欠片187.『新たな武器へ』
欠片187.『新たな武器へ』です!
【彷宵徨要塞 加工場】
サーチとサンは、フロデューテに連れられて武具加工場に訪れていた。
加工場は広く、ドワーフやヒト族が共に協力して武具の作製をしていた。
「あれ?鬼人の機巧技師は居ないのか?」
『ええ。アタシたち鬼人一族は、手先があんまり器用じゃないの。』
『だから、ドワーフやヒトにお願いしてるってわけ!』
「へぇ〜、フロデューテは器用なのにな!改めてフロデューテって凄いんだな!」
『そ、そんなことないわよ……。』
『ふふっ。』
《微笑ましいですねぇ。》
頬を赤らめるフロデューテを見ながら、サンは優しく見守っていた。
『それよりも!サーチに見せたいって言ったけど、実はね。新しい破片ノ武器を作らないかって提案しに来たの!』
「新しい破片ノ武器を!?」
ガチャリ。
「そういや、結構キズだらけになってたもんなぁ。」
「テツゴウのおっちゃんと造った破片ノ銃剣・屑。」
「まだまだオマエと冒険したいな。」
と、破片ノ銃剣・屑を手に持って眺めるサーチ。
『何も、今の武器とお別れしろって訳じゃないわ!アンタもいっぱい鍛錬して来て、そろそろ他の武器も持ってもいいと思うの!』
『それに、アタシが作ってあげた『魔掘屑箱』もあるし!容量はまだあるよね?』
「確かにな……今は左目の力も。魔力だってある。」
「今まで以上にに戦闘の幅を広げるのも悪くないな!」
『アイデアが出来たら、アタシに教えてくれる?』
「分かった!」
『とりあえず今日はどんな場所なのか見せたかっただけだけど、武器屋とかも見ていく?』
「いいな!どんな武器がいいか参考にもなるし!」
─────────────────────────
加工場から武具売り場へと移動した3人は、床に布と共に広げられた多くの破片ノ武器を眺めていた。
『こうして見ると、破片ノ武器が多くなりましたねぇ。』
『そうねぇ〜昔はただの鉛の武器ばかりだったし。』
『サンさんはどんな破片ノ武器を使ってるの?』
「………。」
フロデューテとサンが話す中、サーチは静かに破片ノ武器を眺めていた。
『私の破片ノ武器は『二刀羽』と言って、普段は槍として使ってるのですが、持ち手を分離することで双剣に切り替えることも出来ます!』
『フロデューテさんは?』
『へぇ〜!面白い〜!近距離と長距離のバランスが取れる武器なのね!』
『アタシのは『断鬼凛』って大剣でね、見た目はシンプルで、白い刀身が根本から先にかけて、緩やかなひし形の形になってるの!』
『でも、何故か両刃でね。昔オールドおじちゃんから貰ったんだけど、自分も傷ついちゃうから危ない破片ノ武器だったりするんだけどね!』
『そうなんですね。作り手の魂が込められた武器を我々は使わせて頂いてますからね。』
『きっとその大剣にも、込められた意味があるんでしょうね。』
『ええ!そうに違いないわ!』
「……いや、でも。それだと。」
ブツブツと独り言を喋るサーチに、声をかけるフロデューテ。
『サーチ〜、何か良さそうな破片ノ武器が見つかった?』
「あ、いや!まだ決まってないけど、なんとなく造って欲しいのは浮かんだと思う。」
『そう!なら、今日は会議があるから、決まったらまた教えてね!』
そうして、3人はその後も要塞内を見て周り、各々が別れていった。
─────────────────────────
サーチは借りた部屋のベッドに座って考えていた。
(破片ノ銃剣・屑 )は近遠距離どちらも対応出来るけど、その分近距離の刀部分が脆い。)
(オレは防御面がいつも避けるばっかだった。だから……)
「出来るかは分かんねぇけど。面白そうだ!」
何かを閃いたサーチは、紙に設計図を書き始めていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
1話からの修正に伴い、前書きを5の倍数間隔で追加することにしたので、消してます。




