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バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
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蝦夷へ

いつも誤字脱字修正ありがとうございます。

名古屋城


名古屋城ではなく蝦夷地開拓隊の出立準備が整ったので武藤喜兵衛を中心とした開拓部隊の者達を俺は、清酒と様々な料理でもてなしていた。


俺は喜兵衛にアドバイスとして、気をつけるべきは冬場の極寒の気候だけでなく、アイヌ民族との関わり方、本土にはいない羆という熊の化け物のような生き物がいることを話す。


蝦夷羆と言われるが北極熊に近い近縁種であり雄の羆は体長2.0mから2.8mに及び体重は250Kgから500Kgにもなるのだ。


がっしりとした頑丈な体格を誇り頭蓋が大きく肩も盛り上がっている。


熊は月の輪熊のように基本雑食で肉や鮭、鱒のような魚や木の実を食べるが、羆は獰猛で肉食傾向が強い。


また一度狙った獲物決して逃さぬと言うほどに獲物への執着が強い。


武藤喜兵衛には集団で罠に追い込む方法やトリカブトなどを塗った毒矢が有効であることを伝える。


蝦夷地での開拓の要ともなる火縄銃の命中精度の悪さを補う為に、俺が尾張で研究開発している銃には木製であるが肩当てを付けると共にたすきがけ、肩がけが出来る様に紐をとおしてある。


戦国時代の火縄銃は銃身にライフリングが施されていなく弾も丸い鉛弾であり、柵などの補助がなければ命中率が著しく低い。


だが肩当てをつけることにより肩で固定して狙いが定めやすくなるのだ。


ただ火縄銃は音が大きすぎる為、肩に銃をのせる方側の耳には耳栓をさせる。


肩紐に関しては、弾切れの火縄銃や敗戦時に火縄銃を投げ出して逃げる兵士が多かったのでそれを改善する為の方法である。


ライフリング火縄銃に関しては試作型とその弾にあたる椎の実弾は出来ているが、量産化よりもその先の世代の銃の研究を進めたい。


工業化に必要なネジに関しては既に日の本に火縄銃とともに種子島に伝来していたので我が尾張では量産して様々な用途に使用している。


ネジがあればボルト等周辺部品が必要となるがそれも抜かりはない。


銃の近代化に不可欠なバネ(スプリング)もフックの法則を元に研究開発を続けている。


この時代に置いて初期開発から始めなければならないことが多いが、化学、工業面に関しては最初に目指すのはイギリス産業革命の水準だ。


令和の時代に原始時代に近い時代にまで退化した世界で知識を持って科学や工業を復活させていく漫画の物語があったが俺はそれを見習い目指したい。



翌朝日が昇る前に村上水軍の小船により、離島の造船所に向かい武藤喜兵衛達蝦夷地開拓部隊を見送った。


造船所は大きな湾のある離島の周辺を埋め立てるなどして人為的に手を入れた俺の秘密の島である。


造船所を出立した旗艦黒真珠号なども複数の筏に積まれた建物のパネル式建材を牽引している。


評定で色々話し合ったが、この方法ならば冬が来る前に苫小牧に拠点を造設することが可能であり、春を待って苫小牧港の整備と、札幌までの街道整備、札幌での拠点増設を行う予定だ。


実はこの蝦夷に向かい出航した黒真珠号には終始汚れた頭巾で顔を隠した三十路に近いと思われる男が秘密裏に乗っており、他の船に分散して乗るその男に付き従う80名の元家臣と思われる者達がいた。


その詳細を知るのはこの蝦夷地開拓部隊の総責任者である武藤喜兵衛と戸隠忍軍、服部半蔵と俺のみである。


史実において永禄10年には病死という名目で毒殺される運命のその者の能力を惜しんだ俺は、喜兵衛や半蔵と相談してその者を救い出したのである。


その者は織田家のことを良くは思っていなかったが、熱田大神の加護を受けし神童と呼ばれる俺のことは悪く思っていないことは裏付けをとってある。


だからこそ危険を犯してまでその者を救い出したのだ。


その過程は、喜兵衛に付き従う戸隠忍軍の頭である霧隠才蔵がまずその者に接触して俺と喜兵衛の密書を渡す。


俺は内容としてこれからその者に起こるであろうことを熱田大神の神託として書き記した。


喜兵衛にはその者を説得する文を書けとだけ命じているのでその内容を俺は知らない。


しかし生粋の武士である者、血筋が良いものほど熱田大神と熱田神宮を信仰して崇めるのだ。


何故ならば世界一の神剣である草薙の剣が御神体なのだから。


日本武尊の神話の話を知らない教養のある者がいるはずもない。


だからその者は織田家は信じられないが、熱田大神と旧知の者を信じて俺を頼った。


俺は服部半蔵に命じて伊賀の里秘伝の数日間仮死状態になる薬を準備させてその者に飲ませたのだ。


その後霧隠才蔵達がその者の妻子を救い出し、服部半蔵は仮死状態になったその者が病死として埋葬された後に墓を掘り起こし救い出したのである。


その後かの国ではその者は病死として発表され、妻子は後を追い川に身投げしたと伝えられたと言う。


そして世間において死人となったその者は俺の提案により妻子を喜兵衛の家族に託し、蝦夷地開拓隊の船に乗り込んだのである。


服部半蔵が探し出したかつてその者に仕えていたが国外追放処分となり散り散りになっていた最強の武者80騎と共に。

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― 新着の感想 ―
[一言] 義信かな? 火縄銃には銃剣をつけると良さそう。
[良い点] いつもお疲れ様です。 信忠の頃から拝読しておりました。ときおり挟まれるジョジョやガンダムなどのネタがやみつきでして [気になる点] 今回、蝦夷探検に加わる謎の武士。史実なら永禄10年に死ぬ…
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