亀甲船
いつも誤字脱字修正ありがとうございます。
名古屋城
俺は虎千代と一度越後国に行き冬が来るまでは春日山城で過ごしたいと考えていた。
顔がいかつく戦しか取り柄がないように勘違いされがちだが、織田家譜代重臣であるので家中でも一目置かれ実は内政面にも優れている権六に尾張を任せておけば俺が暫く留守にしても問題ないはずだ。
越後に行く際に同行させるのは、前田慶次郎、山県昌景、服部半蔵、竹中半兵衛、村上通康、滝川葵を連れていけば万事大丈夫だと思う。
しかし尾張国を任されている俺が長期に国を空ける為には父信長に対する手柄が必要であった。
最終的には常時尾張国と越後国を行ったり来たりしたいと考えているが、何事も最初が肝心である。
実は後世による創作であり存在しなかった物であるが父信長が喜びそうなある物を俺は完成させた。
太閤豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に朝鮮軍が日本軍を撃退するのに利用したとされる亀甲船である。
亀甲船は小型である為に河川などにも侵出できるのと、船体をハリネズミの様に鋭利な突起物でおおい鉄で覆っていることから後世の朝鮮では初代鉄甲船や元祖鉄甲船とよんでいる。
現実的には亀甲船はなかったものではあるが、鉄砲を好んで使いたがる父信長にとって主武装が鉄砲で外敵からの火器に強い亀甲船は間違いなく戦力になるはずだ。
俺としては使い道がなく作る価値もない物ではあるが、戦国時代の日の本では有効そうであるのと、父信長に対して歴史を破壊しすぎないように行動したうえでのわかりやすく目に見える手柄を立てるには有効なので利用させてもらう。
敵から見れば外見を鉄と突起物に覆われた亀甲船は弓矢や鉄砲や焙烙などもきかず接近戦を挑んだ者は串刺しになるのでこの時代は噂や迷信が有効な為、敵に精神的な負荷をかける意味では数が無くてもかなり有効的だ。
守備力に優れて火力もある亀甲船は歴史的神獣に例えるならば正に玄武である。
父信長は嬉々としてその亀甲船を滝川一益に使わせた結果、史実より早く伊勢志摩の海賊衆である九鬼義隆を筆頭に海賊衆全体を織田家傘下におさめることに成功した。
まあ名古屋に村上水軍がある時点で不可能であるが、これにより幻の武田水軍などの出る芽は摘まれたのである。
俺はこの手柄により越後国への自由な行き来を父信長より許されたが、誤算だったのは虎王丸を気に入った義母濃姫が俺達が越後国に行っている際の母として立候補してまるで我が子の様に育てたことである。
その経緯もあり美濃勢とより仲を深めた俺は翌年に濃姫の父である美濃の蝮と呼ばれた斎藤道三の腹心であった明智光秀が次期将軍候補である足利義昭に従い越前より岐阜にきた際に、その娘である明智玉を気に入り俺の側室にすることになる。
ようするに父信長には元々一目置かれていたが、何故か義母濃姫にも気に入られた俺は将来的に美濃斉藤家の重臣明智光秀の娘を側室にとることで美濃国出身の家臣団からも気に入られたのである。
明智玉はまだ子供であったが、茶筅丸である俺も人のことを言えず、更には玉があの細川忠興が嫉妬のあまり監禁虐待する程の美貌を誇っていた為、俺は来年その話を受け入れることになるのだ。
ただ未来の話にはなるが、俺と明智玉の婚姻により明智光秀は将来への不安がなくなり、俺の義父として将来尽くしてくれる頼もしい存在となる。
後世において徳川家康の人気を廃して織田信長の人気を上げることにより幕府の人気を下げ他者を持ち上げようとした明治政府であったが元々徳川家康は人気がない。
何故ならば徳川家康は漁夫の利を得たただの狸親父であり、実際に歴史を作ったのは家康の盟友であり織田信長を討ち取った南光坊天海と名を変えた明智光秀なのである。
史実における明智光秀は実は通説で言われている以上に高齢であり文武に優れた名将であった。
本能寺の変による謀反により最悪の裏切り者や反逆者や愚か者などの誹りを受けるが実はかなり優秀な人物である。
令和の時代でもそうであるが、良い話は上司の手柄で、悪い話は部下の失態と言われるように、記録を歴史として残すのは勝者である為、本当の本能寺の変の黒幕である豊臣秀吉や徳川家康達は英雄として後世に名を残し、実行犯である明智光秀はその汚名を全て背負うことになるが、敗者であるがこそ悪く言われすぎる部分もあり、光秀の功績を忘れてはならない。
まあ俺がそのように思えるようになるのは来年に明智光秀や明智玉にあってからであるのであるが。
話が色々前後はするが、俺は豊臣秀吉の天下や徳川家康の天下は絶対に阻止をしてみせる。
そして父信長や上杉謙信を延命させて日の本の侍の最上位の存在となってもらい海外に負けない国づくりをするつもりである。
そして俺は本能寺の変がなかったらどうなっていたかの日の本の覇道を実現するつもりだ。
あまり知られていないがこの時代武器開発技術と鉄砲保有数世界一の日の本は指導者次第で海外で無双できる力を持っていたのであった。