ブラジル人の交渉
戦争中の世界のようだ。
あたりがそういった破壊の、自然災害ではない人工的な破壊が配られているように見受けられる。それでも人はまだ死んではいない。この時点なら、まだ何もなかったようにとまでは言えないにせよ、それに近いあたりまでの仲直りが出来そうだからと、この戦争の当事者責任者にあたる二人が話し合うため、このビルディングに集合する。
首を垂直に空を睨まなければ全貌がうかがいしれないほどのカーテンウォールのビルディングなのに、会場となる上の部屋へ昇るエレベーターはひとつだけだ。だから揃って到着したふたりは一緒にエレベーターに乗り込むことになる。
先に入ったチョビ髭をたくわえた小柄な方は、通勤してそのまま上のオフィスに向かうように入ったが、もうひとりのタップリお肉をスーツの四つボタンで結わえなければ転んでしまいそうな太っちょの方は、お付きの誰かが世話してやらないとエレベーターひとつ乗りこなせない。
先に入ったチョビ髭は、相手となるこの男と過去に一度も挨拶も握手もしてないから上に着くまではただ微笑むだけと決めたようで、視線をエレベーターへの押込み作業に触れない天井の監視カメラだけに絞り込んでいる。
こうした身体のせいか或いは演出がかった仕草のせいか、太っちょは政治畑に浸かった時間が長かったことが分かる。そしてブラジル人なのも分かった。
どうしてブラジル人が横串でスっと入ってくるのか。あれこれを詮索しようとしていたら、覚めた。




