欠片130.『惨憺たる現実』
欠片130.『惨憺たる現実』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族、テキスト
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
『聞きたいことって何かしら?』
自身の頬に指を色っぽく触れながら、メリウスは質問した。
「教会内にオマエの部下達の組織があるのは本当か?」
『んーーだったら?』
「その組織が子供を誘拐しているとも聞いた。」
「真実か答えろ。」
『さぁ?何のことかしら?』
『テメェ!!とぼけてんじゃねぇぞォ!!メリウスゥ!!』
『アタイの部下から情報は得てんだよ!!』
ジッー…。
と、メリウスはヴィーナスの方を静かに見つめながら考えていた。
『………』
《う〜ん、さすがに二人を同時に相手するのは少し面倒ね。起動まではもう少しかかりそうだし、雑魚で時間を稼ぐか。》
バッ!
と、右手の肘から上を挙げた瞬間、暗闇の中からたくさんの赤い光りが点灯した。
『……ヴヴヴヴゥ……ヴヴゥ…。』
そして、暗闇の中からゾロゾロと、子供の姿をした屍人が大勢現れた。
カッ……コツ…カツ。
『生きてたらまた話しましょ♩』
と、メリウスは暗闇の中へ消えていった。
『なっ!!待ちやがれッ!!!』
"ザワザワッ"……
『アァ……ア……』
『…アヴア……アゥ……』
『アァ〜…アァ〜…』
『な、何だ!?どうしたんだオマエら!!』
『攫われた子供達なのか?おい!大丈夫か!』
ガッ!と肩を掴むヴィーナスに、少年の顔を下を向いていたが、次の瞬間にはヴィーナスに向かって襲いかかってきた。
『……ぅヴ………ヴガァァア!!!』
『ッ!!!』
《涙の跡…?》
『なっ!!?おぉい!どうしちまったんだよ!』
『なんだか動きが、気持ちワリィぞ!?』
多くの子供達の屍人の頬には、たくさん泣いた跡がその屍となった体にまだ残っていた。
「……。」
「おそらく……ここにいる子供達はみな、屍人にされたんだろう。」
「魔核が体内のどこかにあるはずだ。ソレを壊さない限りヤツらは死なない。」
『つまり、核を壊さねぇ限り不死身ってことか!?』
「そうだ。」
『何とかして、救えねぇのかよ!!』
「……分からん。だが、屍人とはすでに死んでいる者のことだ。この子たちにはもう、動いている心臓はないだろう。」
「魔核から供給される魔力によって動いているだけだ。」
「ワタシ達とは違い、後天的に魔力源を埋め込められた人間が……生きて耐えれるハズがないだろう。」
「オマエなら分かるだろう?ヴィーナス。」
『……チィ…。胸糞ワリィ。』
『まるで人形みてぇじゃねぇかよッ!!』
"ドゴォォォン"!!
と、地面に拳をぶつけて怒りを飛ばすヴィーナス。
『メリウスゥの野郎……ヒトの命を…』
『ソレも、こんな子供達の命を……何だと思ってやがるッ……!!』
『許さねぇ…。』
ググッ。
と、拳を握り締めながら、ヴィーナスは屍人に向かって殴り始めた。
ズボッ!!
《すまねぇ…。安らかに眠んな。》
《必ず仇はとってやるからな。》
『オラァァァァ!!!』
『灼熱正拳ォォォ!!!』
ジジジジジジィ……"ボッ"!!
"ズボボッーボッ"!!"パリンッ"。
と、魔核を螺旋状の空気が纏った腕で貫いた。
ボッ。ボボッ。……ドサッ。ドサドサ…。
アストラも正確に『孔』を使って、魔核を貫いていく。
「数が多い。」
「ヴィーナス!一旦クロード殿を守るぞ」
『……!!』
『チィ…分かったよ!』
横幅20mはある部屋の幅を埋め尽くすように、暗闇の奥から次々と少年少女の屍人が迫ってきていた。
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『ダフネス、どう?』
カタカタカタタッ…
…カタカタ…
モニターの前で、操作盤を操作している人物が答えた。
「はい。メリウス様がある程度プログラムをほどこしていたおかげ様で、まもなく完了いたします。」
闇取引売買 水星 管理責任者[ダフネス(53)]
[種族:ヒト]
黒い縁のダークブルーのレンズをした丸メガネをかけて、口髭を生やした暗めの紫色の上下のスーツを着た男が答えた。
顔立ちは整っており、ややガタイと顔の骨格は大きめで渋い顔をしている
そして、前髪の両サイドが流れており、その中央にはクセがある束が垂れていた。
『そう、ご苦労様。あと、作業が済み次第、ここから逃げなさい。』
『もうじき化け物が二匹。ココに来るでしょうから。…ウフフッ。』
『巻き込まれて死にたくなかったら、逃げることをオススメするわ。』
「化け物……ですか?ハハッ…ご冗談を。」
(私からしたら、アナタの方がよっぽど…ククッ。)
『まあ、残るのは勝手だけれど、アナタに今死なれたら色々と困るのよねぇ〜』
『取引のプロとして、アナタのことを買ってるんだから。』
「私が死ぬと?……メリウス様。私めは能力こそありませんが、それなりに腕っぷしならありますよ!」
「しかし、ありがたきお褒めの言葉を、ありがとうございます。」
「ですが、私にもメリウス様に支えている身として、邪魔をする者を放っては置けませんので。」
『……。』
《ハァ〜、バカねぇ。取引以外だと、どうして彼はこうなるのかしら、彼女達の気配に気づけないとは。》
《能力もないただの凡人に、何が出来るのかしら》
『………。』
『まあ、いいわ。好きにしなさい。』
……ゴポポッ…ゴポ。
と、ガラスの中にいる一際大きな黒い影の目が開き、赤い光が見えていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
最近散歩を始めました。溶けて死にそう。




