欠片160.『磁塊集器』
欠片160.『磁塊集器』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
アストラと別れたサーチは、マグネストと共に居住区の奥にある大きな工房部屋へと来ていた。
「……スゲェ…。」
ゴクッ…。
あまりの広さと設備にサーチは唾を飲んだ後、口を開けたまま驚いていた。
『ヘッヘ!そうだろうよ!世界中に流通しなきゃなんねぇからよ。ある程度の加工品と仕上げた物とでさらに区画を分けてあんだ。』
「へぇ〜〜!!」
『ここは多くの機巧技師もいる。かつては何ヶ所か同様に施設もありはしたんだがなぁ……この洞窟と違って、機屑物からの襲撃を受けやすいとこは被害が出ちまう。』
「他にはどんな場所があったの?」
『極子水星要塞には、鉄やニッケル、頑火輝石、ダイヤモンドとかが取れる鉱山と隣接施設の城があった。』
『だが、機屑物の襲撃により城は壊滅。その後城跡となり、犠牲となった機巧技師達の墓場となって、今は『城西巧墓の跡地』なんて呼ばれ方してらぁ。』
「……多くの機巧技師たちが。亡くなったんだな。」
俯くサーチを、隣で見上げながらマグネストは呟いた。
『悲しむこたぁねェ。オマエさんも機巧技師なら、誇りに思ってやりな。』
『機巧技師はこの世界のために、誰よりも貢献して来たんだ。武器や防具、砦がなきゃあ〜オレたちゃあ、な〜んにもできずにヤツらに蹂躙されてシメェだぁ。』
『死ぬ間際でも、オレたちゃあ……モノを造り続ける。死んでった同士達も、最後まで己の信念を貫いて死んじまったヤツばかりだろうよ。』
「………。うん。そうだな。」
サーチは目を閉じて、昔の記憶を思い出していた。
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『コラァッ!!サーチ、テメェ!!』
『勝手に触んじゃねぇって言ってんだろッ!!』
ゴチンッ!!
「イッテェ〜〜〜!!何すんだよ!おやっさん!!」
サーチはツベチカが作った道具を勝手に触っていた所をゲンコツされていた。
『コイツァ……機屑物を倒すために最後まで戦い、死んじまったヤツに渡した『破片ノ防具』だ。』
「えっ?」
『オレが造って、何度もキズだらけになっては修理して。また戦場へと出向いて行った。』
『だが、胴体に大きな穴が空いちまってる。』
ツベチカは破片ノ防具の胸部部分の鎧を両手に持ちながら、静かな声で語っていた。
『……』
『鋭巨角犀の角に貫かれて死んじまったんだとよ。』
「こんなにデッケェ穴が……」
『そうだ。どれだけ硬く、頑丈に造れたと自分で思っててもなぁ……その想像を遥かに超える威力で壊されちまうんだ。』
『もしよぉ……コイツを付けて戦ったヤツが避けれなかったから死んじまった。なんて言う奴がいたら、オレぁソイツを殴っちまうだろうよ。』
『コイツを付けた奴が悪りぃんじゃねぇ。守れもしねぇコイツを造って渡した自分が悪りぃんだってな。』
「…………。」
サーチは、ツベチカの話を黙って聞いていた。
『前線で戦う奴は何も悪くねぇんだ。オレたち、機巧技師は……誰よりも勇敢で、人類を守るために頑張ってる彼らを尊重しなきゃならねぇんだ。』
『だからこそ、オレたちゃあ……何があっても壊れねぇ、壊せる。破片ノ武器や破片ノ防具を造り続けなきゃならねぇ。』
『ソレが、オレたちの出来る戦い方だからよ。』
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サーチは目を開けると、マグネストに向けて言葉をかけた。
「前線に立つ兵士も、立ち向かうための装備を造る機巧技師も。どっちも世界のために戦ってるんだよな。」
「死んじまった彼らに、無駄だった。なんて言葉は必要ねぇ。」
「これまでも、これから先も。オレたちが紡いでいくんだ。」
「役に立たねぇ人なんていねぇ。」
「きっと、何かしらの役割を持って生まれて来たんだと思う。」
『………。』
《コイツ……ヘッヘ。想像以上に分かってんじゃねぇか!!》
『そうだな。だからよぉ、今回の『磁塊集器』も完成させなきゃならねぇんだ。』
「『磁塊集器』?」
『ああ、そうか。まだ言ってなかったな!』
『すまねぇ、すまねぇ』
『オレたちゃあ、金星様……ウェスト・ヴィーナス様から毎年依頼を請け負っててだな』
『機屑物達を一ヶ所に集めるための装置。『磁塊集器』を造ってんだ!!』
「集める……装置?」
『ああ、この時期は特に必要になんだ。彷宵徨要塞にとっちゃあな。』
『まあ、時間もねぇから、やりながら構造を理解してもらうぜ?』
「おっす!!」
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[今回の一言♩]
可愛い動物の動画癒される〜〜




