欠片131.『孤独な花』
欠片131.『孤独な花』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
……ゴポポッ…ゴポッ。
カッ!!
と、目を見開いた黒い人影は手を前に突き出した。
その瞬間、ガラスの筒にヒビが入っていった。
ビキ……ビキキッ…!!
ビキビキ……。
"バリィィンッ"!!!
ザバァァァ〜〜ーーー……。
ドチャドチャ…。
と、ガラスが割れ、中から液体が溢れ出した。
そして、中から出てきたその人物は足をヨタヨタさせながら歩いてきて、二人の前に姿を現した。
その姿は、全裸の状態で全身ほぼ白い肌に、髪の毛は癖っ毛で白い髪色をしていた。
そして、瞳の色は赤く、容姿の整った成人の男性の顔と体つきをしていた。
しかし、性器はなく中性の性別となる存在であった。
「おお〜〜!!これがあの……伝説の…」
「なんて素晴らしいッ!!まるで神そのものじゃないか!!!」
『……ウフフッ。おはよう……そうね〜。』
『……』
『『エイト』』
『アナタは今日から、『エイト』と、名乗りなさい』
『………』
エイトと名付けられたその人物は、無言のままメリウスを見つめていた。
『言語認識と発言は作動してるわよね?』
と、メリウスがダフネスに尋ねた。
カタカタ…カタタッ。
ビーー…ビー…
と、モニターの画面に映し出さらたグラフを見ながら、ダフネスは答えた。
「は、はい。しっかりと全ての機能は作動してます!問題ないかと……」
『そう、まぁいいわ。エイト、『命令』よ。』
『後からくる女を二人、殺しなさい。』
『アナタの『敵』よ。』
ピピッ。
コクッ。
と、エイトは頷いた。
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アストラとヴィーナスは、多くの子供達の屍人を次々と倒していった。
『ハァ……ハァ、こんだけぶっ壊しても。いい気分じゃねぇなぁ…』
「…ハァ、そんなこと分かっている。必ずヤツは、ここで仕留めるぞ。」
『ハッ!!当たり…前ダァ!!!』
"ズドッ"!!"ボボボッ"!
ピュン。ヒュッ。"ボッボ"。
と、二人は引き続き倒し続けていた。
ペタッ……ペタ。
『ァァ…ヴァ……ア〜〜…』
アストラが迫ってきた屍人を貫こうとした時、その手に目線がいった。
「オマエは……」
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「……孤孔ノ虎花。」
「そうか、この花は"タイガーフラワー"というのか… 。」
「幼い頃に見たことがあってな。」
「とても美しい花だと思っていたんだ。」
「けれど、名は知らなかったんだ。ありがとう。」
と、アストラは優しく微笑んだ。
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腕の力が一瞬抜け、脱力した腕がぶら下がった。
目の前にいた少年の屍人の右手には、白い3枚の三角形の花弁をした……白い"ハズだった"花を握っていた。
そして、その隣には少年より少し背の低い、少女の屍人が左腕を掴んで一緒に立っていた。
屍人となったその体は肌が真っ青になっており、足や腕には欠損や大きな噛み傷があり、顔にはアザが残っていた。
「あの少年……なのか…。それに、少女まで。」
右手に持つ白かった花は、2枚は赤色からピンクへと染まり、残りの花弁も染まりつつあった。
「ずっと離さずに、その花を持ち続けていたのか。」
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幼少期のアストラと祖父が静かな森の中で、一輪の花を見つけていた。
「おじいさま〜!このお花キレイ〜!!」
「なんてお花なのー?」
「珍しいねぇ。この花はね…… 『孤孔ノ虎花』と言って、孤独な花なんだよ。」
と、寂しそうな顔で祖父は答えた。
「どうしてー?」
「このお花はさびしいのー?いまのおじいさまとおんなじ?」
「ハハッ。そうかもしれないなぁ…。」
「この花はワタシにそっくりだ。」
「戦場の中で、死にゆく仲間たちを見届ける度に、心の内に大きな真っ黒い孔が空くんだ。」
「その孔は、時間がどれだけ経とうと埋められやしない。」
「この花は、たった一輪。他の生物によって一つの種子が運ばれて育つ花なんだ。」
「んんー?」
「すまん、すまん!難しい話をしても、今のアストラには分からないか!あっはっは。」
「もぉ〜!!おじいさまのいじわる〜!」
頭を撫でる祖父は、優しくアストラを見つめて話を続けた。
「……」 ・・・・・・・・
「一人ぼっちの花なんだ。奇跡の巡り合わせでもない限り、この花が隣に育つことはない。」
「それぞれが違う場所で育って、儚く散っていく。」
「悲しい花なんだよ。」
「だから、この花を見つけた時は、優しく見つめてあげておくれ。」
「優しいオマエなら、いつかこの意味が分かる日が来るさ。」
「わかったぁ〜!」
「ふふふっ、さて、そろそろお家に帰ろうか!」
「うんっー!」
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「……孤独の花、孤孔ノ虎花。」
「そうか。ワタシは忘れていただけだったのか。……この世界は…」
目の前の現実に目を向けたアストラは、"ボソッ"と呟いた。
「ほんとうに……。」
「厳しい現実ばかりだな。」
『…ヴヴ…ゥ……ア"ァ"ァ"ァ"〜。』
「泣いているのか。少年。」
「すまない。ワタシが……」
「いや、違うな。全ての元凶は……ヤツだ。」
アストラは瞳を数秒閉じた後、覚悟を決めた。
「待っていろ。すぐに解放してやる。」
『……アァガ…トォ…オ……。』
「!!!」
アストラは一瞬目を見開いた後、目を瞑り二人の胸を貫いた。
「ああ。ゆっくり眠れ。」
「『針』。」
ボボッ。
と、空中に舞った花から、2枚の花弁が剥がれ落ちた。
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[今回の一言♩]
ダークファンタジーよりなので、心を鬼のようにして書くけど、「人の心とかないんか?」とかは言わないように!
もっともーっと、ダークにいきます!(多分)




