欠片118.『沈没事故の真相①』
欠片118.『沈没事故の真相①』です!
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
[]=人物名と年齢、種族
「」=人物の話しているセリフ
『』=人外、多種族などのセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=人外、多種族などの心のセリフ
{}=人物の念話
{{ }}=他種族の念話
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り、用語説明
・・=強調
" "=強調、効果音など
ー1本=漫画の場面転換、幕間
➖ー➖1本=過去回想に入る終わる・過去の時間軸
ー2本=漫画で例えた時の流れ
「なぁ………二つしか選べない状況に置いて、大義と己の意思。」
「アンタならどっちを選ぶ?」
その問いかけに、クロードは沈黙していた。
そして、沈みゆくホリーとダアトを見つめる。
(クソッ…ヤツのペースに乗せられてる…!)
(このままではホリー様が!!)
「答えねぇのか?」
「………ヒトはな。何かを決断するときに、何かを切り捨てなきゃいけねぇんだよ。」
「分かるか…?完璧なヤツなんてこの世にはいねぇ。そう……ただ一人…例外を除いてな。」
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【22年前】
【大要塞 海底要塞 近海の海 アイアニック号】
ダアトと恋人の[ベイ]は船上のバルコニーで満点の星空の夜景を眺めていた。
「ここは機屑物はいないの?」
「この航路は問題ないんだ!海底要塞の長によって、安全も確保されてるからな!」
「へぇ〜!だから安全にここまで来れたのねぇ〜!」
「うふふっ、本当に綺麗だわ〜!」
…"ドゴゴゴゴゴッ"!!!
…"ズズゥゥウウン"!!!
そのとき、とつぜん船体が大きく揺れ、2人はバルコニーの手すりに掴まっていた。
「キャァァ〜〜!!」
「な、なんだよ!一体何が起きてるんだ!?」
「大丈夫かベイ?しっかり掴まってろよ!」
「う、うん!」
ダアトが海上を見ると、沢山の渦潮が出来ていた。
そして、空はドス暗く暗雲が差し掛かり、星空は無くなっていた。
「なんだよ……これ…。」
「なんでいきなり…」
ドバァァァァァア!!!!!
と、直径200mはありそうな大きな水柱が、船上の近くに現れた。
ザバァァァァァァァ………
水柱の水が水面に落ちていく中、大きな黒いシルエットが浮かび、ソレは姿を現した。
「アレは……!!!そんなバカな…!なんでココに…!!」
「な、なんなのアレ?生き物なの…?」
「機屑物はいないんじゃなかったの!?」
(そのハズ、なんだ…なのに…なんで!?)
「ココは…海竜によって…守られているハズなのに!!!」
「海域だって……縄張りが違うハズだろ!?なのになんで!!?」
「とにかく逃げないとマズい…!!」
(でも、こんな海上の上で逃げ場なんて…あるわけがない……どうする?ベイを救うために、オレに何ができるんだ…?)
(クソッ…手持ちの魔屑石は、『隠蔽』と『鳴雷』…あとは…マシなもんがねぇ。)
「ダアト!私たち…どうなるの…?」
「大丈夫だ!オレが絶対なんとかしてやる!」
「大丈夫だからな!ベイ!」
「う、うん…!」
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【同刻 大要塞 大気嵐要塞 公爵部屋】
巻物が棚に置いてあり、壁には掛軸がかけられてある部屋の中で、2人の人物が会話をしていた。
「しかしヨォ〜〜ウチの部下も安くはねぇぞ?」
「メリウスの野郎と協定を結ぶためとはいえ……ダアトはウチでも使える優秀なヤツだったんだがな。」
【八天星 木星】[ユピテル・ジュピターブ(29)]
[種族:ヒト]
白髪のオールバックに、サングラスをかけたガタイのいいムキムキの男が呟いていた。
それに対して、ヨボヨボの肌をした髪の毛のない爺さんが喋り出す。
「同じ八天星じゃろう…貴様らがこの要塞で派手に暴れられたら敵わんからのぅ。」
「必要な犠牲だ。ヤツが欲しいコマとして、ダアトには悪いが……この機を作り上げるしかなかったからの。」
大気嵐要塞 先代公爵[シュマック(74)]
[種族:ヒト]
「コレでヤツも死んでくれれば一番良いのだが…」
「フンッ…。くだらねぇ…!ネプトゥスがいねぇ間に屑水龍を利用するとは……」
「本当に汚ねぇなぁ、ジジイ共ヨォ。」
ギロッ!!
と、ユピテルはシュマックを睨んだ。
「フン。メリウスも巻き込まれて死ねば協定も関係あるまい。」
「全てが上手く行こうて。」
(ケッ…あの蛇女がそう簡単にくたばるとは思えねぇがな。仮にも同じ天星の名を持つヤツだ。)
(屑水龍なんざに、やられるとは思えねぇな…)
(それに、オレはルインルーナを堕とすことにゃ〜賛同しているから、協定は受け入れてやってるが……そもそもヤツ自身は気に入らねぇ!!いつかオレの手でブチ殺してやるぜ。)
ゴロゴロ……ドガッシャァァン!!!
と、大嵐の中、雷が鳴り響いていた。
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【大要塞 海底要塞 近海の海 アイアニック号の上】
その見た目は、細長く全長200mほどはあり、背中側は青色の鱗で、腹側は水色の鱗をしており、頭には一本の大きな角が生えていた。
それは、歴史本『賢者の手記』に書かれている伝説の生物「リヴァイアサン」に似ているとされた。
屑水龍は、いくつもの水の竜巻を発生させていた。
その高さは、空に浮かぶ暗雲まで達していた。
「なんて…規模だ……コレが…四神の…」
キュゥゥゥゥゥンッ。
と、屑水龍は口を開き、海から水を吸い上げ、小さな水色の球体を作り出していた。
(ヤツは…何を…?)
キュィィィィン。
(まさか!!!)
「ベイッ!!!伏せろぉぉぉお!!!」
ビィィィィィィィーーーーーーー!!!!
バシュンッ!!!
と、屑水龍の口から、ウォーターブレスが放たれ、アイアニック号の船体は半分に切断された。
船内からは爆発が起こり、辺りは大雨と風が吹き荒れる中、人々は逃げ場もないのに……逃げ惑っていた。
その光景は、あまりにも地獄で…オレは目の前で起きている光景が信じられなかった。
「ハッ…!!ベイッ!!どこだ!?大丈夫か!!」
「うっ…ッツ…ダアト…?」
ベイは頭を打っていて、血を流していた。
だが、命はあった。
沈みゆくアイアニック号からは、人々の悲鳴が聞こえていた。
海上に佇む屑水龍は大きな咆哮を放った。
それは、まるで何かを恐れるように……それでいて自分と対等に戦える存在を本能として感じ取っていた。
"ギャァァァァアォォォォ"!!!!!
『アラアラ〜〜、あのジジイったら。たかが小娘を殺すためにこんなトカゲを用意するなんてね〜ウフフッ。』
『こんなトカゲでワタシを殺せると思ってるとは、人間って、ほんとバカな生き物よねぇ〜』
と、メリウスはフヨフヨと上空に浮いていた。
『ギャァァァァアォォォォ!!!』
その様子をダアトは、船上の上から眺めていた。
「誰だ……?あんなバケモノ相手に…敵うわけ……」
その時、ダアトとベイの近くで大きな爆発が起きた。
"ドカァァァン"!!
「うわぁぁぁぁ〜!!!」
「きゃぁぁあ〜!!」
「ベェェェイッ!!!」
爆風により吹き飛ばされたダアトは船体の手すりに叩きつけられた。
"ガァァンッ"!!
「グッ…ガハッ!!」
「ッツ……背骨が…」
「ハッ!!ベイッ!!ベーーイッ!!どこだ!?」
「ダアト…助けて……!!」
その声が聞こえる先は反対側の手すりからだった。
しかし、ベイの姿は見えなかった。
「ベイッ!!どこだ!!」
ダダッ!!っと走り出し反対側の手すりへと駆け寄った。
「ダアト……」
「ベイッ!!」
ダアトの目に飛び込んできたのは、一番下の手すりに片手でなんとか掴まるベイの姿だった。
頭からは流血しており、彼女の手はプルプルと震え、握力は限界を迎えそうになっていた。
すぐさまベイの手を掴んだダアト。
しかし、船体がさらに爆発し斜めに傾いた。
"ドォォン"!!
……"グラグラッ"!!
その衝撃により、ベイの手が手すりから離れる。
しかし、ダアトも体勢を崩しながらも、なんとか彼女の手を掴まえていた。
「…うっ…クソッ!!」
(このままじゃ…2人とも落ちる…)
(なんとかベイだけでも……)
「ダアト……。」
「……!?」
「私のお腹には赤ちゃんがいたの…。」
「……えっ…。」
彼女は片手でお腹をずっと触っていた。
「さっきね……爆発したときに…お腹に…」
「破片が…」
「!!!」
「…うそ……だろ…?」
と、下を見続けていたダアトは、おそるおそる彼女が触っていた右腕が、お腹から離され…こちらに見せられるのを眺めていた。
「その…手ッ……!!!」
彼女の手は血まみれになっていた。
「ウソだろ……。なんで。」
ググッ…と手すりに掴まる手も限界が来ていた。
「ダアト…。貴方と私たちの子を愛してるわ。」
苦しそうな表情をしながらも、ベイは微笑んだ。
そして、オレの掴まる手は、さっきよりも……軽くなっていた。
「ベェェェェェェイィィィ!!!!!」
【暗い海に落ちていく最愛の人を】
【届かない手を伸ばしながらオレは叫んでいた】
【今でも夢にみる】
【あの地獄のような光景を】
【彼女は選んだんだ 二つの選択肢を】
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「なんで……オレなんかを…ベイ。」
【そして オレは】
【メリウス様に従うことに決めた】
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
[今回の一言♩]
今回長めになってます!
ほんとは、もう少し書き切りたかったんですけど、次回で書きます!




