欠片14.『ハーフドワーフ』
欠片14.『ハーフドワーフ』です!
サーチたちは、鉄屑要塞の門兵に止められていた。
「オマエ達、そこで止まれ!何者だ!」
「何しにここへ来た?」
門兵が槍のような武器を構え、こちらに尋ねてきた。
「訳あって旅をしている」
「水や食料などを補給したいのだが、入れてもらえないだろうか」
「………」
「すまないが今は入れられない」
「なぜだ?」
「大要塞でもないのに、ここまで検問を行なっているのは不自然だが」
「何か理由でもあるのか?」
「二ヶ月以上前に起きた……あの大災害の影響で、機屑物達の活動が活発化しているんだ」
「それとなんの関係があるんだ?」
サーチが質問すると、門兵は再び話し出す。
「それが……大型の機屑物を前々から、要塞近くの森の中で見かけていてな」
「つい先日、ソイツが西側の外壁に大穴を開け暴れたんだ」
「幸い、見張り兵の報告のおかげで、素早く避難ができたことにより死者は出なかったが…」
「それでもケガ人は出た」
「そんなことがあったのか…」
「ああ、その後もヤツは、街の加工場もいくつか破壊していってな。その復興作業で忙しいんだ」
「それで今は、よそ者に対してこの要塞にあまり立ち寄らないようにする目的と、この機を狙ってやってくる盗賊達の警戒で呼び止めてるってわけだ」
「なるほど」
「師匠」
サーチはアストラの方を見ると頷く姿が見えた。
そして、門兵に話しかけた。
「なぁ、その機屑物を倒すからさ!中に入れてもらえないか?」
「なんだと!?」
「アレを倒せるヤツなんて……いるわけがない」
すると、アストラが門兵の所に行き何かを見せていた。
(なんだ?)
(師匠は何を見せてるんだ?)
少しして門兵の態度が変わり、門が開き出した。
「先ほどは大変失礼いたしました!!」
「どうぞ!お通り下さい!!」
「ありがとう」
「な、なあ師匠、いったい何をしたんだ…?」
「まさか……脅したりしてないよな?」
"ギロッ"!!
っと、鋭く睨みつけるアストラは答える。
「そんなことはしていない」
「紋章を見せただけだ」
「紋章?」
「気にするな」
「子爵様に会わせてもらえるみたいだから行くぞ」
「うん」
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『ようこそいらっしゃった』
『歓迎するぞい!!』
鉄屑要塞 子爵 [イアン・ブラック(260)]
[種族:ハーフドワーフ]
「いえ、旅の途中ですのでお気遣いなく」
『ホホゥッ。まあまあ、貴女様にお会いできるとはワシも光栄ですなぁ〜!』
(子爵様が様付け!?師匠は何者なんだ?)
「ところで、先日暴れたという機屑物について知りたいのですが」
『お、オオ!そうじゃったな!』
『ヤツの名は『鉄大猩久屑』』
『大型の人型機屑物じゃよ』
話を聞いていたサーチが質問した。
「どんな見た目なんだ?」
『体長は十二mほどかのぅ…上半身の背中や肩甲骨辺りがものすごく大きくて太い、それに腕もかなりの太さじゃった』
「デケェ……ッゴクリ。」
『確か……在機物の『草果大猩久』と骨格はおおかた似ておったのぅ』
(なら、図鑑でみた「ゴリラ」って生物みたいなもんなのかな)
『ヤツの握力とパンチの力は凄まじいぞい』
『まあ、貴女であれば大丈夫だと思うが!ホッホッ!』
『くれぐれも気をつけてくれ!』
『それから、この街に滞在するなら街の者達に話は通しておこう!』
『大したもんはないが、武器の加工場で武器の手入れでもしてもらうとよい!』
「ありがとう!ブラックのおやっさん!」
『ホホゥッ!!おやっさんか!』
「あっ!…ごめん。知り合いのドワーフと雰囲気が似てたからついっ…」
『よいよい!』
『そういうのは苦手だしのぅ!気にするな!』
『みな堅苦しくてな〜困っておる。ホホゥッホ!!』
「ほんとか!ありがとう!」
『ちなみにワシはドワーフじゃなくて、ヒトとドワーフの間に産まれた ハーフドワーフじゃよ』
『だから背も少し高かろう?ホホゥッ』
「あ、ほんとだ!耳も普通なんだな!」
『そうじゃのぅ!まあ 何か困ったことがあれば聞きにくりゃあええぞ!』
「おう!」
2人は子爵の元を後にし、武器加工場へと向かった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
─裏メモ。─
『深峡岩要塞』と『白壁要塞』の由来
深峡谷をディープキャニオンに命名
岩 ストーン
要塞 フォートレス
城壁 ランパート
白はホワイトですが、語呂が悪くなるし長くなるので入れるのをやめました。