欠片186.『ブローチ』
欠片186.『ブローチ』です!
※本作の「」と間にある───の種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると『四角い囲みのナレーション語り』や『用語説明』
・・=強調
" "=強調、効果音など
─1本=漫画で例えると『場面転換』や『幕間』
➖─➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
─2本=漫画で例えると『時の流れ』
アストラはヴィーナスと話をする為にその場に残り、サーチはフロデューテとサンと共に、市場へと来ていた。
四角い土台に、白い布で屋根を張った屋台のような売り場には、テーブルの上や地面の下に木箱がたくさん置いてあり、その中には様々な食材や料理、武器や武具などの売り場があった。
『ここはね、みんなが利用する市場よっ!』
『食材から武器まで、アクセサリーから家具まで、いろんな物があるの!』
「スッゲェ〜〜!!広々としてるのに、店も人も多いから狭く感じちゃうな……」
『凄いですねぇ。この環境下で、ここまでの資源があるとは。』
『サンさん?だっけ?サンさんはどこから来たの?』
『私は大気嵐要塞です。生まれ故郷は別の場所ですが、長くいたのは大気嵐要塞ですね。』
『あそこも資源はあんまりじゃなかった?』
『ほぼ年中雨や雷が降り続いてたわよね?』
『ええ。なので、ビニールで覆った作物栽培室や養殖場などが多くありましたね。』
『その他は戦での提供をする代わりに、対価として資源をいただく取引で成り立っています。』
『へぇ〜!工夫はされてるのね〜!ウチとは全く反対の環境だもんね!』
『はい。いつかお見えになれれば良いですねぇ。ふふ。』
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3人は、黒屑燥もろこしと尾屑群牛の角切りを炒めた炒飯を食べていた。
「うめぇ〜!モッチモチするし、肉は噛むと味がギュワッてしみ出てくるぞ!」
『脂の馴染みぐらいまで素晴らしい!何杯でも食べられそうですね!』
『えっへへへ〜!でしょ〜!ウチの料理人たちの腕は最高なんだから!」
『ね!クッコさん!』
『ああ!オイラの料理は天下一だ!!』
料理人[クッコ(32)]
[種族:獣人(モデル:フェネック)]
『ここにいる間は、いつでもうまい飯を振るうぜぇ!』
『何てったって、サーチさんはヴィーナス様の認めた英雄様だからなッ!!二ヒヒッ!』
「英雄ってオレのことかぁ!?そんな大層なもんじゃねぇよっ!!」
と、汗を流しながら焦るサーチに、クッコは否定する。
『いーや!ヴィーナス様が認めたんだ。誰が何と言おうと、ウチのヤツらもみんな納得してる!!』
『サーチさんは、オイラたちの尊敬するヒト族なんだぜ!』
「へへっ…!そ、そうか?なんか照れるけど、悪くないな!」
「また食いにくるよー!!ありがとなー!」
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『次はどこに行く?』
『あ!そうだ!サーチに見せたいとこがあったんだ!』
「見せたいとこ?」
『うんっ!』
と、フロデューテは、両手を後ろで組み笑顔で振り返って答えた。
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【ヴィーナスの一室】
ヴィーナスの部屋で、アストラはヴィーナスと会話をしていた。
ベッドの上に二人で座り、静かにヴィーナスが質問した。
『まだオジさんのブローチは見つかんねェのか?』
「ああ。極子水星要塞にもなかった。」
『王国が持ってると思ってたが……どうやら違うらしいな。』
『無くなってから滅んじまったしな。』
「ああ……だが、王国も一枚絡んでると見てる。」
「それと、メリウスがツベチカの居場所を知っていた。」
『なッ…!!じゃあ!』
「分からん。ヤツの体からは感じなかった。」
『……まあ、アレは異質だからな。アレば分かるか。』
「そうだな。だが、あの口ぶり……王国を襲った四神。」
「アレは間違いなくブローチの効果が無ければあり得ない。いまだに王国の跡地にいることも加味してな。」
「しかも……サーチが居ない時にタイミングよく故郷を壊している。」
『……だが、メリウスの野郎はどこいっちまったか分かんねェんだろ?』
「ああ、ヤツが持っている可能性が高いと思っていたからな。だが、実際には見当たらなかった。」
「事が起きなければ良いんだがな。」
『そうだな。あの力は強大すぎる。』
『特に、悪意のあるヤツの手に渡っちまったらな。』
「ここで影響は起きたりしてないか?」
『なぁ………いや…。今回の件と関係してるかも知れねェが……時期がな。』
「何だ?」
アストラがヴィーナスの顔を覗く。
『まだアタイも産まれてもねェ……六十二年前の事だ。王国側から、彷宵徨要塞に向けて四神『更地平野ノ鳳凰屑神鳥』がやって来たんだ。』
『いまだに棲みついてやがる……。今回は、少しばかり骨が折れるかもな。』
「……四神か。決行日は月初めか終わりになりそうか?」
『おそらくな。』
(満月や新月ではないか……。)
『ハッ!!安心しろよ!』
『元々、オマエの力を借りる気はなかったしな。アタイが何とかするから心配すんな。』
『あの技は体に負担がかかるんだろ?』
「それはオマエもだろう?それに、バッタの始末でもかなり消費するハズだろう。」
『フンッ。今更ど〜ってことねェよ……あの日から守るって決めたんだからな。』
「フロデューテは知ってるのか?」
『いや、知らせてねェし、オールドのジィさんにも黙っといてくれって頼んである。』
「そうか。」
「無茶だけはするなよ。オマエに何かあれば、今度はあのおてんば娘が悲しむからな。」
『フハッ!!そうだな。アイツは幸せなまま生きててくれりゃあソレでいい。』
「ワタシに出来ることであれば、全力で力になる。」
ヴィーナスの背中に手をあてるアストラ。
『ありがとうよ。アストラ。』
俯いていたヴィーナスはアストラを見て答えた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
そういえば、ユリニト(マモン)とフロデューテのキャラデザを少し変更してます。
ユリニトはもう少し変わるかも。イマイチ感が抜けない。
フロデューテは新しいイラストがそろそろ出来るので、近いうちに設定集の方も変更します。




