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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
196/258

欠片194.『幻夢の岩高山』

欠片(ピース)194.『幻夢(げんむ)岩高山(がんこうざん)』です!


※ カフタン

アジアの民族服の典型とされる「前開き服」の形式で、トルコ、イラン、アフガニスタン、インド北部などで見られる衣装。


ケミス

パシュトゥン族などの民族衣装で、チュニックとパンツの組み合わせ。

頭を覆うスカーフはヒジャブやシャイラなどと呼ばれる。



幻夢(げんむ)岩高山(がんこうざん) 付近の砂丘】


砂屑飛蝗(ディザスター)の襲来から3日が過ぎ、サーチとアストラ、フロデューテは砂丘を「ラクダ」に似た在屑物(アニマ)の『駱駝屑(タクセツ)』に乗り、渡ってきていた。


パス、パス……パス、パス…。


砂丘に一歩一歩『駱駝屑(タクセツ)』の足跡が連なっていた。


「サンは今頃どうしてるかな」


「ヴィーナスが戦線に入れない以上。彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)を手薄にするわけにもいかないからな。」

「敵の目的がわからない以上、上空から索敵ができるサン殿に任せるしかあるまい。」


「そうだよな〜。こっちに来てくれれば頼りになりそうだったけど、ヴィーナスのねぇちゃんかフロデューテにしか探せないって言ってたからなぁ。」


「霧に何かしらの仕掛けがあると見ていいだろうな。でないと空を飛べる者なら簡単に見つけ出せるハズだからな。」



「へぇあ〜……にしても砂漠って不思議だよな〜。昼間はあっちぃのに、夜はさむいし。」

「オマエらはすごいな〜!この三日間、水も飲んでないもんな。」


と、サーチは駱駝屑(タクセツ)の背からだらんっと腕を垂らしながら呟いていた。



駱駝屑(タクセツ)はね、白い背中のコブに水分を溜めてるの!そこから少しずつ体に行き渡らせることが出来るのよ!』

『それに、よく出来た構造しててね!コブが白いのは星屑(ホシクズ)の影響なのに、進化の過程で太陽光を吸収しにくくしてるの!』


「へぇ〜!だから水を飲まなくても良かったのか!」

「でも、なんか出発前よりもコブがちっこくなったな〜」


『彼らのコブに溜められた水が減ってきてるのね。後で水をあげときましょう!』


『ボェアア〜!』


フロデューテの言葉に、駱駝屑(タクセツ)が声を挙げた。


「コイツらも喜んでるな!」

「頑張ってくれたし、あとでしっかり休んどいてくれな!」


『ボェアア〜!』


照りつける灼熱の太陽の下、3人は顔を覆える所々ボロボロ灰色のマント着ていた。

そのの下には、羽織ったりして着れる民族衣装などの『カフタン』や『ケミス』のような服装を身につけ砂漠を横断していた。


『見えて来たわ!』


フロデューテの指差す方を見るサーチとアストラ。


「おぉぉぉぉ〜〜〜!!」


「思っていたより大きいな。」


「想像の何倍もデケェ〜!!」

「ここに、鳳凰がいんのか……!」


『……。』


目の前にいるフロデューテはどことなくテンションが低めに見え、サーチは気にかけていた。


「な、なあ、フロデューテ。大丈夫か?」


『………。』


『えっ、あ。………うん。』

『アタシなら大丈夫。』


「………。」

(まだ、受け入れられる気持ちではないか。)



『まだ考えてたけど。』



『………誓ったの。』

『これは、アタシがやらなくちゃいけない事だから。お姉ちゃんやみんなのためにもアタシはやるっ!!』


「へへっ!おうっ!!」

「やれことがあんのか分かんねぇけど、オレたちも協力するぜ!」


「そうだな。」

(フッ。杞憂だったか。流石はヴィーナスの妹だな。)


優しくフロデューテを見るサーチとアストラ。



『ありがとう。サーチ!アストラ!』



─────────────────────────



幻夢(げんむ)岩高山(がんこうざん) 岩高山の頂上】


平らな岩盤の上に眠るオレンジ、黄色や赤色。さらに紫の色彩が入った大きな鳥が目を覚ます。

その鳥はトサカや羽、尻尾の先は細長く伸びており、鋭いクチバシと黒い爪が伸びていた。


『……来たか。』

《フロデューテ。》


その大きな鳥は再び瞳を閉じ、眠りについていた。



─────────────────────────


【幻夢の岩高山(がんこうざん) 入り口】



3人は駱駝屑(タクセツ)を近くの木に牽引ロープを括って、水を与えて奥に進み始めた。

目の前に高く(そび)え立つ岩岩には、小さな木々が生え(しげ)り、周囲は霧が立ち込めていた。



「どの岩も大っきいな〜!どこまで続いてんだ?」


『数キロあるって聞いたことあるけど、実際に奥まで行って帰って来れた人が居るとは聞いたことないわ』

『だから、それすら本当かどうか分かんないわね』


「ははっ……。確かに、オレの故郷みたいに道が入り組んでるし。迷子になったら帰れるか分かんないな……。」


「安心しろ。発光苔(ルミモス)を付けてる」

(念のため、絹屑蜘蛛(シルクスパイダー)の糸もつけているから大丈夫だろう。)


「なら安心だな!」


「フロデューテ、何か分かるか?」


『ん〜。ここに来てから、何かモヤモヤした感じはあるんだけど……。』

『まだピントは来ないかなぁ。』


「そうか。」


「まあ、とりあえず進んでみるしかないよな!」

「お〜〜〜い!!鳳凰ってヤツはどこだ───!!!」


霧に包まれた岩岩の間をサーチの声が響き渡っていた。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

衣装は、全員頭に日差し避けのスカーフを巻いて、マントを着てます。

その下に別衣装を羽織ってて、さらに下に自身の服を着てます。

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