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バカ殿様に転生しました。  作者: 吉良山猫
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初外交

名古屋城の二の丸部分が旧那古野城であるが、俺はその母吉乃と妹五徳姫達が住まう館を優先してわかりやすく豪華に建て替えるように武藤喜兵衛に命じた。


父信長は母吉乃と仲が良いので前回のようにちょくちょく会いにやって来ては俺にちょっかいを出して帰って行く為、いっそのこと名古屋城二の丸御殿を従来の規格で堂々と建ててしまいそこを父信長と母吉乃の住居として献上する形をとれば豪華で守りの堅牢な本来の二の丸御殿を早期に完成させても重臣たちからの妬みや批判をかわせると考えたのである。


結果として父信長と母吉乃への親孝行に繋がるとともに、実質は俺の名古屋城であり俺が任された領地であるが、周囲からは父信長の管理する城だと映ることは間違いない。


そして名古屋城の二の丸御殿は庭園が素晴らしいことでも有名なので父信長に二の丸御殿を親孝行として父と母が住まう場所にする為に改築しておりその庭園を造設する為の庭師を探してほしいと願い出ると父信長は満面の笑みで了承した。



織田信長視点


信長は発展を続ける名古屋に関して城ではなく城下町と港の開発発展に驚いており茶筅丸より取り上げて他の領地を任せようかと悩んでいたが、熱田神宮の件もあり思いとどまっていた。


熱田大神の加護を受けし我が子の才能は信長自身も底しれないと思っており今後多少の脅威になるのではと疑ったこともあるが、茶筅丸は開発した清酒や干し椎茸、薬草や万能丸、医学書や薬草図鑑、医者まで文句言うこともなく素直に差し出してきている。


そして今回名古屋城の城の主人が住まうべき一番豪華で守りも堅牢な場所を献上すると言ってきた。


この信長と母吉乃への親孝行と言うのは建前で、自身の立場を理解して今後とも決して逆らいませんと言っているようなものだ。


この信長は弟信行のこともあり、身内にも容赦ない鬼のように噂されているがその方が政治的に都合が良いので放置している。


しかし実際は家族のことは大切に思っており、特にこの信長の幼い頃の姿に瓜二つの茶筅丸は可愛く思う。


嫡男の奇妙丸の教育は帰蝶と周りの者達に任せているが優秀ではあるが年並みである。


しかし茶筅丸は熱田大神の加護を受け産まれ、傅役に滝川一益をつけてやったとしても優秀すぎる。


彼奴の母の吉乃や五郎佐、権六、犬などにいったい茶筅丸は誰に似たのかと訊ねれば、皆が呆れた顔をして「「「殿以外に誰がいるのです。まさに生き写しであります」」」と口を揃えるのでやはりそうなのかと思い口角が上がる。


奇妙丸と茶筅丸以外に我が子はいるが、凡庸である為、他の家への養子に出すぐらいしか使い道はない。


茶筅丸が庭師が欲しいと言っていたのですぐに林佐渡守に命じて京より優秀な庭師を手配したが、そのついでに国友村から若い鉄砲鍛冶を引き抜き茶筅丸に褒美としてくれてやったら驚き大喜びをしていたが、すぐにこの信長の意図に気付き顔を引き攣らせていたので大笑いした。


茶筅丸は鉄砲の開発と量産を間接的に命じられた形になったのだから。

壮大な規模の名古屋城下で上がる銭やその他で稼いでいるであろう銭で鉄砲の開発、製造、量産を行わせて堺の鉄砲の半値で納品させれば弱兵と比喩される織田軍の大幅な戦力向上に繋がる。


まあ茶筅丸が真言宗の寺を名古屋城下に建てて寄進することを条件に根来衆と懇意にして鉄砲鍛冶を派遣して貰っているのを一益から報告を受けていたのでそれに便乗する形で今回国友村の鉄砲鍛冶をやったのもあるが。


日の本における三大鉄砲産地と呼ばれる堺、国友村、根来のうち国友村、根来の技術と熱田大神の加護持ちの茶筅丸の能力があれば堺以上の品質の鉄砲の開発が可能なはずだ。


そうすればあの忌々しい堺の商人達にぼったくられることがなくなるどころか、堺の鉄砲の評判を下げることも可能かもしれない。


「フフフフフ、これからの日の本一の鉄砲産地は堺ではない。我が尾張である」




三河国岡崎城


父信長が高笑いしている頃、俺は前田慶次郎と村上通康、滝川葵と共に三河岡崎城にて松平元康とその嫡男である竹千代と対面していた。


「松平元康でござる。織田の茶筅丸殿が我らに何用でござるか」

「織田茶筅丸です。父信長の同盟者である元康殿と、我が実妹の婚約者である竹千代殿に提案とお願いがあって参りました」

「ほう、これは信長殿の命ですかな」

「いえ、これは父は関係なく私の独断です」

「うむ、で提案とお願いとはなんですかな」

「今元康殿は三河一向一揆にて大変ご苦労されており、兵糧も武器や防具、銭も不足して困窮してると聞き及んでいます」


俺が話を切り出すと穏和な表情で会話をしていた松平元康の目が鋭くなる。


「おまち下さい。元康殿が損をする話ではありません。兵糧、武器、防具、銭を持参しました」

「しかし、ただではないのだろう」


警戒する松平元康に俺は目が笑っていない満面の笑みで頷く。


「ええ、しかし難しい条件ではありません。三つの約束をしてほしいだけです」

「むむむむむ、その三つの約束とはなんじゃ」

「はい、一つ目は其方に控える我妹の夫になる竹千代殿といつまでも懇意にしたいと言う想いもこめて私と義兄弟の契りを」

「ほう、竹千代よいか」

「はい、父上」

「二つ目はなんじゃ」

「そこに控える本多平八郎殿を竹千代殿の側近としていついかなる時も竹千代殿を守るよう命じて頂きたい」

「ふむ、平八郎頼めるか」

「御意、この平八郎生涯命をかけて竹千代君と五徳姫をお守りすると今ここに誓いまする」

「これまで二つともわが松平家と竹千代に優位な内容だが三つ目が難しい内容なのか」

「ええ、家臣を一名私にお譲り頂きたい」

「むうぅ、それは誰かによるのう」

「服部半蔵正成殿です」

「なんだと。それで良いのか」

「はい、服部半蔵殿と一族郎党を私の家臣として召し抱えたいのでお願い申します」

「承知した。半蔵良いな」

「御意」


こうして俺は竹千代と義兄弟になり、その身を守る為に本多忠勝をつけさせ、戦国最強忍者服部半蔵正成を配下にすることに成功したのであった。




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― 新着の感想 ―
[一言] (◎▲◎;)三河以来の、とまで言われた家来をくれちゃった! 岡崎譜代なのに!
[気になる点] 彼奴の母の吉乃や乳飲み兄弟の五郎佐 乳兄弟は五郎左でなく池田勝三郎では?
[気になる点] この信長は弟信之のこともあり、身内にも容赦ない鬼のように噂されているがその方が政治的に都合が良いので放置している。 ?信之でなく信行では?
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