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あたたかな氷の世界

 もともとが、地下の氷の中に住んでいるようだった。

 追っ手から逃れようと必死で辺り一面を見回してるうち、何かそこに、もともとに戻る感じが潜んでいて、地面に少しだけあたまを出したていた氷を削っていた。

 潜んでいるものに寄りかかり取り掛かったのだから、削るのは容易だった。

 

 タマネギを剝くような・・・・

 硬いとおもってた(たま)はこうして指をあてがうのを予め(あらかじめ)見込んでたように、()けていく。削るというより押し入るように、ずるずると身体は氷の中に潜んでいく。

 

 きっと、(かたまり)と思っていた氷の中には、穴から始まる世界があるのだ。むかし、その穴倉を住処(すみか)にして暮らしていなかったら、こんな迅速さで氷の中に身体を擦り込ませなんて芸当できっこない。

 

 あー、温かい 

 擦り込ませてるうちに、肌が思い出したのは、温かさだった。この暑い夏はずっとシャワーばかりだったから、久しぶりに浸かった風呂のような懐かしい温かさだ。

 わたしは、前世を辿るような怪しさでなく、つい最近を取り戻すような懐かしい感じで温かな氷の世界に身体を擦り込ませていく。

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