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縁起
黒く、暗く、熱い。
地底からのマグマであろうか、舌の先のような炎がチラチラ瞬き、そのときだけ赤い色を見せる。あとは露天の石炭層のどす黒さが照り返していた。
わたしよりほか誰の顔も見えぬが、平らな面がひとつとして見えぬ辺り一面の塊の影の隙間や窪みから延々に人間の気が昇っている。
それが、姿形を滅して永らえた茫洋などは一人として居ない。ついいましがた気を吐いていた生々しさに満ち満ちていた。
一気に、一度に、相当の数が、刈られたのだろう。
見えない先の見渡す限りの地界の艶々した黒の照りは、昇華しなかったそれらの脂染みだ。
それが、因果よ。
哀れでも情けでもを掛けるでもない、といって突き放すでもない、たんたんとうとうの声が掛かる。
どれもこれもドスとブスばかり。
足元の炎がそのギザギザをなぞろうと読み始めたところで、覚めた。




