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バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
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最上義光

一度越後に戻るために黒真珠号で名古屋城を出航した俺と虎千代であったが、何がどうなったか現在山形城にいた。


山形城では父最上義守を強制的に排除して隠居させ出家に追いやった最上義光が俺たちの前で深く頭を下げていたが、その実満面の笑みを浮かべていた。


俺は史実においての最上義光の有能性を知ってはいたのと、実権を握るのは数年後だと言うことを知っていたので多少混乱はあったが最上義光と何故か今このような形で対面している。


最上義光が優秀なのと鮭好きなのはわかっていたが、早い段階より上杉輝虎(虎千代)の動向を忍びに探らせていたらしくその延長沿いで夫であるこの俺織田信虎や名古屋城、陸奥制圧などを知り先見の目を持って家中での下剋上を実行して俺と虎千代に服従を誓って来たのである。


最上義光としてみれば泣く子もだまり甲斐の虎さえ震え上がらせる上杉輝虎は幼少より畏怖して敬う存在であったが、実は女性であり熱田大神(天照大神)の加護を受けし神童を夫にしたと言う事実を調べ上げて一喜一憂したのだ。


更にはその武力や陸奥平定を知った最上義光は、俺と虎千代が越後国に向かうことをしり事を起こして現在に至るのである。


結果として最上義光は俺と虎千代の下についたが、奥州や出羽など令和で言う東北地方に関しては切り取り次第のお墨付きを与えた。


そして熱田大神の御告げと言う形で俺は義光に密命を与えた。


義光の妹婿である伊達輝宗の懐柔と、今年産まれた義姫の嫡男梵天丸は将来我等の大きな力となる為、妹を使い上手く刷り込みをして欲しいこと、また五才になった際に大病を患うのでその歳の前に一度俺のもとに連れてきて欲しいことを厳命した。


頭の切れる義光は一瞬戸惑った顔を見せたもののすぐに作り笑いを整えて「この義光しかと申しつかりました。必ずしや熱田大神の御告げを厳守致しまする」と素早く整った礼をとったのであった。


そのあまりの見事な所作に俺も虎千代も思わず顔が引き攣ってしまうほどであった。


一通りの表向きの話が終わった後に義光が夕方宴に招きたいと申し出たので俺はこちらからも宴に使う酒と料理を提供する旨を申し出たら大変喜ばれた。


「信虎様、その料理の中に蝦夷の鮭はないのでしょうか」

「安心するが良い。勿論鮭は良いものがある。それにそのうち見たことのないような種類の鮭もたらふく食わせてやるから楽しみにしているがよい」


日の本で鮭と言えば白鮭だが、最高級と言われる紅鮭、銀鮭、サクラマス、樺太マス、鮭の王様キングサーモンなど鮭は種類も豊富でありどれも全てが美味なのである。


夕刻になり宴が始まったが、俺は清酒と麦酒を振る舞うと清酒のあまりの美しさと初めて飲む麦酒ビールの炭酸に驚愕した後、「これは神々の酒なのか」「天にも昇るようじゃ」「やはり殿には先見の目がおありじゃ」など喜びの声が聞かれた。


「我等の下についたからには今後見たこともない酒や料理を皆にたらふく食わせてやる。まずは最上家が裕福になり周りの国が羨ましく思い我等に降った方が得策だと思わせるのだ。その為の助力は惜しむ気はない」


「皆の者聞いたか。婿殿はいままで約束を違えたことはないとこの関東管領上杉輝虎が保証するぞ」


「「「「「うおおおおおおおおおおお、熱田大神万歳、関東管領万歳」」」」」


俺と虎千代が共に最上義光の手を持ち上げ演説すると宴の会場の熱気は最高潮となる。


「よし次はあれをもて」


俺が声をかけると焼き鮭、サーモンの刺身、鮭のフライ、鮭のちゃんちゃん焼き、石狩鍋、鮭の筍の皮で包んできのことマヨネーズをふんだんに使った包み焼きを振る舞った。


「「「「「美味い、美味すぎる」」」」」


これは最上家の一同だけでなく慶次郎達俺の直臣や虎千代の直臣も唸っている。


まあ色々とずるい組み合わせだが、鮭はマヨネーズと相性が抜群であり鮭の包み焼きや鮭フライにマヨネーズをかけたものの美味さに抗える者など皆無であろう。


「皆の者驚くのはまだ早い。私のとっておきを今こそ出そうと思うがいかに?」


「「「「「うおおおおおおおおおお!熱田大神万歳」」」」」


何故か最上家の家臣団に混ざり1番煽っているのが慶次郎なのだが俺は見なかったことにした。


俺は蝦夷地において甜菜大根や天王寺屋を通じて手に入れたジャガイモや玉ねぎ、南瓜、ゆりね、にんにく、とうもろこしなど令和の北海道において特産となっているものは常時新しいものを仕入れてはどんどん栽培させ増やしているのである。


今回はそこから持ってきた玉ねぎと鮭を使った世界一と言える料理をだすのだ。


そう令和の時代でも日本だけでなく世界で1番美味いと言われている寿司、サーモンのオニオンスライスマヨネーズ寿司である。


そのやばすぎる寿司には勿論山葵も使用してあり、この時代にはまだない醤油を少しつけて食べるマリアージュはまさに神の御馳走といっても過言ではない。


その証拠に俺や虎千代と上座に座る最上義光はサーモンのオニオンスライスマヨネーズ寿司を食べた瞬間に暫く硬直した後に無意識に涙を流しはじめたのだ。


硬直時間が長かった為に毒でも盛られたかと場の空気が固まったが、その後両手で俺の手を握り土下座に近い形で「熱田大神と信虎様に儂は一生ついていきます。儂は今日此処で永遠の主君に出逢えた」と感涙の涙を流す義光に俺は苦笑いしたのであった。






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