欠片189.『全員で勝つぞォッ!!!』
欠片189.『全員で勝つぞォッ!!!』です!
『じゃあ、さっそく今後の動きについて説明していくぞッ。』
ヴィーナスがしきる中、各大臣は腕を組んでいたり、テーブルの上に手を組んでついていたりしていた。
サンは姿勢良く手を下に置き、アストラは腕を組んでおり、サーチは両手をテーブルの上に置いて、フロデューテも同様だった。
『四日後。アタイが『砂屑飛蝗』の群れを『磁塊集器』を使って一箇所に集める。』
『そして、一掃する。』
『五キロくれーは防衛線から離れたところでやるつもりだが、規模によっちゃぁ……防衛線にも届くかも知れねェ。』
『その時は『花火』で合図をする。』
『防衛線は捨てろ。いいな。』
『そして、仮に、アタイが全て壊せなかった場合……しばらく動けるか分からねェ。』
『なら、今回も地下洞を掘っておくのか?』
と、雨大臣のレイセクが尋ねた。
『いや、今回はデューティが貰った『記憶移動』の魔屑石を使う。』
『コイツでアタイも防衛線まで戻り、体力が回復し次第復帰するっつーわけだ。』
『なるほどのぉ。それで?万が一漏れた虫はどうするのじゃ?』
今度は砂大臣のサンクレタが尋ねる。
『今回は、防衛ではなく。そのまま狩り尽くすッ!!いつもなら砂疾隠が時間を稼いでアタイが復帰するまで持ち堪えるが、今回は助っ人がいるからなァ!!』
『アタイが復帰するまでは、アストラやチビ助達に任せるッ!!』
「分かった。」
「任せろっ!!」
『……。』
サーチ達は返事をし、サンは頷いていた。
『まあ、今回も例外なく行けば、残党も含め数時間で終わるだろう。』
『防衛線にはアタイとアストラ組の三人。後は砂疾隠の全部隊で行く。』
『デューティ。オマエはヘーパと一緒にここにいろ。』
ガタッ!!
と、椅子が後ろに倒れ、フロデューテが立ち上がり机に両手をついた。
『ちょっと待ってよっ!お姉ちゃん!!』
『アタシも戦えるっ!!だから連れてってよ!』
『………』
『ダメだ。』
『どうしてッ!!お姉ちゃんっ!!』
『オマエの戦い方じゃあ足手纏いになるからだよ。今回は空も飛べるヤツらだ。』
『したがって、遠距離攻撃が可能なヤツか、空でも戦えるヤツが望ましい。その方が取りこぼしが無いからな。』
『でも……』
『気持ちは分かるが、待機だ。近接しかできないオマエが居ても邪魔になるだけだ。』
『………。』
椅子をなおすヘーパは、肩を落としながら座りなおすフロデューテを励ましていた。
『大丈夫だよ。ボクも前線に出たいけど、今回はヴィーナスの言う通りだと思う。』
『守りたい気持ちは皆同じさ!だから、ボク達は万が一の万が一。要塞に来たヤツらの相手をしよう。』
『うん。ありがとう。』
『大丈夫!キミのお姉さんは強い。それはここにいる誰よりも知ってるだろう?』
『だから、ボク達はボク達に出来ることをしよう。』
『そうだ。ヘーパの言う通り、前線に出ないヤツは、物資の補給を頼みたい。砂疾隠に行き来してもらって補給する。』
『質問があるヤツはいるかァ?』
「『…………。』」
『よし。いねェなら終わりだ。』
『この戦いは彷宵徨要塞に住む全員の命を懸けた戦いだッ!!』
『このまま侵食が進めば、ここでは住めなくなっちまう。』
『全員で勝つぞォッ!!!』
「『オォ──!!!』」
「………。」
力強い掛け声に、アストラ以外の皆が答えていた。
(例年通りなら……か。)
(ブローチの件もある。油断はできないぞ、ヴィーナス。)
二人は見つめ合い、すぐに視線を逸らした。
それから、会議が終わりあっという間に時間は過ぎていった。
そして、各々は各自で行動をとり、"侵食の災害"の日が訪れようとしていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
特にない!!




