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バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
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航海術

生駒屋敷


俺は生駒屋敷にて俺の傅役となった滝川一益と俺の初の直臣となった前田慶次郎利益との顔合わせを行なっていた。


「この度は茶筅丸様におかれましては、この滝川一益を傅役に指名していただいたこと、我が甥の慶次郎を引き立てて下さったことを心より御礼申し上げます」


「であるか。一益そのように畏まらなくてもよい。私も其方のことを親しみと敬意をこめて爺と呼びたいのだがよいか?」


「ハハッありがたき幸せ、でしたら某も茶筅丸様のことを若様と呼ばせていただいてよろしいでしょうか?」


「好きに呼ぶがよい。慶次郎もそれでかまわん」


「「ハハッ」」


「さて顔合わせもすんだところで、これからのことに関して話をしたいと思う。爺と慶次郎は武将として優秀なだけではなく文武両道で文化的なことにも嗜みがあり忍びの心得があることを存じている」


「「!?なぜそれを」」


「ハハ、そう構えるでない。熱田大神は全てを見透すのだ。そして私はその忍働きとその配下の忍びの者達に大いに期待している」


「恐れながら若様、高貴な方達からは忍び働きや忍びの者達は下賎なものと忌み嫌われておりますのを御存じありませんかな?」


「何を馬鹿なことをもうす。良いか爺、世の中は情報が全てであり正確で素早い情報には黄金と同じ価値があると思っている。今後私が城持ちになった暁には、其方らの配下の忍びの一族郎党全て面倒をみてやるつもりだ。だから私を信じてついてきてほしい」


「「なんと…ハハッ」」


滝川一益と前田慶次郎は目頭が熱くなり目から水が止まらなくなり嗚咽を漏らすとともに改めて深い忠誠を誓ったのだった。


俺は今後に関して、人材集めをしているので紙に書き留めた人物を探し出して勧誘してきて欲しいこと、鍛治職人、鉄砲鍛治職人、船大工が欲しいこと話した。


「若様話は承知致しましたが、職人達はどのような理由で必要とされているのでしょうか」


「鍛治職人は熱田大神の神託を実現する為、鉄砲は家中でも扱いに長けている爺ならば言わずもがなだろう。職人を招き、忍びの者達の中から適性のある者達を見出して弟子入りさせて隠れ鉄砲の鍛治村をつくるのよ。知っての通り鉄砲は値段が高い。しかし全国に価値が知れ渡る前に自領で量産出来るようになれば他国より優位に立てよう。船大工に関しては、水軍も作りたいが、まずは熱田大神の神託にあった遠くまで行ける船を作り貿易に活用したいと思っている」


滝川一益と前田慶次郎は俺の話に呆気にとられて驚愕したり、汗をかいたり、顔面蒼白になったり、泣いたり、感動したりと百面相であったが、聡明な両名は最終的には俺の言った内容を適切に理解してくれた。


また、とある計画の為に羅針盤を急いで作る必要性があったので、天然磁石は時間をかけて探すとして地球の磁場を利用して南北方向に向けた鉄を冷やす方法で作る磁石を使った羅針盤の作り方を伝授した。


そして熱田大神の神託と称して星の航海術、六分儀の設計図、それを使用した天測航法を両名に伝授した。


羅針盤、星の航海術、天測航法を習得すれば近海は勿論耐えられる船さえあれば遠洋を航海することも可能となり、昼夜問わない移動も可能となる為、貿易、軍事共に活用できるのである。


滝川一益と前田慶次郎の配下の忍びから適性者を選んで修練させることにより今後につなげていくつもりだ。


航海術に関しては今話した通り将来的な目的もあるが、急ぎ行わなくては間に合わない事例もあったからである。


俺は日の本では手に入りにくい鉄砲を撃つのに必要な硝石の作り方を知っている。


この時代硝石は貴重でありほとんどを海外からの輸入に頼っていた為、堺などの貿易港やそれに付随する商人、寺社などを通さないと手に入れることは出来ず、手に入れられてもかなりの高額だったのである。


かの武田勝頼はある程度の鉄砲の数を所有していたにもかかわらず実戦であまり使えなかったのは硝石を筆頭に火薬や鉛などの弾薬不足が理由だと言われている。


だからこそ俺は硝石を自給自足したいが、時間が数年かかる上に土地が必要となってくる。


今の俺は銭はそれなりに確保できたが、土地を持っていない為、尾張の沖に点在する無人島に目をつけたのである。


細かくは言わないがよもぎや糞尿を使った方法で大量の硝石を無人島で密かに作成するのだ。


この時代は夜は船を出さないのが常識だが、昼夜行動できる技術を身につけた滝川忍軍と前田忍軍なら誰にも知られることもなくことを進められるのだ。


領地がないなら、ないなりの戦い方をするだけなのだと口角を上げる俺なのだった。

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