欠片11.『巨岩洞要塞』
欠片11.『巨岩洞要塞』です!
【白岩草減から南東14km】
(進行38Km 残り2691km)
【巨岩洞要塞】
2人は子爵の暮らす部屋に訪れていた。
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「この要塞の子爵の任されてる、オルニス・モアだよ」
「よろしくね」
巨岩洞要塞 子爵[オルニス・モア(36)]
[種族:ヒト]
その人物の目はほぼ開いておらず、輪郭はエラが広い細長い顔をしている。頬は痩せ細っているため線がででおり、白髪混じりの髪は黒色で短めの髪をしていた。
身なりは、庶民的な服装をしており、とても子爵とは思えなかった。
「オレはサーチ!よろしく!」
「アストラだ。よろしく頼む」
挨拶を交わした二人はそのまま子爵の話を聞いていた。
「こんな辺境にある町の要塞まで、ご苦労だったねぇ」
「めったに人も立ち寄らないからびっくりしたよ〜ハハハッ」
するとサーチは苦笑いをしながら、なんともいえない気持ちで聞いていた。
(あんまり人こないんだ…)
(まぁ……オレの故郷と同じで、周りが岩ばっかだもんなぁ…)
「ついたばっかりだろうけど、今日はもう日が暮れる」
「何か食べてってかまわないよ」
「ゆっくりしてってね」
「ありがとう!」
「感謝する」
とても良い笑顔で迎えてくれたモアに、サーチとアストラはお礼を言った。
その夜は、町民から料理のおもてなしをうけた。
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翌朝になり、二人は再び子爵の元を訪ねていた。
「白岩屑鳥?」
サーチが尋ねる。
「うん。この要塞の上に住んでいてね」
「鳥翼型の在機屑なんだ」
「鳥翼型なのに、翼はあまり発達はしてなくてね」
「その代わり足が発達してるから移動が速い」
「へぇ〜!そんな鳥翼型の在機屑もいるのか!」
「うん」
「それでね」
「ここ最近、この付近に住み着いた群れの中に極めて大きな個体がいて」
「ソイツがこの辺りの作物を荒らして困ってるんだ」
「対策とかはしてないの?」
「本来、白岩屑鳥は人が住む場所には近寄って来ないんだよ」
「どうして?」
「彼らは気配に敏感でね、生物の気配を感じたらすぐに逃げてしまうんだ」
「食性も草食で、野草を食べてる」
「けど…その大きな個体はかなり気性が荒くて」
「より栄養を補給しようとしてなのか…畑の作物を荒らしてるってわけさ」
「今までにも対策したけど意味がなくてねぇ…」
「そうだったんだ…」
「そこで、もし良ければ白岩屑鳥の退治をお願いできないかな?」
「報酬は少ないけど、旅に必要な資金や食料とか必要なものを持ってってかまわないよ」
「ほんとか!」
「師匠!やろうぜ!!子爵様も困ってるし!物資ももらえていいじゃん!」
「そうだな」
「分かった、引き受けよう」
「おお〜、ありがとう!」
「白岩屑鳥は、谷の上の端の方に住処があるから頼んだよ」
「上までは、洞窟の階段から行けるから、あとで案内役をつけるね」
「それじゃあ、任せたよ」
「分かった!ありがとう!」
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「ここです」
「この先を真っ直ぐ進み、斜面に差し掛かる辺りまでいけば見えてくると思います」
「案内ありがとう!」
「いえ、どうか…よろしくお願いします。」
「おう!任せてくれ!」
扉を開け外に出ると、サーチとアストラは大きな岩の上を歩いていた。
谷の高さは300mだが、奥行きは400m、横の長さは1kmを超える。
その左右に続いている岩は、しばらく進むと途中から地上に向かってゆるやかな斜面となっている。
「サーチ、白岩屑鳥との戦いはお前に任せる」
「今のオレでも勝てるの?」
「子爵の話を聞く限りでは、ギリギリだな」
「まあヤツらは本来、交戦的ではない在機物だからな」
「距離さえ保っていれば勝てるだろう」
「それから、近距離だと爪が発達しているから気をつけろ」
「油断してたら簡単に切り裂かれるぞ」
「まじかよ。」
「ワタシが教えたことを守っていれば大丈夫だ」
「あとは戦闘の数をこなして慣れろ」
「数をこなせば恐怖心も減るだろう」
「日々の鍛錬は欠かさずやるんだ」
「うん、分かってるよ」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
─裏メモ。─
『在屑物』の由来
動物 アニマル
アニマは、もともとこの世界にいた生物を元にしているので、ただそれっぽい呼びやすい名前にしただけですね。
組み合わせもしようと思ったけど、体の一部しか変わっていないので、変に追加要素はいらないと思って決めたと思います。