表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
9/49

人相の悪い人足

応援メッセージ、アドバイス、誤字脱字の件ありがとうございます。

名古屋城の改修普請の為、滝川忍軍、前田忍軍、真田忍軍を使い各地より人足を集めていた。


しかし多方面から人を集めることによる問題は必ずと言って良いほど生じるものであり他国の間者や忍者、盗賊、罪人、病人など様々な人が流れ込んでくる。


特に病人などはこの時代の医療では治せないものがほとんどであり新型コロナウイルスのように入り込んだら感染の拡大が手に負えなくなる恐れもある為、今後令和の知識を使い対策は行なっていく予定だが、現段階では領内に入りこむ前に対応している。

名古屋城を預かる責任ある立場上、時として非情な決断が必要となるのは仕方ない。

俺は偽善者の顔の部分は持ち合わせるが、聖人君子ではないため切り捨てさせてもらう。


間者や忍者などは相手の目的により対処しているが、対応に困るのは同じ織田家家中の者でも俺に対して悪意や警戒心を向けてくる連中である。


兄奇妙丸は俺に対する悪意はないが、その周囲の者達が俺を必要以上に警戒して家督を狙っているのではないかと俺の動向や周囲の監視を強化している。


弟の勘八(神戸信孝)は、母の身分が俺の母より低かったので俺より20日早く産まれたにも関わらず三男にされた為、周りの吹き込みもあり蛇のように執念深く俺のことを憎み恨んでいる。


親族だけではなく有力な家臣達にしてもそうなのでそこら辺はなるべくうまく乗り切るしかない。


俺は別に兄奇妙丸をどうにかする気もないし、父信長に望めるものがあるならば完全なる尾張一国くらいのものである。

そう史実において最終的に俺の本国となり没収された尾張一国の死守である。


ただ、織田家より与えられるものに関しての認識であり、自身で切り取ったものに関しては話は別になる。


盗賊や罪人に関しての取り締まりは前田慶次郎に一任しているが、慶次郎は名古屋城の城下町を作る際に俺に頼み込んで作った繁華街の元締めのような立場になっており、酒や女を上手く使い情報を引き出したり、情報操作を行うことなどに活用して本当にどうしようもない者達は始末して名古屋港の魚の餌にしているようだ。


中には俺の暗殺を計る愚か者も紛れているが、ふだんただの食いしん坊に見える滝川葵がその手の者達はほとんど始末していた。


賊の側からしてみても年齢的に幼く美味しい食事に涙を流して感動して喰らいつくような隙だらけにしか見えない葵に背後から刃を立てられるとは思いもしないだろう。


そんな葵だが、最近妙に全身日焼けしてがたいがよく強面の人足が増えたことに関して不審に思い主君である茶筅丸様に進言したのが、茶筅丸様は大事ないと笑みを浮かべるだけだったので自身ががよりしっかりするしかないと思っていた。


日焼けした人足の中でも他の者達より一回り体が大きく顔に髭を蓄えた鬼のような男がおり、その鬼男がこの人足達のまとめ役のようで周囲からはお頭と呼ばれているようだ。


葵が調べたところこの人足達は他のもの達と違い午前中は爆睡して起きて来ず、午後より普請の仕事をしている。

葵としてみれば午後は人の倍働いているとはいえなんともだらしない奴らだと思っていたが、仕事の後はどこで何をしているか見たことないことに気づきそれを確かめるべく尾行した。


「そこにいるのは誰だ」

「ぽんぽこ」

「なんだ狸か。驚かせやがって」


葵は上手くやり過ごしたと思っていたが、矢が飛んできたのを寸前で交わして冷や汗を拭う。


「酒の肴に狸が食えると思ったが逃げられちまった」

「狸なんかに構ってる場合じゃねえ。てめえら時間だ」


鬼男が館の奥よりぬっと現れて他の人足達と共に名古屋港の方へ移動すると海を埋め尽くす「上」の旗印の大小様々な船がかがり火も炊かずに暗闇の海に集結していた。


「はうう、あ、あれはまさか」

「てめえら、今日も茶筅丸様の為に働くぞ」

「「「「「おう、お頭」」」」」


葵は驚愕の光景に絶句した時、背中を何者かにたたかれた。


「茶筅丸様」

「大事ないと言ったであろう。あれは味方だ」


そう、目の前の大船団は俺があるものと引き換えに取引を行い家臣として召し抱えた村上通康とその際に俺の近習にと連れてこられた四男通総親子の来島村上水軍である。


来島城は上の息子達に任せて、自身は他の村上水軍からも尾張に行きたい者達を集い一族と移住してくれたのだ。


村上通康は史実だと永禄10年に急病での急死とあるが毒殺の可能性が強く、俺の元にくればそのようなことはない。


まだ村上水軍が配下にいることを父信長にも知られたくない為、船は沖合の島々や入江などに日中は隠してあり夜間活動している。


村上通康に俺が差し出したのは以前開発した航海術やその周辺器具もその一つだが、彼らに尾張行きを決心させたのは俺が書き出した令和の日本地図と蝦夷から琉球王国までの太平洋側の各地域の正確な海図である。


この時代の正確な地図と海図の価値は計り知れないものであり軍事機密のような物なのである。

そしてどこでこのような物をとの疑問には当然熱田大神の御神託であるで解決済みだ。


尾張村上水軍はこれらがあることにより、灯りもつけずに夜間船の航行が可能なのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ