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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
182/254

欠片180.『隠居した魔女』

欠片(ピース)180.『隠居した魔女』です!


※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明

・・=強調

" "=強調、効果音など

ー1本=漫画の場面転換、幕間

➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

ー2本=漫画で例えた時の流れ




セイントが目を覚ますと、目の前にはグルーミーが立っていた。

そして、奥には魔王も立っていることに気がついた。



「なっ……まだ…。グルーミー!!よすんだ!」

「キミだけじゃあ魔王は──」



「黙ってて!!」

「あの魔法を使えば……きっと魔王は倒せる。」



「……?」

「何を…言って……?」



『ほう。キサマが奥の手だったか。』

『だが、いいのか?それを使えばこのせ──』



「分かってるわよッ!!だから……」



「今回は"引き分け"にしてあげる。」



「『全指定(オールキャスト)』」

(並列演算(へいれつえんざん)──)



"シュン"、"シュシュン"!!


と、グルーミー以外の勇者パーティー全員に輪っかのエフェクトが現れた。



「もし、次に会った時は、また冒険しようね。」



「何を言って……まさかッ!!待てっグルーミーッ!!!」


振り返り際に、グルーミーはセイントに向かって笑顔で答えた。

その頬には、涙が伝っていた。



「愛してるわ。セイント。」



「『転移移動(テレポーテーション)』。」



「まッ───」



"バシュンッ"!!


グルーミーを残して、3人は瞬間移動してしまった。



『キサマ自身には、かけられなかったのか?』



「いいえ、可能よ。でも、かけなかった。」



『何故魔法を使わなかった?我も倒せていたかもしれぬだろう。』


「彼がいなくなる方が耐えられなかったから。だから」



「魔王。アナタと……」



「交渉がしたい!!」



『……フム。その案に乗って、我にメリットはあるのか?』

『今すぐキサマを消すことは可能だ。それは理解しているだろう?』



「ええ。だから"引き分け"って言ったのよ。」



「私達がまた挑みにくれば、今度は私の魔法を使わずにアナタを倒すことが出来るかもしれない。でも……」


「今後、私達はアナタを倒しには来ない。その代わり──五十年!!アナタと魔王軍幹部が人間界に侵略しないこと!」


「その約束を交わしてほしい。」



『五十年か。その頃には、あの厄介な勇者も衰えているだろうな。』


『いいだろう。』



『だが、"命の契約"を交わしてもらう。約束を破れば、キサマは死ぬ。もちろん我も破れば死ぬ。』



「分かったわ。」



魔王が手をかざした。



"シュイン"──。


と、お互いの心臓に魔力の鎖がかかる。



『鎖が外れないことを祈ろうではないか。』



「安心しなさい。」

「彼らには転移時に別の魔法も使用してある。」


「魔王や魔族、王国からの記憶の一部を消す魔法よ。」

「だから彼らはアナタを倒しには来ない。飛ばした場所も私が決めた。」



『用意周到と呼ぶべきか。それとも……』



「舐めないでちょうだいッ!!初めから"逃げる用意なんてしてくるバカ"なんて、私達のパーティーにはいないわッ!!!」


「それに、私は天才なの!!」

「あの程度の魔法なんて、一秒もあれば同時にいくつも使用できる。」



「約束は守るわ。でも、忘れないでッ!!」



『………』



「今後、必ずアナタを倒す者が現れる。」

「その時まで、震えて待ってなさいッ!!!」



『万が一にもそんなことは起きん。』



「フフッ……。どうかしら?『最後の審判の日(ドゥームズデイ)』が楽しみね。」



"キュィン"──"バシュンッ"。


と、言い残し、グルーミーはその場から消えていった。



────────────────────────➖



「そうして、私たち勇者パーティーは解散した。」


「王国へは私一人が帰り、国王に報告。契約の有無は言わず、魔王本人と幹部から五十年侵略が行われないこと。そして、勇者セイントは死亡し、他の者も負傷したと説明した。」


「まあ、実際には今も普通に暮らしていたり、僧侶のモンクは新しい勇者パーティーに加わってるわ。」

「彼は結局……"その道の運命"を背負わされてるのかもね。」


「彼がいる限り、今の勇者はそうそうやられはしないだろうし。念のため見てはいるけど、勇者はまだまだね。」


「もっと力をつけなきゃ。」



「………。なるほど。」

「それで、下っ端しか軍勢を送り出すことが出来なかったのか。」



「そ。だから、アナタ達が活躍し出した頃は、王国側も勢いがあったし、あの程度の魔族ならなんてことなかったハズよ。」


「今はもう魔王も、幹部達も動けるから大変でしょうけど。お互い、それなりに準備をする時間はあったからね。」



「そうだな。」

貴女(アナタ)はもう戦線に立つことはないのか?」



「私は"見たい者"を"見る"だけ。それ以外の干渉は必要ない。」

「私が手伝わなくても、今の所はなんとかなるから」



「ただ、"あの子"はちゃんと導きなさい。」



「アナタも分かってるんでしょう?」

「私はあの子のことを何にも知らないけど、見たからわかる。」


「おそらく、分岐点はいくつもあったハズ。そして、これから先もきっとあるわ。」



「だから、"世界を救いたい"なら……『彼』を"正しい道"へと歩ませることね。」



「………。分かっている。」



「アナタの"運命"も見てあげましょうか?」

「興味はないから、一瞬だけ見て解除するけど。」



「いや、結構だ。振り回されるのは慣れている。」



「そう?」


「まあ、安心して?血液を調べるけど、何か分かったとしても誰にも言わない。」

「この先の未来は、"魔王と話した時"にアナタ達に任せたの。」



「"昔の私"がね。だから、今はただ。」



「隠居した魔女なのよ。」


最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


感想やブックマーク、Xのフォローなどしていただけると、今後の励みにもなりますので、応援よろしくお願いいたします!


[今回の一言♩]

最近小ネタを探してるけど、これで最後かもしれない。

モグラは本来鉱石なんか食べないらしい。

でも、フィクションなので、モーラさんには食べてもらいました。


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