欠片194.『幻夢の岩高山』
欠片194.『幻夢の岩高山』です!
※ カフタン
アジアの民族服の典型とされる「前開き服」の形式で、トルコ、イラン、アフガニスタン、インド北部などで見られる衣装。
ケミス
パシュトゥン族などの民族衣装で、チュニックとパンツの組み合わせ。
頭を覆うスカーフはヒジャブやシャイラなどと呼ばれる。
【幻夢の岩高山 付近の砂丘】
砂屑飛蝗の襲来から3日が過ぎ、サーチとアストラ、フロデューテは砂丘を「ラクダ」に似た在屑物の『駱駝屑』に乗り、渡ってきていた。
パス、パス……パス、パス…。
砂丘に一歩一歩『駱駝屑』の足跡が連なっていた。
「サンは今頃どうしてるかな」
「ヴィーナスが戦線に入れない以上。彷宵徨要塞を手薄にするわけにもいかないからな。」
「敵の目的がわからない以上、上空から索敵ができるサン殿に任せるしかあるまい。」
「そうだよな〜。こっちに来てくれれば頼りになりそうだったけど、ヴィーナスのねぇちゃんかフロデューテにしか探せないって言ってたからなぁ。」
「霧に何かしらの仕掛けがあると見ていいだろうな。でないと空を飛べる者なら簡単に見つけ出せるハズだからな。」
「へぇあ〜……にしても砂漠って不思議だよな〜。昼間はあっちぃのに、夜はさむいし。」
「オマエらはすごいな〜!この三日間、水も飲んでないもんな。」
と、サーチは駱駝屑の背からだらんっと腕を垂らしながら呟いていた。
『駱駝屑はね、白い背中のコブに水分を溜めてるの!そこから少しずつ体に行き渡らせることが出来るのよ!』
『それに、よく出来た構造しててね!コブが白いのは星屑の影響なのに、進化の過程で太陽光を吸収しにくくしてるの!』
「へぇ〜!だから水を飲まなくても良かったのか!」
「でも、なんか出発前よりもコブがちっこくなったな〜」
『彼らのコブに溜められた水が減ってきてるのね。後で水をあげときましょう!』
『ボェアア〜!』
フロデューテの言葉に、駱駝屑が声を挙げた。
「コイツらも喜んでるな!」
「頑張ってくれたし、あとでしっかり休んどいてくれな!」
『ボェアア〜!』
※
照りつける灼熱の太陽の下、3人は顔を覆える所々ボロボロ灰色のマント着ていた。
そのの下には、羽織ったりして着れる民族衣装などの『カフタン』や『ケミス』のような服装を身につけ砂漠を横断していた。
『見えて来たわ!』
フロデューテの指差す方を見るサーチとアストラ。
「おぉぉぉぉ〜〜〜!!」
「思っていたより大きいな。」
「想像の何倍もデケェ〜!!」
「ここに、鳳凰がいんのか……!」
『……。』
目の前にいるフロデューテはどことなくテンションが低めに見え、サーチは気にかけていた。
「な、なあ、フロデューテ。大丈夫か?」
『………。』
『えっ、あ。………うん。』
『アタシなら大丈夫。』
「………。」
(まだ、受け入れられる気持ちではないか。)
『まだ考えてたけど。』
『………誓ったの。』
『これは、アタシがやらなくちゃいけない事だから。お姉ちゃんやみんなのためにもアタシはやるっ!!』
「へへっ!おうっ!!」
「やれことがあんのか分かんねぇけど、オレたちも協力するぜ!」
「そうだな。」
(フッ。杞憂だったか。流石はヴィーナスの妹だな。)
優しくフロデューテを見るサーチとアストラ。
『ありがとう。サーチ!アストラ!』
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【幻夢の岩高山 岩高山の頂上】
平らな岩盤の上に眠るオレンジ、黄色や赤色。さらに紫の色彩が入った大きな鳥が目を覚ます。
その鳥はトサカや羽、尻尾の先は細長く伸びており、鋭いクチバシと黒い爪が伸びていた。
『……来たか。』
《フロデューテ。》
その大きな鳥は再び瞳を閉じ、眠りについていた。
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【幻夢の岩高山 入り口】
3人は駱駝屑を近くの木に牽引ロープを括って、水を与えて奥に進み始めた。
目の前に高く聳え立つ岩岩には、小さな木々が生え茂り、周囲は霧が立ち込めていた。
「どの岩も大っきいな〜!どこまで続いてんだ?」
『数キロあるって聞いたことあるけど、実際に奥まで行って帰って来れた人が居るとは聞いたことないわ』
『だから、それすら本当かどうか分かんないわね』
「ははっ……。確かに、オレの故郷みたいに道が入り組んでるし。迷子になったら帰れるか分かんないな……。」
「安心しろ。発光苔を付けてる」
(念のため、絹屑蜘蛛の糸もつけているから大丈夫だろう。)
「なら安心だな!」
「フロデューテ、何か分かるか?」
『ん〜。ここに来てから、何かモヤモヤした感じはあるんだけど……。』
『まだピントは来ないかなぁ。』
「そうか。」
「まあ、とりあえず進んでみるしかないよな!」
「お〜〜〜い!!鳳凰ってヤツはどこだ───!!!」
霧に包まれた岩岩の間をサーチの声が響き渡っていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
衣装は、全員頭に日差し避けのスカーフを巻いて、マントを着てます。
その下に別衣装を羽織ってて、さらに下に自身の服を着てます。




