57/231
紫紺の水ナス
右ほほがかゆくて火照ってる。
だから、ぽりぽり爪でかゆみを剝がすように掻いていたら、それがムクムク芽を吹き出すように立ち上がり、低くて小さいがしっかり根を張ったナスになっていた。たったひとつだが可愛らしい水ナスを付けている。すぐにそれが水ナスであると見せて呉れたから、ムクムクしたすぐにそれがナスビだと分かったのだと改めて気づいた。
紫紺の艶やかとはかくもかようなものかと見とれる美しい彩りだった。
一富士 二鷹 三茄子と、ナスビの夢なんて縁起がいいと現の欲が顔を出したところで、ブレーキを踏まれたように覚めた。




