表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
173/258

欠片171.『バカパカ』

欠片(ピース)171.『バカパカ』です!


※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明

・・=強調

" "=強調、効果音など

ー1本=漫画の場面転換、幕間

➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

ー2本=漫画で例えた時の流れ




【サンの仲間加入地点から南東26km】

(進行108km  残り430km)


【残り9日】



3人はサンの体調も踏まえ、ゆっくりだが着実に先を進んでいた。



「なぁなぁ〜、オウギ一族って普段はどこに住んでるんだー?」



大気嵐要塞(ストームフォートレス)農楽園要塞(アグリカルフォートレス)の直線上に位置しているのですが、天峡雲山(てんきょううんざん)と呼ばれる山がありまして。』

『そこに住んでおります。』


『私は二十一の頃に隠雲(ハイド)に属したので、それ以降は里には帰ってはおりませんがね。』



「へぇ〜〜!!山育ちだったのかー!」

「いつか行ってみたいなー!」



『そうですねぇ……あまりオススメはしません。』



「え?なんでー!?」



天峡雲山(てんきょううんざん)は鋭い剣山(ケンザン)で出来てる山々なんです。我々は家という家を持ちません。』

『縄張りを決め、そこに近づくモノを狩る。そういう狩場としているんです。自然が家と同じなのです。なので、たいていの種族は山を登ることすら不可能とされてます。』



「なんだ〜〜、登れない山ならムリだな〜。」


と、サーチは落胆していた。



その様子を見て、『ふふふっ』『まぁまぁ』と、サンは笑いながら肩に手を置いて励ましていた。



─────────────────────────


【サンの仲間加入地点から南東31km】

(進行113km  残り425km)



3人は高原の道を歩いていた。



「日没までは、もう少し進めそうだな」

「あそこに見える湖の近くで野宿するとしよう」



『ええ。』


「おーしっ!頑張るぞー!!」



と、サーチが張り切る中、サンが異変に気付いた。



『……!!ナニか来ますッ!!』



「え!?なんだ!?」



トテトテトテ。


と、3人の前に現れたのは、黒点の目をした、世界観に似合わない可愛らしい見た目をした1匹のアルパカだった。



そのアルパカを見て、サーチはあっけらかんと拍子抜けし、アストラは無言だった。



「へ?」



「………。」

(か、カワイイ。)



『ア、アルパカですね。』


「う、うん。」



トテトテトテ。


『………。ベェ〜〜。』


と、頭までの高さが1m70cmくらいで、四足歩行のアルパカが、3人を見つめたまま道の真ん中まで来ていた。



「な、なんなんだコイツ?」

「エサでも欲しいのかな?」



「………。」

(モフモフ。カワイイ。)



『どうなん、でしょう……?警戒しているわけでもないし、無表情ですねぇ。』



「ん?でも、なんか少しだけプルプル震えてないか?」


『言われてみれば、確かに。』




『………。』



「………。」

「………。」

『………。』


見つめてくるアルパカに全員が無言のまま、サーチが何かを言おうとした瞬間……それは起きた。




『なぁ、一緒に連れてってくれない?』



「は!?」『なっ!?』


「………。」

(フフッ。モフモフが喋った。)



『「えええええーーーー!!?」』



「な、ナニあれ!?喋ったんだけど!?あ、でも、モーラだってあの見た目で喋ってたし、獣人なのか?」


『じゅ、獣人のような見た目ではないですが……しかし、喋っているのは事実……。』



「………。」

(フフッ。モフモフが手を振りながら揺れてる。)



『や、違うんだけどさ。ちょっと、聞いてくれる?』

『こんな身なりしてるけど、オレっち人間なのよ』


『まあ、その、魔法?魔術?呪い?っつーの?それにかけられて、イマこんな感じ。』


『助けてくんない?』

『せめて、飯食いたくて……もう3日も草しか食べて……うぅ………ないんだよぉぉぉぉ〜〜!!!』


と、口を大きく開けながら、ブサイクな表情で泣き出していた。



「えぇ……。ホントかよ〜…。」


と、サーチは戸惑いながら、サンに相談していた。



「なぁ、どうしたらいいかな?」

「なんか、さっきから師匠はぽけ〜ってしたままだし。めちゃくちゃ怪しいんだけど、困ってるのもほっとけないよなぁ……。」



『そうですねぇ。怪しいのは間違いないですが……ヒトの姿を変える呪いの類いは聞いたことがあります。』

『なので、彼の言ってることも、ありえないことではないと思いますよ。』



『ベボォォォォォォぁん〜〜〜!!!』


と、大声で泣き続けるアルパカだった。




「う〜〜ん。まあ、悪いヤツではなさそうだしなぁ〜。」


『とりあえず、次の要塞まではご一緒しても()いのでは?』



「分かったよ〜、ははは……。まあ、なんとかなるか…」



「おいオマエ!」

「オレたちにも目的があるからずっとはムリだけど、次の要塞までは一緒に来ていいぞ!」



『ベボォォォォォォぁん〜〜……ん?おぉ〜!?本当かー!!』

『全然いい!ソレでいい!助かるよぉぉ〜〜……!!』


と、アルパカは泣きながら喜んでいた。


─────────────────────────



『あ、オレっちはヒツジダ ヨウっす!』


「いや、アルパカじゃん!!」


『あ、いや、ヒツジダっす。』


「だから、アルパカだろ?」


『いや、ヒツジダですって!』


「どこがだよっ!!」



『あの、サーチ殿……おそらく…』


と、サンは何かを伝えようとするも……




『や、その、ヒツジ……』



ジト〜〜〜……。


「…………。」


と、睨むサーチに対して、羊田(ヒツジダ) (ヨウ)は諦めた。



『あっ、ハイ〜……アルパカでいいです。もう。』

『好きに呼んで下さいっす。』



「オマエは、何度言ってもバカだから、バカパカにしよう!」



『えぇぇぇ〜〜!?そんなぁ〜〜〜……そりゃないっすよ〜……サーチさん〜。サンさんもなんとか言ってくださいよ〜〜!!うぅぅ〜……。』



『……その、生きてたら、色々となんとかなりますよ……。元気出して。』




『サンさんまで、諦めないでくださいよぉぉ〜〜!!』


と、泣きじゃくりながら、その声がやまびこするヒツジダだった。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

ちょっと流れで話を書いてたけど、ヒツジダさん好きになったから採用で!笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ