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星屑の機巧技師(せいせつのきこうぎし)  作者: リンネ カエル/霖廻 蛙
第一章ー極子水星要塞〜演劇の始まり〜ー
153/258

欠片151.『戦いの末に』

欠片(ピース151.『戦いの(すえ)に』です!


※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明

[]=人物名と年齢、種族、テキスト

「」=人物の話しているセリフ

『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称

()=人物の心のセリフ

《》=人外、多種族などの心のセリフ

{}=人物の念話

{{ }}=他種族の念話

【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明

・・=強調

" "=強調、効果音など

ー1本=漫画の場面転換、幕間

➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸

ー2本=漫画で例えた時の流れ



【一週間後】



無丘陵連坦(コンテヒルズ)における人造人間との戦いは、第三勢力の介入により幕を閉じた】



【そしてーーーー極子水星要塞(ミニマルフォートレス)防衛戦は敗北】



【大要塞の陥落(かんらく)に】

【要塞に滞住(たいじゅう)する生存者は存在せず】


【死者は三万を超えたとされる】



【歴史的な大災害の一つとして、大要塞をはじめとし各要塞に報告された】



【情報元は『聖教会(せいきょうかい)』の聖女からの報告により、信憑性を疑う者はおらず】



主謀者(しゅぼうしゃ)行方(ゆくえ)はすでに死んだとされているが】


【また聞きの話に人々は何が虚実で】

【何が真実なのかを知るよしもなかった】



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


祈祷要塞(プレイヤーフォートレス)  教会隣接の病院の一室】



窓ガラスの隙間からカーテンが揺れる中、ベットの上でサーチは目を覚ました。



「う……うぅ…。」

「ここは……どこだここ…。」


病室の天井を見上げながら、まだ頭がボーっとしているサーチがゆっくりと起き上がると、フロデューテがベッドの(ふち)(ひじ)を横について寝ていた。



「……」

「フロデューテ…?」


『…ん…んぅ〜……』



「そうか、終わったのか」


と、自身の右手の平を見ながら、気絶する前の光景を思い出していた。



『……サーチ?』

『起きたのねーー!!よかったー!!』


ギュッ!!


と、抱きしめるフロデューテだったが、サーチの体は"ビキビキッ"と悲鳴をあげていた。


「…がぁっ…!!いてぇぇぇぇ!!」


その声に反応して、フロデューテは飛び退いた。



『あ、ご、ごめん!えへへ』

『とりあえず、みんなに目が覚めたことを知らせてくるね!!』




「……うん」


と、サーチの声は静かだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


サーチの元に、アストラ、フロデューテ、ホリー、クロード、ヴィーナスの5人が集まっていた。


第一声はホリーが声をかけた。


「サーチ様ぁぁ〜〜!!良かったですわ〜♡」

「一週間も目を覚まさないから、心配しましたのよ!!」



「……そんなに寝てたのか、オレは。」



カチャリ。


「本当によかったです。サーチくんが彼を倒してくれたおかげで、私たちは無事でしたからね。」



「うん。」


クロードの言葉に、サーチは素直に喜ばなかった。

(うつむ)くサーチの表情は無表情のままで、いつもの明るい様子ではないことに、みんなが気づいていた。



『チビ助ェ!ありがとな!!オマエのおかげで、アタイも助けられちまったぜ!!』

『この借りは、必ず返す!!八天星(はちてんせい)の名にかけてな!!』



「ありがとう。ヴィーナスの姉ちゃん。」



「サーチ。」


その声にサーチは、今までみんなの顔を見れていなかったが、初めてアストラの顔を見た。



「アストラ…」



「全く、ヒドイ顔だな。フフッ。」


柔らかく微笑んだアストラは、少しだけ間を空けた後言葉をかけた。



「よくやった。」



「!!!」


瞳孔が開き、死んだ魚のような目から目を見開いたサーチの目からは涙が溢れていた。



「オレ……オレは…。」

「結局なにも…。ううっ…。」


「力が……」


「あの時、師匠が守ってくれなかったら。オレはまた死んでた。」


「ホリーがいなかったら、師匠もヴィーナスの姉ちゃんも……みんな助からなかったかもしれねぇ…。」



「うぐっ……。オレは……どこかで、負けないと思ってたんだ。弱いくせに、強くなったと勘違いしてた……。」


「だからほんとは…」



サーチの言葉を遮るように、アストラが言葉をかけた。



「あの場にいた誰もが想定できていなかったことだ。」

「誰にでも予期せぬことはあるんだ。」


「ワタシたちも長年この世界で、多くの戦場で戦ってきた。だが、上手くいくことばかりじゃない。」



「……。」


サーチはそのまま静かにアストラの言葉を聞いている。



「力を持たなければ、"誰も救えない"のは確かだ。」

「だが……力を持っていても。"救えないこと"だってある。」



「ワタシたちは全てを全力でやりきった。だが、結果的に見れば……今回の戦いで、ワタシたちは負けたんだ。」


「すぐに気持ちを切り替えろとは言わん。みな同じ気持ちだ。」



「だが、亡くなった者たちの気持ちを、存在を。過去も未来も繋いでいくのは……」

「生き延びてしまった我々の役割だ。」


「これからの行動で、それを示せばいい。」



「悔いても、過去は戻らないんだ。」



「だがな、サーチ。」



「オマエのおかげで、ワタシたちは"生きている"。」



「そのことは忘れるな。」



「そして、オマエも。生きていてくれてありがとう。」




「………。」


ググッ…。


手のひらを握り、何かを決心したサーチの顔は、目の下が少しだけ赤くなりながらもいつものサーチへと戻っていた。



「おっす!!」

「ヘヘッ!」



二人の後ろでは、そのサーチの笑顔をクロードは微笑み、それ以外のみんなは笑顔になって泣いていた。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


[今回の一言♩]

あと、1話か2話挟んで、後日談は終わろうと思います!

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