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ヒダヒダした落しもの

 めずらしくもない排泄なのだが、いつもよりも少し長かった。

 うんちの先がもう零れそうで、腰をかがめながら出せる先を探してる。もう便座やら便器やらそれ専用に整えた設備があるところでなくても、落とせるところならどこでも構わないところまできていた。

 そして、みつかった。

 もともとは子どもか学生か横一列に並んで水を飲んだり顔を洗ったりの流しだったのだろう。

 ひねって水が出たので、迷わずまたいだ。

 すでに汚しそうな危ないラインに来ていたので、呼吸が引っ込むタイミングにズボンもパンツも脱いで右掌をぐるぐる巻きで結わえてある。同じ水道でも専用の設備でないと水圧は低いから、あとが面倒にならないよう水流に乗っかるよう調節しながらいたしていた。


 それくらいの余裕が出てきたとき、またいだ足先の眞下からモゾモゾの視線を感じた。

 そこがむかし集団が寝起きしていた寮であったのは始める前からわかっていた。もともとの誰かはいない建物なのだから、わたしのように好き勝手に入り込む(やから)がいてもおかしくはない。それに目を付けて、勝手に住み込んでる先客がいたって不可思議はあるまいと、納得した。

 まだ子どもに毛の生えたようなカップルが(ちち)くりあうより寒さをしのぐのに重きをおいて薄物(うすもの)(くる)まっている。

 そうした隠れているのを続けながら、一秒たりと視線を外さずにわたしがひとりいたしている一部始終を覗いている。そのくせ気づかれないようにと(まと)った薄物のヒダヒダが揺れないようモゾモゾ動かすのは四つの目だけだ。どんな目がそうしているのダと、ひとつ残らず薄物の奥の目玉を見定めようとキッと睨み返そうとしたら、覚めた。


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