国からヤツが技術開発を任されとったからじゃ。』
『え?』
オールドの言葉に、ヘーパは驚く。
『会ったことも無いから分からなかったけど。』
『彼女には、戦闘だけではなく……そんな才もあったんですね。』
『ボクの故郷は、王国の話はあまり知りませんでしたので……正直、農楽園要塞からここに来てからは、知らない事だらけです。』
『あ、流石に当時は、九天星のウワサくらいは聞いてましたけどね〜。はは。』
『ホッホ。仕方あるまい。』
『侍は昔から規律正しき習わしがあるじゃろう?周りに目を回すより、故郷の為に戦う民として有名じゃからのぉ。』
『まっ、ヴィーナスには断られたが。公爵候補はヴィーナスかオヌシしかおらんと思っとったからのぉ。』
『期待しておるわい。ホッホ。』
『あはは……。緊張しちゃってばかりで、頼りない面ばかりヴィーナスやみんなに見せてしまう……こんなボクでも。』
『公爵として任された以上は、みんなの期待に応えたい。』
『オールドさん。ありがとうございます。』
『よいよい。ワシはもう長くない。鬼人の寿命は百年前後じゃからのぉ。』
『ワシはいろんなものを見て来た。次の世代へ託す番にゃぁ、ちょうどええじゃろうて。ホッホ。』
『はい。オールドさんのお言葉や意志は、しっかりとボクの胸に刻んでおきます。』
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【幻夢の岩高山 幻夢の中】
サーチとアストラは静かに時を待ち、フロデューテを信じて待っていた。
『アタシの……想い。』
『アタシが生まれたあの日。アタシは何も知らなかった。』
『お姉ちゃんが……アタシのために。アタシの代わりに『星屑』を身体に移植しただなんて。』
『でも……鳳凰様はお姉ちゃんを認めなかった。』
『タリバー様が鳳凰様と話が出来なかったのも。何年も鳳凰様が姿を見せなかったのも。』
『全部……アタシが。アタシのせいで。』
《それは違う。》
突如として、フロデューテの脳内に声が鳴り響いた。
『えっ?誰?』
《今誰かの声が……》
《フロデューテ。我が愛しの子の一人よ。》
《ソナタのせいではない。》
『さっきから、誰なの!?』
『ねぇ!ねぇってば!!』
「どうしたんだ!フロデューテ!」
と、慌てたようにサーチが立ち上がり、アストラはフロデューテの方を見ていた。
『さっきから誰かが、話しかけてくるの……。誰かわからない。でも、どこか安心する声…。』
「声?そんなもん聞こえねぇぞ?」
『え?みんなには聞こえてないの?』
「うん。師匠は聞こえてるか?」
「いや。」
サーチの質問に、腕を組み岩場に座るアストラが答える。
『アタシにしか聞こえてない……?』
『この声は誰なの……?』
《ソナタは──》
《まただ!またあの声……!!》
《ソナタはワタシに会っている。》
『会ってるって……アタシたちはいつ、どこで会ったことがあるの!?』
《フロデューテ。光に選ばれし星の子よ。》
『えっ?』
『ホシの子……?なんのこと…!?』
《星の子はサーチだって……ホリーの予言が……》
《フム……。確かに、彼もまた星に選ばれし子の一人……か。》
《だが、ソナタは特別。》
《答えはソナタの中にある。》
《時間がない。待っておるぞ……フロデューテ。》
頭の中の声が無くなった後、フロデューテは困惑していたが、やるべき事をしようと決心した様子だった。
『時間がない……?』
《一体今のは……》
『んーん。分かんないことは分かんないだし。今は、ここを抜け出すことを考えなくちゃ!!』
『思い出すのフロデューテ。アタシのルーツを。』
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
アニメを見ているので、ガチアクタの単行本を絵の参考の為に逆から買ってました。
15巻〜7巻までは買っていたので、昨日は6巻〜4巻を買いました。
残りは1巻〜3巻です。




