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愛機と共に空の旅を  作者: おいしいキャベツ(甘藍)
フグを食うことになった島
16/17

食後

本編その10

「いや〜、美味かった! 満足!」

「はい、美味しかったです!」

 ルージュはポテトを、俺はフグをたらふく堪能し、食後の休憩に入っていた。こういう飲食店の場合、本来ならば食い終わってすぐ会計を済ませるのがセオリーだが、迷惑承知で、少しだけ食後の余韻に浸らせてほしい。

 ふぅと息を吐き、フグの味を思い出す。口中に広がるフグの旨味、食感。

 それら全てが、鮮明に口の中で広がる。

 ………本当に美味かったな。

 フグを食べた、という過去形になってしまったのか悲しいもんだ。

 俺は席を立ち、ルージュに合図する。もう行くんですかぁ〜、と愚痴をこぼしているが、聞かんフリだ。

 席の端に置かれていた伝票を取り、カウンターに向かう。

「会計お願いします」

「かしこまりました」

 カウンターにいた女性の店員に伝票を渡し、会計をするため財布を出す。

「合計3460円です」

「安っ! 桁間違えてないか?」

 あまりの安さに、俺は確認を取ってしまう。

「いえ、きっかり3460円です」

「まじかよ、フグの調理ってそんな安いのか」

 ポテト代を込みにしても安すぎだろ。俺の国じゃあ、平気で万円コースだったぞ。と、俺の言葉を聞いてか、店員は納得したような顔をする。

「フグをこの店で調理してもらった感じですよね、しかも店主のススメで」

「まぁ、そうですね」

「ウチの店主、調理代はいつも取らないんです」

「へっ?」

「フグを買ってくれて、わざわざこの店まで来てくれる人は稀だから、サービスすんだよって言って、絶対に料金を取らないんです」

「いい人だな」

「はい、最高の店主です」

 店員は自慢するように満天の笑みを見せる。好かれてんだな、店員にも、客にも。

 俺はきっかり3460円払い、店を出た。去り際にぜひ書いてほしいと言われたお客様アンケートには、また来ます、と書いておいた。今思えば、アンケートに来店予定の報告をするのは間違ってたなと感じる。

「飯も食ったし、ホテルに戻るか」

 肌に心地よい風が吹く夜の街。上を見上げると、満天の星空が輝いていた。




ラストへ!

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