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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第二章ー彷宵徨要塞〜あの日の覚悟と鳳凰の願い〜ー
172/253

欠片170.『サンファン・イーグル』

欠片(ピース)170.『サンファン・イーグル』です!


スパイン)

刃の反対側で、ナイフの厚みがある部分



※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明

・・=強調

" "=強調、効果音など

ー1本=漫画の場面転換、幕間

➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

ー2本=漫画で例えた時の流れ




翌朝、3人が起きている間に、顔合わせと今後のことについて話し合っていた。



「起きたか!」



『あ、ああ、貴方はサーチ殿だったな。』



「どのって……ハハッ!堅苦しいなオマエっ!」

「まあ、好きに呼んでくれ!えっと、サンファン?イーグル?ん──……」


「長いから、"サン"でいいかっ!!」



「フム」


と、アストラも納得していた様子だった。



『私は何でも構わない。サーチ殿やアストラ殿がお好きなように呼んで下され。』



「分かった」

「それでだが、サン。今後の行動について話したい」



『そうであったな。私は追われ身。貴方たちと共に居れば、危険があるかもしれぬ。』

『旅の物資さえ補給出来れば、立ち去れるのだが……』



「サンはさ、なにかやることあるのー?」



『いや、追手から逃げているだけで、特にやることは……』




「ならさ、追手のことはオレらも何とかするからさ、一緒に来ないか?」



『……なっ!?そんなこと、関係もない貴方がたに……もし何かあったら責任が取れない…。』



「大丈夫だって!オレたち強いから!ヘヘヘッ!」

「まあ、特に師匠がだけど!」




『しかし……』


悩んでいるサンに、アストラが話しかける。



「我々の目的地は、彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)だ。そこで、八天星(はちてんせい)・ウェスト・ヴィーナスへの協力を手伝うことだ。」


「この時期なら、聞いたことくらいはあると思うが、"侵食の災害"……『蝗害(こうがい)』について対策を進めている途中だ。」



『…なっ!!まさか、アレらを相手取るというのか!!?』

『貴方たちはいったい……』



「まあ、策もなしにはやらん。すでに装置は作成済みだ。あとは、ヴィーナスがほとんど終わらせるだろう。」

「ワタシたちは、残党処理だな。」


「比較的ラクに終わるハズだ。」



『……そうは言っても…凄まじい数だと聞く。』

『オウギ族、族長の話でも聞いた事があるが……空の地を得る我々でも危険視するほどだと聞いている。』




「規模にもよるだろうな。今年がどのくらいかは、ヴィーナスの方もまだ分からんだろう。」



「なぁなぁ、こーがいってなんだー?」



「サーチは知らなかったな。伝え忘れていたが、磁塊集器(コレクト)は、ヤツらに使うための道具だ。」


「そして、『蝗害』とは、毎年起きている、バッタ型の機屑物(ガーベマジル)……『砂屑飛蝗(ディザスター)』の大群が各地の森林を食い荒らし、次の食べ物となる森林へ、行進し続ける災害の一つだ。」


「ヤツらは止めない限り、行進を辞めない。なのに、毎年何処からともなく大量に現れるんだ。」



「マジかよ……森を食い尽くすとか、どんな規模なんだ…?」



「数千、いや数万はいるだろうな。」


「まあ、幸い毎年、磁塊集器(コレクト)とヴィーナスのおかげで被害を食い止めてはいるが……」

「それでも、年々森林が減っていっているのは確かだな。」



「元々、彷宵徨要塞(イブニングフォートレス)は森林豊かな土地だったらしいが、『蝗害』の被害にあった場所だ。」



「へぇ〜〜。マジでヤバいんだな…。」

砂屑飛蝗(ディザスター)……倒しまくってやるぜ!!」



「……!!」

『…!!!』


(これは……)



「囲まれたな」


『ええ。おそらくは……』



「え!?なに?追手か!?」



と、3人が背を預け、森の周囲を見渡した。



「だろうな。……八、いや九か。武器破壊が容易ならそれで構わないが、無理なら躊躇(ちゅうちょ)するなよサーチ。」



「……わ、分かってるよ……!」


(また、ヒトと戦わなきゃいけねぇのか。)

(でも、仲間のためだ。覚悟を決めろ。)




『すみません!巻き込んでしまって!!』



"ガチャリ"!!


と、魔掘屑箱(マクセツバコ)からサンは、破片(ウェ)武器(ード)を取り出した。



破片(ウェ)武器(ード)二刀羽(ニトウ)

双頭槍の見た目をした、先尾に刃がついている槍。

しかし、左が三:右側が七の割合で接続部分があり取り外しが可能。

そのため、取り外し後は双剣として使う事ができ、リーチの差を得たり、近接特化として状況に応じて戦う事が出来る破片(ウェ)武器(ード)である。※

刃の形はクリップポイントナイフに似た形をベースに、(スパイン)の中央部分が、『C』のようにくり抜かれて返しが付いてある。



"ガキッン"!!


と、接続部分を取り外し、槍から双剣へと持ち変えたサンは、右手は柄をそのまま持ち、左手は逆手に柄を

持って『二刀羽(ニトウ)』構えていた。




「気にするな、乗りかかった船だ。」



『感謝するッ!!』



─────────────────────────


森の中で隠れていた全身黒い服面とマントを着た追手達は、勘づかれたことに気付いていた。



「チィッ……バレたな。」



「ああ。相当、勘のいいヤツがいるな。」

「気を抜くな、一人に三人ずつ付け。各距離で連携しろ。」



「「「御意。」」」



(さん)



"バババッ"!!"シュシュ"!!!


と、9人の追手は分散していった。



─────────────────────────



"キンッ"ーー!! "キンッ"ーーーー!!!


と、刃が交わる音が鳴り響く森の中で、次第に音が鳴り止んでいった。



シュッ!!ババッ!!



「ハァァァァア!!!」



"ガキィンッ"!!"シュバッ"!!


と、飛び上がり短剣を振りかざす追手の攻撃を、サンは左手で持つ逆手の刃の(スパイン)にある『C』のような(くぼ)みで短剣を受け止め、右手に持つ刃で追手の腹を切り裂いた。



『多種多様に応用が効くのが『二刀羽(ニトウ)』の良さだ。ただの短剣にやられはせん。』



─────────────────────────

─────────────────────────



「終わったようだな」


「うん」



『コチラも終わりました』

『みなさんご無事で良かった!』



3人は合流し、追手の正体について確認していた。



「誰なんだコイツらー?」



「こいつらは……」



『"隠雲(ハイド)"』

大気嵐要塞(ストームフォートレス)の特殊隠密部隊です。』



サーチは後ろを振り返り、サンに尋ねたがアストラが口を挟んだ。


「ハイドー?聞いた事ない!各大要塞には、いろんな部隊があんのか!?」



「ないことはない。が、組織によって役割は関係性は違う。」

大気嵐要塞(ストームフォートレス)の公爵はシュマックと言ったか?ヤツのやり方は昔から手段を選ばないと噂を聞く。」



『いえ、シュマックはすでに死んでいます。数年前に、何者かによって暗殺されました。』

『私が逃げ出したのは、"シュマックが暗殺された後"でしたが、今は、別の若い者がやっていると噂で聞きました。』



「……。」


その言葉にアストラは少しだけ気にしていたが、そのまま無言で聞いていた。



『ですが、私も彼のやり方には納得していませんでしたので、隠雲(ハイド)にとっても良いと思っている派閥もあったみたいですね。』



「そうだったのか。まあ、こいつらはマシな方だろうな。そもそも、抜け忍に九名も送り込むなんて昔では有り得んからな。」



『ですね……それほど情報の漏洩(ろうえい)危惧(きぐ)しているのでしょう。』

『とにかく、助かりました。』


『このご恩は忘れません。』



「ならさ!せっかく、乗り掛かった船なんだし!」

「やっぱり、オレたちと一緒に来ないか?」


「さっきは話の途中だったけど、サン、スゲェ強いし!どうせ旅をすんなら、誰かとした方が楽しいじゃん!」



『サ、サーチ殿やアストラ殿が()いのであれば、私はお供致しましょう』



「いいよな!師匠!」


と、サーチは、拳を握ったまま両手を胸の辺りにあげ、ワクワクしながら笑顔でアストラの顔を見ていた。



「ワタシはかまわないが。」



「やった───!!!」

「よろしくな!サンッー!!」



両手を上げ喜ぶサーチと、その様子を見て微笑むアストラにサンは答えた。



『こちらこそ、お二人とも……よろしくお願い致します!!』



そうして、サンファン・イーグルことサンはサーチたちの仲間になった。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


感想やブックマーク、Xのフォローなどしていただけると、今後の励みにもなりますので、応援よろしくお願いいたします!



[今回の一言♩]

オウギワシカッコいい!ツンツンしてて色味も白黒、たまらん!

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