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バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
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敵に回してはいけない人間

いつも誤字訂正ありがとうございます。

永禄7年8月 稲葉山城


俺は竹中半兵衛の呼び出しにより訪れた稲葉山城の上座に座らされていた。

何故こうなった…完全に覚えがないと言えば嘘になるのだがまさかこのような展開になるとは思ってもいなかったのだ。


それは遡ること数ヶ月前、俺の元をやらなければならないことがあると言って去った竹中半兵衛であったがまさかそれが史実における稲葉山城乗っ取りだとは思いもしなかったのである。


義父安藤守就と謀り弟久作ら主従18名で城を乗っ取ったあれである。


弟久作の見舞いと偽り場内に侵入した半兵衛は、城乗っ取りの狼煙としてその日当直であった憎き斎藤飛騨守を真っ先に斬り殺し、制圧後首にだけになったその顔に笑顔で小便をかけたと言う。


執念深い半兵衛は以前斎藤飛騨守の一党に櫓の上から小便をかけられたことを忘れていなかったのである。


斎藤飛騨守が斬られると武装などしていなかった城兵達は混乱し戦意喪失した。


皮肉なことに斎藤龍興や斎藤飛騨守が日頃の行いにより周囲から恨まれていたこともあり下位の者達は戦わずに我先に逃げ出したがその中には寝巻き姿の斎藤龍興も含まれていたと言う。


その後半兵衛は憎き斎藤飛騨守とそれらの側近の首を稲葉山城の外に並べて晒した。


その後、史実では暗愚斎藤龍興を諌めるべく奸臣斎藤飛騨守を成敗する為に事を起こしたとして一年以内に城を返却しているというのが通説であるが、実は城を返すまでの間に半兵衛と義父安藤守就と周囲の者達へ文を書き自身らの支持を訴えていたとの説もある。


今回俺が稲葉山城に呼ばれたのは、史実通り半兵衛による稲葉山城乗っ取りを知った父信長が稲葉山城を明け渡せば美濃半国をくれてやると言ってきた為、どうすれば良いか判断してほしいとのこと。


「茶筅丸様の為に稲葉山城を手に入れたので後の差配は宜しくお願い致しますね、殿」

「で、あるか。何をよ迷いごとを申しておるのだ半兵衛よ。まるで私が稲葉山城乗っ取りの黒幕のようではないか」

「フフフフフ、何をおっしゃいますか茶筅丸様。私は殿の配下なれば責任が発生するのは主たる殿でございます。主従とはそういうものでございましょう」


半兵衛が聖人君子とはかけ離れた圧のある黒い笑みで俺に迫る。


半兵衛の奴は稲葉山城乗っ取りは全て俺の指示であったことにして周囲の反発をかわすとともに俺に全部丸投げする気だと俺は悟った。


がくりと項垂れた俺は、もはや外堀が完全に埋められていることを悟り「是非もなし」と諦め責任をとることにした。


いつの時代も責任者とは理不尽なものであり、責任を取るために存在するというのは周知の事実である。


今回俺は上司に当たる父信長と、部下に当たる竹中半兵衛に挟まれ胃に穴が空きそうである。

いやそれどころか最恐の第六天魔王の父信長と腹黒の半兵衛の間に挟まれた俺などはひっくり返されるオセロの駒である。


俺は現実逃避をしながら、今後の娯楽と金儲けの為にオセロを作成することを思いついたのであった。


その後俺は半兵衛と安藤守就と話し合い、父信長に美濃半国の条件をのみ稲葉山城を明け渡す旨の使者を出させた。


それに歓喜したのが父信長であり、すぐにその旨了承したと返事がきた。


織田信長が史実において稲葉山城を落とすのは永禄10年であり美濃一国の完全掌握はそれ以降になる為、史実より数年早く稲葉山城を手に入れることが出来たことになる。


これにより織田家は無駄な時間、銭、人員等数年分の無駄が無くなったことを考えればこれほどの利益はない。


銭や人、食料などはやり方により挽回出来るが、時間だけは決して戻せない人生における最も重要な財産なのだから。


まあ譜代家臣の討死や失敗もなくなる代わりに木下藤吉郎の一夜城や蜂須賀小六や川並衆の活躍もなくなったのだが。


蜂須賀小六や川並衆は俺が直接父信長に進言して織田家直臣として召し抱えてもらえるよう尽力しよう。


俺は竹中半兵衛と細かい打ち合わせの後に名古屋城へと帰還した。



永禄7年9月 名古屋城


俺の目の前には笑顔だが目の笑っていない父信長と半兵衛がにこにこしながら俺に圧をかけてくる。


「茶筅丸よ、話は全て半兵衛から聞いた。大儀である」

「すみません茶筅丸様。固く口止めされていたのですが大殿様に嘘をつける筈もなく、茶筅丸様の命で稲葉山城を奪った旨を全て話してしまいました。」


深々と平伏して申し訳そうな顔をしながらぺろりと舌を出す半兵衛をみて俺は絶望した。


半兵衛が父信長に語ったことは容易に想像がつき、半兵衛の稲葉山城乗っ取りと復讐は俺の指示で実行されたものであり、目立つことを避けたい俺の手柄にされてしまったのである。


「半兵衛より話は聞いた。美濃半国はいらぬから名古屋城周辺の領地がもっと欲しいらしいな。あいわかった。貴様の願いを叶えてやる」

「ありがたき幸せ」


こうして俺は半兵衛の活躍(策略)により令和の名古屋市全域の土地を手に入れ、その土地を領有していた者達は美濃へ移住した。


父信長が稲葉山城に入城した際に稲葉良通と数名の豪族が忠誠を誓ってきた為、今後父信長は織田家に従わぬ豪族を平定することとなっていくのであった。

歴史資料により年度の誤差は是非もなしでお願い致します。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一鉄はすでに老人と言っていい年齢だろうにw
[一言] >>令和の名古屋市全域の土地 守山はいらないでしょ。 この当時は、イオンもないし、龍泉寺街道があったとしても狭いしw
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