欠片143.『人の世に捧げし鎮魂歌』
欠片143.『人の世に捧げし鎮魂歌』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
【極子水星要塞の北東に300mの崖上(標高500m)】
「フ〜フフ、フ〜ン、フ〜〜ン♩」
「フフ、フン〜フフ、フ〜ンフ〜ン〜〜♩」
鼻歌を歌いながら、爆発する極子水星要塞を眺めるボロボロの服を着た一人の少年と、背の高い全身黒い服装でロングスカートを履いており、顔も黒い布で隠した女性が立っていた。
そして、その鼻歌はまるで、鎮魂歌のように月夜が照らされる夜空に響き渡っていった。
「最大級の墓場と呼ばれる、極子水星要塞が何でそう呼ばれるか分かるかい?」
と、少年が女性に質問した。
「いえ。存じ上げません。」
「人々は最大級の火葬場によって、機屑物の残骸が葬送されることで、そう名付けられたと思っている。」
「だが、実際は違うんだ。」
「176個の部屋の扉の形は、全て四角形だろう?上から眺めたとき、並んでいる光景が墓場に見えないかい?フフッ。」
「実際にそうなればいいなぁ。と思って作ったから名付けたんだ。」
「そして、いつかこうなる光景を…フフ。本当の墓場へと変わる姿が見れて、作った甲斐があったかな。」
・・
「無駄な死ではないんだ。まだ、ね。」
「………。」
特に反応がない女性を見て、つまらなさそうに眉と目を細める少年はそのまま話す。
「相変わらず、キミは何を考えてるか分からないね。」
「まあ、いいさ」
「混沌の世は、まだまだ始まったばかりだからね。」
(アクシデントもあったが、全ては計画通りに。)
「………ここからが本当の始まりだよ。フフ。」
「あとはエイトに任せるとしよう。」
「彼とあのまま戦って、大丈夫なのですか?」
「改変は出来てる。『彼』は死なないよ。」
2人の背中を背景に崩壊する極子水星要塞の光景が、過ぎていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【極子水星要塞から南に5Km キャッシュがいる湖畔】
ドサッ…!!
と、アストラは湖畔の前にやってきていた。
その手には、黄色の魔力を放つ『魔屑石』が握られていた。
「……ハァ……クソッ!!」
"ドンッ"!!
と、アストラは地面を握った拳で叩きつけた。
(救えなかった……。ヤツが言った規模が本当なら、もう。)
チャプゥン〜……。
と、湖畔の水面が波打ち、ナマズの半魚人[キャッシュ]が覗き込んでいた。
『ア"ァ"〜ア"ストラしゃぁ〜ん!!』
『こんな夜にまで、オラに会いに来てくれたんのかぁ〜〜ん?ぐふっ♡』
湖の主[キャッシュ(27)]
[半魚人(モデル:ナマズ)]
「……。」
『アデ?……ど、どうしたんでしゅか?』
『ア、アストラしゃん。』
ギロッ…。
と、睨みつけたアストラは、静かに答えた。
「キャッシュ。少し黙っていろ。」
"ゾワワッ"ーーー……!!
と、キャッシュは背筋が凍った。
『……!!……ひゃ、ヒャイ…。』
「フゥー……。」
(起きてしまったことはもう戻せないんだ。今は出来ることをしろ。)
(メリウスは仕留めた……とはいかないだろう。しかし、残すはあの……)
➖ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ボクの名はエイト。』
『"神の使者"だ。』
メリウス・マーキュリの実験体MHM
[エイト]
[種族:人造人間]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー➖
(屍人のみか。)
ぷくぷくぷくっ。
と、キャッシュが顔の半分を水につけて"あわあわ"としながら、アストラを眺めていた。
気にもしないアストラは、月を眺めながら考えていた。
(向こうの戦況はどうなっている?)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【無丘陵連坦 サーチサイド】
無数に連ねる緩やかな丘に立つ人影が、1つ見え。
そして、その周囲には……ヴィーナス、サーチ、クロードの3人が倒れていた。
『殲滅ー完了。』
『生体反応の確認へと移行。』
ペタッ、ペタ……ペタ。
と、エイトは3人の元へと歩き出す。
{私が揺動で隙を作ります。その隙にお二人で仕留めてください。}
{おう}
{{分かった}}
ガッ…ガラガラ…。
瓦礫の崩れる音と共に、『光鱗手甲』を両手にはめたクロードが、両腕を重ねるように両手の平を少しだけ浮かせながら合わせ、構えながらエイトに向かって行った。
バッ!!ダダッ…!!
{お二人とも目を閉じていてください}
キュゥゥゥゥン…。
と、両手の中に光の球体が出来始めていた。
(私が攻撃したところで意味がないだろう。だから…)
(一瞬の隙を作る!!)
「『白鱗光』!!」
エイトの目の前で両手の平を広げて光の球を放った。
ピ カッーーーーーー!!!
と、薄い黄色みのある白い光が、闇夜を照らした。
『…くっ……何だこれは…。』
《視界が見えない》
『何が起きた?解。』
{今です!!}
{{いくぞ!チビ助ェ!!}}
{おう!!}
『了。発光による視界を……ガハッ…!!』
『!!?』
『研摩擦正拳オォォォーー!!!』
"ドギャリリリッ"!!!!!
と、背中から、ヴィーナスがエイトを殴り飛ばした。
その正面にはサーチがおり、『破片ノ武器・屑』を両手で持ち、肘を上げ真っ直ぐに構えていた。
スチャ。
「暗雲の道を照らし出せーー」
「『舞妓劇・曲線蘭舞』」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
そろそろ第一章がクライマックスです!
楽しんでもらえると嬉しいです!




