欠片120.『ホリー&クロードVSダアト 決着!!』
欠片120.『ホリー&クロードVSダアト 決着!!』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
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「大切なモノを救うことのできる人間はな。」
「力を持つモノなんだよ!!!」
「この世はそう出来ている!!力こそ全てだってな。」
「あの日……オレは気付かされたんだよ。」
(あの方こそ、完全無欠の最強だってな。)
(メリウス様の願望を…オレの野望も…叶えるために……力を得た!!!)
(あの日、オレは……なんにも選べなかったんだから。)
両手を広げ、手のひらからドロドロと泥が溢れ、流れていく姿を見ながら、クロードは走っていた。
(ホリー様の状態や今後の魔力を考えると、チンタラしてられねぇ。)
「この一撃で沈めるッ!!!」
スッ…バッ。
「『光鱗貫撃』!!!」
バッ!!
右手に魔力が集中し、強く発光していた。
右下から伸びた二層のパンチはダアトの腹を貫いた。
"ドボォォッ"!!!
ビチャチャチャッ…。
と、辺りに肉片が飛び散った。
かに思えたが、クロードが貫いたのはダアトを模した泥人形だった。
「見た目まで…!高度に似せれるのか!!」
ドプ…ドププッ…と、クロードの背後の泥沼からダアトが現れる。
「残念だったな〜!!お前の渾身の一撃も!意味が無かっ……た……」
ドキュッ。
「な……なんだ…?何か…胸に…」
と、ダアトが胸元を見ると、3本の光の鎖が三つ編みになっており、その先には先ほどまでクロードが左手に付けていた『光鱗手甲』の光の指先が、鋭く尖った爪のように突き刺さっていた。
その鎖の先には、足場はなくなっており…右腕と首から上までしか出ていないホリーが手を伸ばしていた。
「『聖なる捕縛』……。」
「…ゴフッ……!グッ…ガハッ…どう…して…」
「魔力を強く溜めてるように見せた。」
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「この一撃で沈めるッ!!!」
スッ…バッ。
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「そして、気が向いている間に、左手の『光鱗手甲』に少量の魔力を込め……真後ろへと手袋を飛ばしておいた。」
「オマエ自身が泥になれるかは、確証は無かった。それでも、それで私自身が仕留め切れるなら問題はなかった。」
「けど、信じていたのは私自身ではない!!」
「私はホリー様を信じている!!!」
貫かれた胸と口から血を流すダアトは……笑っていた。
「…は…ハハッ……愛でも…力でもねぇ……テメェが選んだのは…ハァ…」
「信頼……だった…か…。」
ドサッ…。
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(暗ぇ…ココは…)
暗闇の中をダアトは歩いていた。
オレには愛する人がいた。これから先死ぬまで変わらない。
だから……ソレはもう必要なかった。
メリウス様の元に来て、同じ目標を叶えるための同志は出来た。だが…心の底から信頼できる仲間じゃなかった。
ヤツらも孤独で、一匹オオカミの集まりだった。
共感はしてやれるが……信頼はしてなかった。
しばらく歩いていたダアトは、遠くに小さな光を見つけた。
(……あそこに…光が…)
負けたことには文句はねぇ…むしろスッキリしてる。
結局……その差だったのかもな。
復讐は全てでは無かった
終わってから気付いた……それは『無』だったと
光の元へと辿り着くと、ダアトは忘れることの無い声を聞いていた。
「ダアト、おかえり」
「…!!この声は……!そんな…ウソだろ。」
「オマエなのか?……ベイ…。」
「久しぶりね!まだここに来るのは早かったけど、会えて嬉しいわ!」
「……うっ…うぅ…。オレもさ…!ずっと!ずっと会いたかったんだ!!ベェイィ!!」
2人は強く抱き合った。
「あの時、私は貴方に生きていて欲しかった。私とこの子のためにも。いいえ…」
と、お腹を撫でるベイ。
「お、オレはぁあぁぁ……!!ベイ…オマエが生き……」
「ダアト。さっきのは半分ほんとで、半分はウソ。私は…怖かったの。貴方がいない世界で生きていくのが…この子もいない未来が。」
「だから、私は貴方を生かした。それと同時に……逃げてしまったの。」
「辛い思いを…させてごめんなさい。」
ポロポロと涙を流しながら、口に手を当てるベイ。
ダアトも顔が崩れたように涙を流した。
「…うぐっ…ハァ…ズズゥ……そんなこと関係ねぇ。」
「オレはキミを、キミたちを愛してる!!今までも……これからもずっとだ!!!」
「ダアト…。うぅ。私もよ!!」
「アレから…いろんなことがあったんだ。聞いてくれないか?」
「ええ。もちろん。ずっと、ずっ〜と。」
「それに、この子にも貴方の話を聞かせてあげて。」
「ああ、そうだな。」
永遠の時間が流れる明るい場所で、2人は笑顔で寄り添っていた。
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「終わりましたね。」
スッ。と、ダアトの両目の瞼を閉じたクロード。
「ええ。」
クロードの後ろに立つホリーとクロードは、仰向けに寝ているダアトの遺体を見つめ、目を瞑り祈りを唱えていた。
「あの時、なんで『念話』を使わなかったの?」
「使わなくてもいいと判断したからですよ。後ろを見なくとも……」
「貴方の想いが、届いた気がしましたから。」
と、ニコッとクロードは微笑んだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
ベイの見た目は、皆様のご想像にお任せします。




