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バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
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軍神

永禄6年春日山城


関東管領である上杉輝虎は、今年度も2月に武蔵国の騎西城を攻略、4月には下野国の小山城を攻略と気の休まらない日々を過ごしていた。


世間では彼女のことは男性だと認識されており、軍神や毘沙門天の化身として畏れ崇められていた。


上杉輝虎が女性だと言う証拠として、後世に残された輝虎の死因が女性特有の病であること、宣教師が残した資料に上杉景勝の叔母とあること、月の物の関係で毎月定期的に毘沙門堂にこもり誰も寄せ付けなかったこと、江戸時代に男性の系統しか認められなくなり、幕府に言い掛かりをつけられないように肖像画にあと付けで髭が加えられたことなど多々ある。


戦国時代では女性が当主になったり、戦にでたりすることは珍しくなく後世で事実が歪められたことも少なくない。


上杉輝虎が女性であるのは家臣団だけの秘密であり、外出時は白い頭巾で口元まで隠していたので誰にも勘付かれることはなかった。


輝虎は、生涯結婚せずその理由は毘沙門天の化身として生涯女犯をしなかったからだとあるがそれが理由な訳もなく、あれがついてないから女犯のしようがないし彼女は百合には興味がない。


絶世の美男子と呼ばれた北条三郎を養子として自身のかつての名である景虎を与えて溺愛するくらい美男子で賢い男は好きなのである。


そんな輝虎を女性と認識して達筆な文字で色恋の歌や詩を絡めた文を贈り物と共に送って来る仲達を名乗る男に少しずつ惹かれていた。


最初は司馬懿仲達の仲達などふざけた名を名乗る不届きものと激怒したが、文と一緒に届けられた清酒に心を撃ち抜かれてかの者の求めの通りに文通を始めたのであった。


仲達に自身を女性として丁寧に扱われ誉め殺しにされるのは最初はむず痒かったのだが、今ではお腹の奥がじーんと熱くなる。


仲達には人に言えない悩みや想いまで話せる仲になったと思う。


ある時仲達より輝虎様は歳下はお嫌いですかと訪ねられたことがあったので、歳等は全く気にしないと答えたらよほど嬉しかったのか、京の都産の上等な櫛が送られてきた。


それをみた輝虎は、「仲達は歳下のようだな。それも悪くない」と舌なめずりをした。


その時尾張生駒屋敷では茶筅丸が悪寒を感じてぞくぞくしたとかしてないとか。


そして現在輝虎は、春日山城の私室にて仲達からの贈り物である焼酎に舌鼓をうっていた。

注意書きとして酒精が強過ぎるので冷たい水で割って飲むと良いとか茶や柚子などの柑橘類などで割って飲むべしとあった。


輝虎は仲達が自身を好いてくれていて、身体のことを心から心配してくれていることを理解している。


軒猿の話では毎回文や贈り物を届けてくれる者は滝川忍軍の者とのことなので仲達が尾張方面の者であることは見当がついていた。


「仲達は時が来たら姿を現すとのことだが、まさかな」


軒猿の報告で尾張に熱田大神の加護を受けた神童が現れたとの報告を受けていた輝虎は含み笑いをする。


しかし仲達の正体が噂の神童ならば意味深な文の一文にも納得がいく。


来年の秋に甲斐武田が飛騨に進軍するようなそぶりがあるから注意すべし、しかしもしその為に輝虎様が信濃国に出陣したとしても2ヶ月程の睨み合いで終わる為、旗ざし等増やす、現地の住民に擬兵をさせるなど戦力、戦費を温存すべきであると占いにあったとある。


もしこれが熱田大神の信託ならばと考えた輝虎は来年の武田家の動きを見てから判断しようと考える。


「仲達に早く会いたいものだ」


仲達に貰った櫛で髪をときながら焼酎のせいもあるのか頬をうっすらと朱色にを染めながら妖艶な笑みを浮かべる輝虎なのだった。

筆者は諸葛亮より、やられてもやられてもしぶとく生き延びる司馬懿仲達が好きです。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんの躊躇もなく女性化しちゃった。
[良い点] 三国演義だと軍師枠ですが、司馬懿はどちらかと言うと軍人よりの周瑜みたいな文官も兼任軍閣僚で、孔明は人材不足で政治家が参軍したって感じですかね、法正や龐統が生きてたら参軍しなかったんじゃない…
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