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奇談その3 手紙

作者: 蒼山 夢生

『虫の知らせ』と云う諺がありますが、二人の間の心の奥底にあるチャンネルが繋がっていた時、それは実際に起こり得る事だと思ってます。今回はそんな作品です。

 その男には高校時代から付き合い始めた女性がいた。

 その女性は少し太めで、顔も丸く、目も細く、お世辞にも美人と言える

容姿ではなかったのだが、その男にとっては何故か傍にいるだけでホッとする

女性であった。

 高校を卒業するとお互いに遠方への進学となったが、それでも二人の愛情には

変わることが無かった。


 二十歳になり久しぶりに行き会うと、お互いに相手を想う気持ちには

変わりがなく将来一緒に暮らそうと云う話になった。

二人は文を取り交わしたり、電話をしたり、年に一度ではあるが二人だけの

幸福な時間を過ごしたりもした。


 男は二十六の時に独立し、その女性の両親に娘との結婚をお願いしに行った。

その女性の両親はにべもなくその男に娘を嫁がせる事は出来ないと言った。

男は深い悲しみに毎日を送っていた。

 そうこうしているうちに男は嫁様をもらい、子供にも恵まれた。

 男は風の便りに、その女性も結婚し子供も生まれ幸せな暮らしをしている

事を耳にした。


 時が過ぎ、男が50歳を迎えたある日、男は突然胸の痛みを覚えた。

 その痛みは然程強くないのであるが、ずっと続いている痛みであった。

痛み出して3日目にはあまりにも強い痛みとなったので、さすがに男は

医者に診てもらう事にした。

 病院で詳しく検査をしてもどこにも異常はなく、健康そのものであると

太鼓判を押され、余り続くようならば心療内科を受診する様勧められた。

その痛みも1週間ほどすると噓の様に消えてしまい、それ以降は起きる事は

無かった。

 そんな痛みがあった事さえも忘れたある日、その男の所に角封筒が届いた。

宛名を見ると全く心当たりのない人物からであった。

 何が入っているのだろうと封を開けてみると、中には数枚の便箋と

その男の名前が書かれた封筒が入っていた。

 便箋には差出人の妻が亡くなった事と、妻からの頼みで封筒を送った事が

書かれていた。

 男は中に入れられてあった封筒を取り出し、裏面を見て愕然とした。

そにに書かれていた名前は、将来一緒に暮らそうと話した、その女性の旧姓と

名前であったからである。

 手紙に書かれていた亡くなった日を見て男は再び愕然とした。

その日は胸が痛み出して3日目、強い痛みに襲われたその日であることを

思い出したからである。

 男はその女性からの最後の封筒を開けることなく、日記帳のその日に挟み

日記帳を閉じた。


最後まで御目通し下さり、有難うございました。まだまだラフカディオ・ハーンの様な作品には足元にも及びませんが、順次に作品を上げていきたいと思っております。

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